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その姉妹品、危険につき──  作者: フユキ
番外編・2
468/547

3『デス・ツンデレ。』

 

「───例えば・・だが・・その・・・・アレだよ、アレ」


「はあ」




あー・・早く要件言ってくんないかね。


この客、ずーっと先刻からネチャネチャとした言い回しでサッパリ要領を得ないんだね。


あたしゃ、このパラヤン商会の雇われ店長に過ぎないんでね。

「 あの客 」 とか 「 例の品 」 とか言われても困るんだがね。




「・・ええい、強情な店主だな!?」


「ええ・・?」




強情も何も、キッパリ言わんのはソッチだね。




「私は魔法使いだぞ・・!?

貴様の嘘など、見ればわかる!」


「はあ・・」




自ら、魔法使いを喧伝する奴に本物の魔法使いは少ないね。


魔法使いが多いコチラの世界。


なので、ドコの誰が魔法使いか 『 魔法使い以外には 』 分かんないし・・唯人が魔法使いを自称しても、恥をかくリスクが高いんだね。


・・あたしが魔法使いだと、気付かれてないようにね。


・・・・ついでに、魂は魔女だと気付かれてないようにね。


両親が魔法使いだから、特に疑われる事なく普通の魔法使いと思われてるね。

( 勝手に【巫女】になってきた、あの(・・)馬鹿娘以外には・・ね。)


まあ・・とにかく、そうゆう訳だから魔法使いの少ない地球人同士にとっては、嘘を見抜けるという『嘘』は有利っぽいけど───この世界出身者にとって魔法使いとは、勝手に知られる物だからね。


そんな事も知らないなんて・・まさかコイツ───




「どうしました?」


「ポロヤン会長」


「ああっ!?

貴様が、この店・・で・・一番エライ・・・・の・・か・・・・」


「名前だけで、権力など有りませんが」




・・このアマ、思いっきり嘘つきやがったね。


パラヤン商会と言えば・・元々たった二人の行商人が、魔王討伐隊相手に商売をして大きくなったね。


今や、世界最大のリャター商会と肩を並べる大商会の会長に・・権力ないワケ無いね。


このポロヤン会長・・噂では、件の行商人の一人って言われているね。

傭兵ギルドの総監、イーストと同じく・・80年前から若さを保っているって噂なのね。


魔女とは言え、当時のあたしゃ『人間皆殺し派』な上に『産まれたての赤ちゃんを殺せ派』だったから、事件の中心からハブられてたね。


だから魔王討伐隊や、その回りの人間なんか分からないのよね。




「か・・かの有名なポロヤン会長が、こんな御美しい方だとは・・!?」


「まあ、御上手♡」




・・嘘まみれね。


このアマ・・男に誉められても、ぞぞ気走るタイプね。

噂では個人資産の全てを使って、【人茸】と【人土】に体の一部(・・・・)変化させる(・・・・・)術の研究をさせているそうだね。


相手はノーマル ( ? ) らしいから、望み薄いけどね。

・・偶に貞操の危機を感じるよね。



「我がパラヤン商会に、何が要り用ですか?

我が商会は、地球産の商品も取り扱っていますよ?」


「そっ・・ソレだ!

───その・・アレだよ、『バーン』といく奴が有るだろう?」


「バーンと・・何か派手な物ですか?

パーティ用なら、クラッカー・楽器・ケーキ等々どれも派手ですよ」


「パーティ用といえば、パーティ用だがな。

・・どんな魔物にも『バーン』と効くアレだよ」


「「 ・・ああ 」」




銃火器が欲しかったんだね。

だから、言い澱んでいた・・と。

確かにアレは、魔物にも『バーン』効くよね。


───でも、一番効くのは・・『人間』に、だね。

なんてったって、人間を『殺す』為に生まれた武器なんだからね。


見た所、戦士って身体つきでもないし・・魔物退治って目的じゃあ無さそうだね。




「分かりましたわ。

どんな武器が、どれだけ必要ですか?」


「おおっ・・さすが会長、話が早い!」




・・二人が、店の奥に消えていったね。

客は、黒い笑顔で。

会長は・・真っっ黒い笑顔で。


美人は得ね。

あんなんで、男よってくるから。

男に興味ないなら、ちょっとは寄越すね。


───・・はあ。

会長の事だから、なんか考えは有るんだろうけどね。

・・仕方ない。


馬鹿娘に、トラウマを ( ムリヤリ ) 癒されて・・今のこの国の人間は、まあ・・ソレなりに愛着あるしね。


元、殺人鬼の出番かね。

 

 

Q.元男でジジイで女体化したあげく、酔っ払って男を押し倒した人の事を『ノーマル』と呼ぶか答えよ。

 

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