458『本当は元のムッチリの方が、好───いえ、なにも。』
なんか・・さっきから、颯太のほうから───変な声が聞こえる。
≪( ほらぁ♡
ココか? ココか? ココがエエのんか♡♡ )≫
「ひゃあっ!? あっ!?
だ・・ダメぇ~・・・・!?
───理太郎・・くん、ゴメンなさいぃ・・!」
≪( うっ・・。
こ、コレは・・ちょっとスイッチ入っちゃうねえ・・♡ )≫
ヨランギに魔女を抜きとられて、死にかかっていた颯太が復活した。
だいぶ血色が良くなっている。
・・つか、『血色が良い』というか───
≪ふ・・フン!
何を独り言を・・遂にこのヨランギの偉大さを認めたかい!?≫
≪ヨランギ・・もう止めましょう?≫
颯太に視線を移すヨランギ。
奴もヴォイドを上回る俺の魔法に、大ダメージを受けているが・・俺もソレ以上に崩壊している。
───でも、関係ない。
「そ・・颯太!
今いくぞ───ンぐ!?」
きゅ、急に吐き気が───
・・ぅぐ!?
「ンもごごごごごごごごごごごっ!?」
≪≪ ぎゃああああああああっ!? ≫≫
な、なな・・!?
なんかが、俺のクチから大量に───
「───み。
み、みみ。
みみみみみみMIみみ。
みみ巫みみみミみみミみみみみみみみみみみMIみみみミみみみ巫み巫巫!」
なん・・!?
≪≪ ・・っ!?? ≫≫
「ぉ、おえっぺっ!?
何っ!? 俺のクチん中から・・す、【スライム】!?
しかもなんで、俺に纏わり付いてきて・・!??」
崩壊した俺の身体を支えるように纏わりついて・・ん?
「みみみみみ・・み、み巫み。
・・巫みさ、ま・・み女さま巫女・・様【巫女】様【巫女】様───
・・・・幹太さん」
「このパス・・や、山柄さん!?
てか、【人土】の皆!?」
な、なんで山柄さん達が!?
なんで【スライム】に!?
なんで俺のクチから・・!?
「【巫女】様、右手を。 【巫女】様、左足を。 【巫女】様、心臓を。 【巫女】様、腸を。 【巫女】様、左手を。 【巫女】様、右足を。 【巫女】様、膵臓を。 【巫女】様、背骨を。 【巫女】様、クチを。 【巫女】様、肝臓を。 【巫女】様、腹膜を。 【巫女】様、おっぱいを。 【巫女】様、髪を。 【巫女】様、目を。 」
崩壊した身体が・・【スライム】と化した【人土】達により、復元してゆく。
誰だ、胸を担当した奴。
ちょい大っきくなってんぞ。
お腹を引っこました人、ぐっじょぶ。
「・・って、いやいやいや!?
どうなってんの!?
みんな無事なの!?
颯太は!?」
さっきからパニックしか無いよ!?
『欠損した人体を埋めるのは、自分の専売特許なので任せて貰いたかったのだが・・』
「その声・・『三者を超えし者』!?
どっ、何処に居るんだ!?」
『アキハラ ソウタの中の『部屋』。
ソラ氏に、自分がアキハラ カンタに絡みつくのは 「 エロいから 」 という、訳の分からない理由で断られた』
何やってんの!?
つか、どうなってんの!?
『特殊な【スライム細胞】を使った今の【人土】達は・・自分に限りなく近い存在。
慣れていないので、意識に混濁が───覇者!? 聖者!?
何故アキハラ ソウタの中で、スッ裸になっている!?』
超何やってんの!?
颯太から聞こえる『三者を超えし者』の声。
魔女の魂と、女体化するほど深く繋がっていたらしい俺達の肉体。
魔女の魂を奪われた颯太の中に入り、颯太の身体を ( 貞操も ) 守ってくれているらしい。
もし放っといたら・・。
日本で、源太ちゃんが魔力の消失によりヒビ割れた事が有ったけど・・あんな感じになったと思う。
≪お・・おい!?
な・・なんだオマエ・・!?≫
「ヨランギ・・」
≪なんでそんな一瞬で自己再生した!?
そんなの・・ボクの魔法ですら無理だぞ!?≫
「・・・・だろうな。
その、ズタボロのオマエを見りゃあ分かるよ」
山柄さん達も・・。
手に入れた【スライム】を培養して、ソレを自らの体内に収めた・・とは聞いてたけど。
特殊な【スライム細胞】・・か。
俺のために、相当ムチャしてくれたらしい。
≪心臓にすら穴が開いていた!
そんな回復力・・お母さんですら、心臓を剣で貫かれて死んだのに・・!??≫
「俺には、仲間が居る。
オマエには、居ない。
・・そんだけだ」
≪ふ・・フザケるなァァァァァ!≫
フザケちゃいない。
・・うん、【スライム細胞】はタップリ有る。
「『三者を超えし者』から【人土】が分裂していったように・・俺からも、いずれ山柄さん達を元に戻せられるだろう。
ソレまで───皆さん、有難くこの身体を使わせて貰います!」
───彼等からの、喜びの感情。
【人土】の皆は・・うん、【人土】と【人土の巫女】の関係は続いている。
今の俺は『三者を超えし者』と同じく・・人間と【スライム( 魔王の粘土相等 )】が混ざった存在っぽい。
彼等の意識が薄い事もあって、自由に動かせるな。
寄○獣の後藤さんみたいだ。
こんなん、彩佳が知ったら・・ん?
何か忘れているような・・?
つか、俺が ( たぶん ) 死ぬ直前に聞こえたのって・・やっぱ───
「───まあ良い」
≪何を・・!≫
「・・そうか・・そうだな。
オマエを転生させずに、ヨランギという『存在』を倒す方法を思いついたぞ」




