457『新しいオモチャ、見ィ~っけ♡』
「カンタお姉さんのお母さん」
「御義母様」
「ビタちゃん、ザレちゃん・・」
「コレ、私の薬草と・・」
「【三種族の核】ですわ」
二人とも・・。
二人も、疲れているでしょうに。
この【核】というのは、この側で各三種族が死ぬと魔力が貯まるバッテリーのような物だとか。
仕組みとしては、内部に青い世界を持つ『街破級』と同じような存在らしいです。
王族は、自分達の住む【王区】をこの【核】にて、【青い銀星王国世界】を作ったらしいですね。
「・・分かりました。
コレは預ります」
「母さん」
「昊」
「父さん・・源太さん」
二人とも、泣いている。
こんな事態への哀しみで。
無力な自分への怒りで。
「私は何も渡せないが・・幹太と颯太を頼む」
「大丈夫、私達の子供は私が守ります」
「・・ああ。
また、以前のように家族で暮らそう」
あの、秋原家で。
「・・のう、昊。
儂も───魔女に成れんかのう?」
「・・少なくとも、私にそんなチカラは無いんです。
申し訳ありません」
「・・・・。
いや、良いんじゃ。
この腹の子と、みなの帰りを待っとるよ」
新たに増えた家族。
・・経緯ゆえに、多少複雑ですが・・嬉しいです。
「あ、あの・・」
「シャッキリとなさい」
モジモジとしながら、ジキア少年がやって来ます。
「・・私と仁一郎が初めて出会ったのも13歳の時です」
「え?」
「仁一郎はもっと、シャキッとしていましたよ」
「・・わ、分かったッス───
い、いえ。
分かりました、オレは何も出来ませんが・・御義母様とカンタさんとソウタさんの頑張りを、応援しています」
「・・よろしい。
───その言葉、必ず幹太と颯太に伝えます」
他の人は・・近付いて来たりはしないようです。
遠巻きに頭を下げたり、「 宜しくお願いします 」「 頑張れ 」 と言ったり。
こんなにも幹太達には仲間が居る。
神の敵だの───魔王などと息巻いて一人ぼっちだった私と違い・・。
私の、みんなの幹太と颯太は死なせません。
◆◆◆
≪がああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああァァ・・っ!?≫
ヨランギが、俺の中から魔女を抜く。
痛い。
苦しい。
・・でも、颯太はもっと苦しんでいる。
セーフティ解除し、俺の魔力を俺の中だけで使っているせいで・・肉体が崩壊していっている。
熱い。
暗い。
・・でも、颯太はもっと暗い所に居る。
ヨランギが、俺の魔力をヴォイドで消せすにその魔法を受けている。
叫ぶ。
恐怖。
・・でも、颯太はもっと怖がっている。
「死ね、死ね、死ね、死ね、死ね、死ね、死ね、死ね、死ね、死ね、死ね、死ね、死ね、死ね、死ね、死ね、死ね、死ね、死ね、死ね、死ね───」
≪よ・・ヨランギだぞ・・このボクは・・英雄ヨランギなんだぞ・・逆らうな・・今すぐ魔法を止めろ・・女のクセに・・≫
≪ヨランギ・・!≫
ウィンは、ヨランギを庇うように、ヴォイドと魔力を展開する。
ウィン・・ウィン・・なんだっけ?
よく分からんが───
ヨランギを庇うなら───
颯太を守る邪魔をするなら───
「オマエも・・敵だ・・・・!」
≪ひっ・・更に魔力が上がって───化け物め・・!?≫
≪あの子は・・ぶっきらぼうだけど、『森の民』で一番民を愛し森を愛したソラお姉ちゃんの子供≫
≪ボクとお母さんの方が、お姉さんを大事にしてる!≫
≪あの子は・・考え方こそブッ飛んでいたけど、誰よりも魔女を愛し魔女を守ろうとしたクキちゃんの魂を持つ子≫
≪お母さんの方が、魔女を大切にしてる!≫
≪・・その魔女を、見捨てちゃった時点で私にそんな事をいう資格は・・無い≫
≪見捨ててなんかいない!
ボクは偉いんだ!
ボクに仕えるのが幸せなんだ!≫
≪ああ・・ヨランギ・・。
意志の強さと、想像力が全てを決める魔法において───その二つを持つあの子は最強なの≫
≪あんなの・・『部屋』の中の魔女が交ざっているだけさ!
ふん・・奴等は馬鹿みたいに『再構成』なんて言ってたけど・・所詮、奴自身は唯の『蝿』さ!≫
「・・蝿・・?」
≪そ、そうさ!
キミとお母さんで繋がる魔力パスで見たぞ!≫
日本で・・颯太が魔力体に取り憑かれる直前に聞いたらしい、
『 蝿のクセに 』という言葉。
他にも何ヵ所かで聞いた。
≪" 映画 " ・・だったか?
学者に蝿が混ざる、アレさ!
キミは『アキハラ カンタ』じゃない!
キミの、ほぼ全ては魔女で出来ているんだよ!≫
「・・・・」
≪魔女中の、ちっぽけな蝿・・ソレがキミさ!≫
「・・・・」
俺の、殆んどが魔女・・。
俺は、その残り滓・・。
・・なるほど。
ソレが『チート魔力』であり、『女体化』の正体か・・。
「───・・どうでも、いいな」
≪は?≫
「・・俺・・は・・・・」
・・俺?
俺って・・何だっけ?
「・・幹、太姉ちゃ・・ん」
・・どうでもいいか。
「颯太を守る」、ソレが分かるなら。
「───どう・・でも、いい。
俺は・・颯太の敵を・・殺すだけだ・・・・」
───どう───も───くな───か有り───せん!
「・・あ・・?」
ア───タは『秋原 ───』!
『─── 颯───』ともに私の大事な───です!!
「───か・・あさ───」
ナニか・・が・・俺の中で・・?
・・コレは・・コレはは・・ははわはたっ!?
たたた痛たた痛痛たたたっ!?」
『ウミノ アヤカが怒っている』
「───えっ!?
ゴメンなさいゴメンなさい、マジ御免なさいィ!
・・・・あぇ?」
・・んあ? な、なんだ?
ほ、崩壊が進んで・・だいぶ記憶が混乱していたっぽいな。
「───って、そうだ!
颯太は!?」
≪きゃあっ♡
コッチの娘も可愛い~♡≫
≪そうだね。
ヨランギがあんな男で幻滅したし・・今度は女の子も良いかなあ?≫
「う・・ううん・・ダメぇ。
僕、理太郎く・・と、お付き合い・・してるから~・・」
「そ、颯太!?」
颯太の血色が戻ってる・・。
つか、今の声って・・。




