表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
その姉妹品、危険につき──  作者: フユキ
その姉妹品、危険につき──
455/547

455『ヒロイン。』

 

「・・俺達を『姉妹品』って呼んだな?

───その姉妹品が危険って事を教えてやるよ!」


≪は・・ハッ───

な、何を・・何が・・!?

唯でさえ、ボクより弱いキミが・・こ、コレだけ魔女を抜かれたんだぞ!?≫


「知るか・・」


≪し・・しかもボクは、その魔女全てのチカラを───この世界を、お母さんを通して使えるんだ!≫


「知るかっつってんだろ・・」




「か・・かん───

幹・・太姉ちゃ───がはっ!?」




颯太・・颯太が苦しんでいる。

ヨランギは言った。


「 コレをヤると俺達が死ぬ 」 と。


このままでは颯太が死んでしまう。

颯太を・・俺の一番大事な人を放ってはおけない。

───犬ゴリラの時とは違う!




「ヨランギ・・殺してやる!」


≪お・・女如きが、ボクに逆らうなああああ!?≫


「・・殺してやるぞ・・!

焼き殺してやる!

挽き殺してやる!

絞め殺してやる!

溺死が良いか!?

凍死が良いか!?

枯死が良いか!?

毒殺・感電死・刺殺・斬殺・撲殺・腐死・・・・何度復活しようと───その度に殺してやるぞ、ヨランギ!!!」


≪───っっ!≫




颯太を死なせない。

颯太を死なせない。

颯太を死なせない。

颯太を死なせない。

颯太を死なせない。

颯太を死なせない。

颯太を死なせない。

颯太を死なせない。

颯太を死なせない。

颯太を死なせない。

颯太を死なせない。

颯太を死なせない。

颯太を死なせない。

颯太を死なせない。

颯太を死なせない。

颯太を死なせない。

颯太を死なせない。

颯太を死なせない。

颯太を死なせない。

颯太を死なせない。

颯太を死なせない・・その為なら。




───俺は・・・・どう・・なっても・・良い。




全力全開フルオーバー()全力全開フルオーバー()全力全開フルオーバー───」


≪なっ、何だよ・・この魔力はぁ!?≫



















「───魂の、安全機構(セーフティ)・・解除(オフ)




≪ヴ・・ヴォイドが効かない───いや!?

ボクのヴォイドを上回る魔力・・!?

こ、コレが・・『蠅』のチカラなのか!!?≫




両腕は、疾うに燃えつきた(・・・・・)




≪お・・オマエなんか、女のクセに!≫




目も、片方見えない。




≪ボク達の召し使いのクセに!≫




ドスン、と・・落ちる感触。




≪ぼ・・ボクは英雄だぞ!?

男なんだぞ!?

オマエなんかより偉いんだぞ!?≫




ああ、両足も無くなったか。




「───て"も"・・良"い ん"た"。

颯"太 を"守"れ"る な"ら・・・・」


≪ば・・化け物・・!!≫


「死"ね・・颯 太" の 敵"は"み"ん な"殺 す・・!」



◆◆◆



「か・・幹太ぁ!?

幹太、幹太、幹太ああ!?」


「カンタさァーん!

ソウタちゃァーん!

何処ッスかァーーー!??」


「御姉様・・ソウタ様・・」


「幹太、颯太、幹太、颯太・・!

くそっ、父親なのに私は何も出来ないのか・・!」


「かあ・・っ。

何が " ちいと " じゃい・・!」


「御姉チャンよう・・死なねェっつったよなァ?

御姉チャンに貰った『目』で見たンだゼ。

嘘ァ・・付くンじゃ無ェぞ・・!」


「カンタさん・・私達は、貴女から貰った物の百分の一も返せていないのよぉ~・・」


「カンタ先生・・」


「カンタよ、私はお前に忠誠を誓ったんだ。

私より先に死ぬのは許さない」


「オマエには、我がペリオラ傭兵団に入ってもらうぞ・・」


「デロス・・アキハラ カンタを恨んでいるか?

引きずり込みたいのか・・?

・・頼む、許してやってくれ!」


「カンタお姉さん・・ソウタお姉さん・・」


『・・・・』




皆が、祈っています。

私の息子、幹太と颯太が・・突然、目の前から消えました。




「ウィン・・」




貴女なの?

貴女が目覚めた、と・・思った瞬間の出来事でしたから。

今では、私の言葉にも反応しません。

『扉』も、開く事が出来ません。


今は再び眠りにつく貴女。

いとおしい妹。

いとおしい息子達。


・・私は、また失敗したのでしょうか。


妹なら妹、息子達なら息子達。

どちらかだけを選ぶべきだったのでしょうか。


私の、この場にいる全ての人間の【巫女】になった幹太。

・・その幹太から送られてくる魔力が、どんどん小さくなってゆく。


世界を隔ててすら繋がるパスが、繋がらない。


・・幹太、颯太・・。

アナタ達を助けたいと思うなら、私は妹を・・ウィンを───


───ああ、こんな事なら秋原 昊に転生など・・幹太を産まなければ良かっ──────




「秋原 昊どの」


「え?」




其処に居たのは、山柄さん。

山柄さんと・・【人土じんど】の皆さん。




「秋原 幹太様を産んで下さり、有難う御座います」


「はっ?」


「秋原 幹太様を、あんな素晴らしい方に育てて下さり有難う御座います」


「あ、あの・・」


「我等は、素晴らしい主に遣えられて・・幸福でした」


「や、山柄さん?」




山柄さん達は、とても朗らかに笑っています。

まるで、その辺のコンビニにでも行くかのような気楽さで。




「みんな、今こそ例の(・・)【スライム】を使うよ」


「「「 はい 」」」


「【巫女】よ・・偉大な【巫女】よ」


「【人土じんどの巫女】よ」


「今こそ我等が【巫女】に、我等【人土じんど】が死ぬ時なり」




山柄さん達・・幹太達と共に異世界へと旅立った【人土じんど】達の全身が溶けて───まるで巨大な一匹の【スライム】かのように・・!?


そして・・幹太が大量の扉で呼び出した地球の【人土じんど】達も、その【スライム】の中に溶けてゆきます。




「おお、【人土じんど】よ・・!

【巫女】が此の場に居らずとも、【巫女化】したのか・・!」


「【人狼じんろう】の長・・」


「羨むべきかしら、数百年間ずっと【巫女】が居なかった種族が・・三種族の真髄にたどり着いて・・」


「【人花じんか】の長・・」




【スライム】となった【人土じんど】が。

人狼じんろう】が、【人花じんか】が・・ウィンを取り囲む。


三種族の使命・・【空の口(ウィン)】を、討ち滅ぼす事───


ウィンを・・殺す?

私は・・どうすれば・・!?




≪クウ≫


「え?」


≪取敢ず、行こう≫


「そ・・その声、まさかラカ?

・・貴女も、幹太の『部屋』に!?」




ラカの姿は見えません。

ですが、確かに聞こえます。




≪なかなか、快適だったよ。

信じられないくらいに広大な部屋と、途轍もない人数の魔女・・そして、ソレを許容する『星の如き(・・・・)』魔力≫




そ、それ程?

幹太の魔力の大きさは知っていたつもりでしたが・・。




≪あれは、家族仲間思いからくるのかな。

常に我等を癒したいという魔力(思い)が流れていた。

全く・・君達と争うのが、馬鹿馬鹿しくなったよ≫


「ラカ・・」


≪敵だろうと、気に入ったなら誰でも受け入れる懐の深さ・・。

か弱き不幸な者だろうと、気に入らなければ慈悲の欠片も持たない容赦無さ・・。

───君の子供は面白い≫


「そ、そうですか?」


≪あの衝撃は───

産まれてからずっと恐れていた監守を『羽をもがれた羽虫』の如く感じた【空の口】様以来・・いや、ソレ以上か≫


「そうかもしれません。

私が何度、あの子に驚かされたか・・」


≪あの子を、あの思いを、殺したくは無い。

今、ヨランギがアキハラ カンタから我等魔女を引き抜いている。

アキハラカンタの内外にアキハラカンタと繋がる魔女が居る事で、魔女同士のパスのみソチラと繋がるようだ≫


「・・・・っ!」


≪君がわたし達にも隠して遂行した計画が。

我等の敵である三種族の抵抗が。

まだアキハラカンタの命を繋いでいる。

・・行こう≫


「・・はいっ!」




魔女と・・辛うじて【人土じんど】が呼べる、とても細い繋がり。

・・でも!




「オバさん!

アタシも連れていって!」




彩佳ちゃん・・。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ