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その姉妹品、危険につき──  作者: フユキ
その姉妹品、危険につき──
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451『ただでさえ、若返りましたし・・。』

 

「───ラカは、斯斯然然───【巫女】様はおそらく───」


「───成程───此方の【人土じんど】には───」





山柄さん達、異世界へと来た【人土じんど】と地球に残った【人土じんど】の代表が、ナニやらコショコショ話。


まあたぶん・・ラカの『善意』の事を、【人土じんど】全体の共通意識にするんだろう。


自衛隊に話すか・・は、分かんない。

おそらく様子を見てからかな?




「これで地球の【人土じんど】達・・大急ぎで感情レーダー魔法を会得するんじゃないかしら?」


「そんな難しい魔法じゃあ無いしな」




ただ他人に・・どこかしら冷めた感情を持てる奴じゃないと、人間不信に陥りかねない魔法なんだけど───まあ【人土じんど】なら大丈夫か。




「リャターさん、ザレさん、お久し振りです。

自分の事を覚えていますか?」


「お久し振りねぇ~、ガケシタさん・・だったかしらぁ~?」


「・・・・お久し振り・・です」


「以前、日本にいらした時・・【人土じんど】の書物を纏めあげた実績を買いたいのです。

此方の情報を纏めて貰えませんか?」


「あらあら~。

ソレじゃあ・・・・」




自衛隊は自衛隊で情報収集。

情報の齟齬さえ無ければ・・ラカは殺さ(死な)ずに済んだかもしれないし。


ラカ達、魔女の『人類憎し』ってのは・・事情を考えれば分からん事もないし───俺達に負けた魔女が、俺達に譲歩した以上は彼女達も救いたいんだけどな。




「【巫女】様。

地球側からの無線機魔法による連絡にて、魔女の沈黙と【ファフニール】の石化を確認したそうです」


「そうですか。

【ファフニール】は・・エサである『悪意』が無くなったから、ですかね」


「たぶん、そうかと。

魔女達は・・ラカの死を感じとったのかもしれません」


「ええ」




ココは初めて、俺と颯太が地球から異世界へと転移した青い世界。

両世界との繋がりは・・特別強く、特別安定している。

魔女同士なら・・魔力パスも繋がっているだろう。


・・と、いった頃に『扉魔法』が発動する。




「───終わったんかの?

コッチに来とった魔女とは、手打じゃ」


「源太ちゃん、父さん!?」




未だ開きっぱなしの『扉』から、源太ちゃんと父さんが並んで出てくる。





「御父・・源太さん、大丈夫なのですか?

・・父さん?」




秋原家の事情を知り、源太ちゃんの現状を知らない崖下さん他数人の自衛隊員や【人土じんど】が、『妊婦と歩く父さん』に目を見開く。


女性隊員で、こっそり父さんを狙ってた人も知っているし・・源太ちゃんを狙ってた【人土じんど】も知っているからなあ・・。

なんだかなあ・・。




「源太ちゃんのお腹の中・・凄く、安定してるよ?」


「颯太の言う通りじゃ。

───御主等が旅立って数日・・この腹と、自分なりに付きおうてみた」


「私もだ。

ショックはショックだが・・この子も秋原家の一員である以上───とても、いとおしい」


「女である自分は、幹太の言う『再構成』で割りと早くから受け入れとったが・・ハァ。

まさか我が子とはの」


「源太ちゃん・・」




【銀星王国首都】を旅立つ前は、メソメソしたり・・突然絶叫していた源太ちゃんがなあ・・。


暫くすると源太ちゃんと父さんに続き、医師団と【人狼じんろう】達も現れたので、彼等にも話を聞く。




「源太さんもお腹の子も、とても安定しています。

戦闘は医師として許可出来ませんが、運動はむしろして下さい」


「分かりました。

人狼じんろう】の長、今まで源太ちゃんに近付くな・・みたいな命令を出してて済まなかった。

これからは源太ちゃんに良くして欲しい」


「心得た。

源太どのも、ザレ様と共に今代の【人狼じんろうの巫女】も、我等【人狼じんろう】は命をかけて守る」


「ん、有難う」




人狼じんろう】の長との会話を聞いていた【人花じんか】の老婆が、タメ息をつく。




「【人土じんどの巫女】よ。

今や【人花じんかの巫女】でも在るのだし、ピヒタに命令してくれんか?

さっさと子を作れとな」




日本だとセクハラだかマタハラだとか、問題発言になりそうな命令だなあ。




「あの食欲の権化が、やっと男の方を見たかと思ったら・・幼児のお遊戯みたいな付き合いよ」


「ソレは相手の男にも、問題あるかも」




なんせ相手は、エロいくせに奥手な二人だ。




「はあ・・やれやれ。

なんとかワシが生きとる間に子を見たいからね・・。

( ───媚薬の出番かね )」




なんか・・一瞬、聞こえた?

人花じんか】だからなあ。

薬はお手の物だからなあ。

・・まあ、合掌しとこう。




「みんな、これからについて動いてるわね」


「まあな。

敵は居なくなったし・・後は戦後復興だろ」


「取敢ず、アタシ達の仲間は全員無事だし・・」


『いつの日か・・暖炉の前で、今日の事を子供たちに語る』




何処の最終回だ。

『三者を超えし者』が、しんみりと語る。




「あら、自身の子孫に興味なかったアンタが?」


『・・ヨランギがあんな人だったから。

自分も前に進むため、多少は変わろうと思う』


「まあ、良いんじゃね?」




空の口(ウィン)】次第とはいえ・・次の千年後、人々に恐怖が撒き散らされる事は無くなるかもしれない。

楽しみを増やすのは、良いことだ。




「その為にも【空の口(ウィン)】・・目覚めろ・・!」




幼くして盗賊に襲われたあげく、我が子を盗まれて・・心が傷つき。


その我が子に、魔力を奪われ・・【空の口(ウィン)】の魂と心は非常に不安定だ。


傷そのものは、癒えていっている筈。

ただ何時、急変するかも分からない。




「ふう・・」


「幹太姉ちゃん、大丈夫?」


「最近のアンタ・・総魔力が更に上がって、チートに磨きがかかってるけど───『全力全開フルオーバー』や『沢山の扉魔法』『【みんなの巫女】』とか・・流石に無茶しすぎよ」


「幹太・・済みません」


「大丈夫だって」




眠気(魔力ぎれ)は、無くもないけど・・気絶する程じゃない。




「はい、幹太」


「奈々・・なんだコレ?」




俺達の会話を、ちょい離れた位置から聞いていた奈々から───なんか・・臭い・・なんかを渡される。




「ワタシの精力増強キノコと、ビタちゃんのビンビン薬草を混ぜたジュースよ」


「精力とかビンビンとか・・」




俺・・一応、女の子なんですぅ。




「奈々ちゃん・・コレ、信用できる物なんですか?

貴女が陰で私の事を『隣のババァ』と呼んでいた事は知っていますよ?」


「あっ、アハハぁ~♡

モチのロンですって!

魔法使いの目に誓って~♡」


「そうですか・・後で私にも下さい」


「母さんも疲れた?」


「いえ、父さんも40を越えて最近は勃ちにく───いえ、なにも」




なにもって言うなら、なにも。

ボク、ワカンナイ。

母さんから目を背け、鼻を摘まんで精力ジュースを飲む。


・・怖、怖、こっわ!?

一瞬で疲れが取れた。

さすがに魔力全快とはいかないけど、体力や細かい擦り傷はほぼ完治した。

○豆かよ。

両腕まで、『全力全開フルオーバー』分くらいは回復したぞ。


回復魔法って、リアルだと意外とキモい。




「さ、さて・・」




空の口(ウィン)】への魔力譲渡を再開。

彼女の魂の傷は癒えつつあるっぽい。


心の傷は・・物流回復の旅で、旦那に暴力を振るわれた女性たちのトラウマを魔力付与料理での癒そうとした時、数日かかる事もあったが───




≪───ん・・≫


「あっ・・【空の口(ウィン)】が目覚めるみたい!」




ココにオマエの敵は居ない。

だから・・・・頼む。

 

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