444『超次元マザコン、シャイン & ダークネス。』
≪屑共が色々と企んでいたようだからね・・。
『この世界における』お母さんの救出を諦めて───お母さんの心臓に剣を突き立てた≫
「この世界における・・?」
『実世界』における、って意味か?
≪二千年前の屑共は、お母さんのチカラを一人占めしたがった。
千年前の屑共は、先祖の罪をお母さんに押し付け隠そうとした。
今代の屑共は───失われつつ在るお母さんのチカラを、ふたたび自分達に取り込もうとした≫
「先祖の罪を繰返したってか」
≪屑に相応しい馬鹿ップリだろう?≫
何を取り繕おうと・・強盗は強盗だ。
王族の馬鹿ップリは今更、談ずる迄もない。
≪二千年前は、ボクのチカラも弱かったからね・・。
屑共や、屑共についた魔女から、『お母さんの魂』が決定的なダメージを受ける前に『お母さんの肉体』にダメージを与えて、『青い世界』へと非難させたのさ≫
『そんな、ならば貴方にとって───
本心では・・自分達、妻と屑共とを同列に見ていたのか・・?』
≪所詮、お母さん以外の他人なんてそんなモンさ。
まだキミ達は美人だし、利用価値が有るだけ屑共よりはマシかな≫
『・・・・っ』
秋原家の人間は多少、そうゆうトコがある。
だから一部・・ほんの極一部だけ、言わんとする事は分かる。
・・だけど。
仲間や恩人まで他人扱いしない。
俺達と違う。
コイツは、ムカつく。
≪お母さんが封印されてから───
屑共だけじゃなく、キミ等魔女たちも、お母さんを悪用するのが予想できたからね≫
『・・・・』
≪男魔法使いだけでなく、女魔法使いの数も制限しなきゃならなかったんだ≫
「【空の口】を悪用されなくするとして・・女魔法使いを減らしたら、傷ついた母親をどう癒すつもりだったんだ?」
本当に母親を想うなら・・コイツの言う作戦は逆効果じゃ───
≪お母さんの『中の』青い世界に・・有りとあらゆる世界の、有りとあらゆる魂を入れるのさ≫
「あ、有りとあらゆる!?」
ソレは・・ディッポファミリー傭兵団や皆の居る世界、地球、通常の青い世界───全部の人間、魔女の魂って意味か!?
≪お母さん本人に、魔女のチカラを与えると反発する。
男魔法使いのチカラを与えると、お母さんが穢れる。
───だから一旦、全てをお母さんの『中』に保管する≫
「ほ・・保管・・!?」
≪後は『その世界』で・・お母さんの糧になる者を、ゆっくり作れば良い。
外に居るのは、お母さんボクとの二人っきり♡
その他に多少、妻達が居れば良い≫
イメージ、世界を後宮とかハーレムみたいな・・王と妻達だけの閉鎖空間を作る気か。
「一つの世界に全世界の───そんな事、出来るのか?」
≪その為の実験体が、街破級だったんだ。
だけど・・お母さんの『お姉さん』が解決してくれたよ?≫
「か、母さんが?」
「ソレは・・っ!?」
母さんが慌てる。
コイツは、本来は【空の口】本人と母さんしか居ない『【空の口】の中の世界』に居た。
王族の知る、『預言』なんて曖昧な言葉じゃない・・母さんと【空の口】の、『本当の計画』を知っているんだな。
≪キミも、不安だろう?
『キミの母親』が『キミ』に、どんな『人体実験』をしたのか・・気になるだろう?
残虐非道、人道に母道に逸れた、目を背けたくなる事を、『キミ』はされているんだよ?≫
「か、幹太・・」
うーん・・。
「母さんがヤった事に、何の不安が有るんだ??」
≪───は?≫
「母さんが、俺にヤった事だぞ?
俺の為にならない訳がナイだろう??」
≪き、キミ・・!?≫
「───幹太・・」
何を言ってんだ、コイツは?
さんざん、子は母親の為に、母親は子の為に『する、してくれる』って話をしていたじゃんか??
「なんで今の話の流れで、母さんのヤる事に不安になる・・って話に成るんだよ? なあ??」
颯太と顔を見合せる・・が。
二人共、本気で意味が分からなくて・・お互い、首を傾げる。
≪キミは・・キミ達は・・?≫
ヨランギがイラついた顔を向ける。
悪ガキがそのまま成長したような、精神未熟者みたいなモンだしなあ・・。
俺への『嫌がらせ』が失敗したって感じか?
───ああ・・そうか。
「オマエ・・母親が好きなんじゃないだろ?」
≪あ?≫
「何となく分かった。
オマエは、母親を利用しているだけだ」
≪・・・・キサマ?≫
「所詮、他の女の人達と同じで・・自分を心地好くしてくれるかどうか、ってだけなんだねぇ幹太姉ちゃん」
「ああ。
コイツのは『家族愛』で無ければ『マザコン』ですら無い。
───唯の、『自己愛』だ」
≪キサマ等あ・・ぁぁ!≫
母親を信じるってなあ、そーゆーモンじゃあ無いだろ?
「ヨランギ。
幹太の───
・・いいえ、幹太を利用する事は許しませんっ!」
≪ウルサイよっ!?≫
ヨランギが、母さんに火球を飛ばす。
ソレは、戯れの・・一撃。
・・だけど、殺意が込められた一撃。
俺が勢いを止めて、颯太がヨランギへ蹴り返す。
「・・おい」
≪ああっ!?≫
「何やってんだ、オマエ?」
「ソレ、僕達の前でやっちゃイケないよ?」
≪・・ボクに、偉そうなクチをきくなああっ!?≫
本当に【空の口】を助けたかったのなら・・別の手段もあった。
魔女たちを蔑ろにしたりせず、後の女性達を差別したりせず、母親を殺してまで青い世界に逃げる必要はなかった。
寧ろ、滅茶苦茶面倒くさいだろう。
全部、自分だ。
自分が気持ちよくなる為に・・【空の口】も、仲間の魔女も、王族も、後生の人々も、母さんも、俺達の仲間も───利用しているだけ。
「オマエ、ショッパイな」
≪・・ふん。
妻を調教するのも、良い男の役目か。
たっぷりと仕込んであげるよ。
───少しばかり、地獄を見せれば・・良妻となるだろうさァァァ!!≫
「俺の家族や仲間の運命を弄んだこと・・オマエにゃあ、地獄すら生温い。
地獄の鬼も泣いて逃げだす目に逢わせてやるっ!!!」




