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その姉妹品、危険につき──  作者: フユキ
その姉妹品、危険につき──
437/547

437『色々理由は有りましたが・・一番のキッカケは、失敗した料理を「美味しい」と、笑顔で食べてくれた事です。』

 

「おおっ、ゲンタ様!」




治療所代わりのキャンピングカー。

このまま怪我人達は、【銀星王国首都】内の病院に使える建築物へ。

源太ちゃんは秋原家で自宅療養。


ザレの対なる【人狼じんろうの巫女】を宿す今の源太ちゃんは・・有る意味、長よか敬われている。


・・つーか連戦の緊張やら生命の神秘やらで、テンションが可笑しくなってて───

源太ちゃんが『生け神様』扱いされているっぽい。

( ゲンタ『殿』→ ゲンタ『様』とか。)




「やっぱ源太ちゃんと赤ちゃん・・安定期前から戦っていた弊害は出ていたらしい」


「なんとっ!?」


「御姉様、ゲンタ様と赤ちゃんは・・」


「今は無事だ。

源太ちゃんのチート級自己再生魔法と、その赤ちゃんの自己再生魔法だから」




言いつつ、俺の腕を見せる。

初めてこの世界へ来た時、犬ゴリラ(レッサーハウンド)相手に自爆。

自らの魔法で、両腕を炭に変えてしまい。


ソレから・・だいぶ腕の形が分かるように成った。

今は若干『全力フル全開オーバー』の後遺症で、血は出ているが。




「確かに、貴女方(チート組)の自己再生魔法は・・我等【人狼じんろう】をも上回るが───」


「うん。

長が危惧する通り、場合が場合だからな・・源太ちゃんが心配なのは分かるけど安定するまでは───源太ちゃんへの見舞いを大幅に制限させて貰う」


「そんなっ!?

・・いや、仕方あるまい」


「コレを破る者、秋原家を(・・・・)敵に回す者(・・・・・)・・として、徹底してくれ」




ザレや【人狼じんろう】の長が息を飲む。

俺達なら()るって理解しているだろうし。

ザレや、この場の人達を信用してない訳じゃあ無いけど・・ね。




「わ、分かりました。

皆に徹底させます」


「源太ちゃんが落ち着きしだい会えるんで、もうちょい待っててほしい」




源太ちゃんや赤ちゃんは心配。

コレは紛う方無く事実。

・・だけど、もう一つ。


未だ茫然としている源太ちゃんは・・何を口走るか分かんない。


ソレこそ 「 何故、元男なのにぃ!? 」 とか言いかねないからなあ。

肉体的にはモチロン当然なんだけど、精神的にも安定しないウチは、事情を知る人間以外に任せられない。




「ついでに、【空の口】の所へ行くメンバーは【巫女】と魔女とその手伝いだけになった」


「【空の口】が、『唯の』敵では無いとなった今・・致し方あるまいな」


「追い出しといて、図々しい御願いだけど・・俺達の居ない間、秋原家や病院周辺の警備を頼む」


「今や・・アキハラ カンタ、貴女も我等が【巫女】。

遠慮なく命ぜよ」


「有難う」




人土じんど】【人花じんか】にもほぼ同じ事を通達。

皆、最後の場に居られない事を悔しがりつつも納得してくれた。




「幹太さん、【人土じんど村】から後続のトラック・バス・キャンピングカーに乗った第二陣の三種族が来ているらしいよ」


「現状は伝えているんですよね?」


「もちろんさね」


「じゃあ【銀星王国首都】本来の住人が【青い銀星王国世界】に居るウチに、【銀星王国首都】を丸ごと乗っ取っちゃって下さい。

ガロスやガロス騎士団はその辺納得してますよね?」




王族共は・・忠誠心の高い彼等騎士団を、使い捨ての駒にしちゃったからな。


一般都民は、英雄ヨランギ ( というか、その親の王族(盗賊) ) の言いなりで男尊女卑主義者共。

被害者ならともかく、加害者から家・土地・財産(人生)を奪う事に抵抗はない。



「分かったよ。

騎士団も使うんだね」


「山柄さん達三種族の長達と、ディッポ団長達傭兵団団長達とリャター夫人とで、適当に御願いします」


「我等が【巫女】の御心のままに」



◆◆◆



「ディッポ団長、という訳なんで」


「ああ、悔しいがな。

しゃあねェよ。

・・ジキアは好きに使え」


「任せるッス!」




山賊顔なせいで、初めて見る人は信じてくれないが・・ディッポ団長は知性・品性・身体能力に優れる格好いい人だ。

こんな頼れる人はそう居ない。


・・ソレでも。

今から行く場所へは連れていけない。




「【人土じんど村】を出発した時の約束を覚えてるかい、御姉チャン」


「え?」


「御姉チャンは最強でも・・まだ小娘、ガキなンだ。

無茶だけはすンな。

・・死ぬんじゃ無ェぜ?」」


「・・覚えていますよ。

大丈夫。

思いっきり長生きしてやります。

当然みんなにも長生きしてもらいますから!」


「───おう」




短い返事だけを返し、去るディッポ団長。


ディッポ団長は格好いい人だもんな。

瞳に光るものが見えたのは・・気のせいだ。




「・・・・さて。

行くか、ジキア」


「はいッス」



◆◆◆



【空の口の巫女】、俺。

【巫女のスペア】、颯太。

【空の口】の魂の姉、母さん。

人茸じんたけの巫女】、彩佳。

人狼じんろうの巫女】、ザレ。

人花じんかの巫女】、ビタ。

二千年前の英雄、『三者を超えし者』。

俺の魔力付与料理の影響を色濃く受けたジキア。


このメンバーで【空の口】の元へ。


唯一、リャター夫人の付き合いで車の運転を修得したザレの運転により、父さんの車で移動。




「───で?

ジキア君、貴方は『大きな魚』ですか?」


「さ・・『サカナ』??

は、分かんないッスけど・・カンタさんの為なら、何でも出来るッス!」


「では、生ピーマンを食しなさい」


「ひいいぃぃぃ!?」




うむむ・・コレが、『嫁( ? )姑戦争』か。

後部座席で並んで座る母さんとジキアが、剣呑な雰囲気を纏う。




「母さん・・」


「秋原家に好き嫌いする者は許しません」


「いやいや、俺にだって苦手なモンぐらい有るよ・・」


「苦手と嫌いは違います」




・・母さんの目が座っている。

颯太の場合、理太郎くんには手が出せなかったから・・かなあ。




「( アタシが椎茸が駄目なの、バレて無いわよね!? )」


『昊氏・・あまり戦意を挫くのは・・』


「ジキア君は、この為に呼びました」


「言っちゃた!?」




こ、コレが前世で魔王と呼ばれた御方の暴威か。




「そ、そりゃこん中じゃオレが一番弱いッスけど!?」


「男なら男らしく、しなさい!

幹太が欲しくないのですか!?」


「欲しいッス!」


「なら食べなさい!

生き汚いぐらい逞しいのが、調度良いのです!!」




まあ、母さんは母さんなりにジキアを強くしているんだろう。

たぶん。

おそらく。

( ディッポ団長も、ジキアに似たことを言っていたし。)




『自分は一番後ろで漫画を読んでいる。

付いたら呼───』


「・・『三者を超えし者』さん?

その本・・幹太の部屋の本ではありませんか?」


『え? あ・・か、借りた・・ました』


「幹太の部屋に入り?」


『え? あぅ・・あ?』


「僕達が寝てる間に、部屋に入ってたんだよ!」


『あ、アキハラ ソウタ!?』




ジキアと共に、『三者を超えし者』まで・・母さん相手に縮こまる。




「あ、アタシの知ってるオバさん・・もっと優しかったんだけど」


「き、緊張してんだよ・・。

たぶん。

おそらく」

 

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 誤変換:着いたら 『自分は一番後ろで漫画を読んでいる。 付いたら呼───』 [一言] まだ手の平(指)ではないの?: ソレから・・だいぶ腕の形が分かるように成った。
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