436『「おぉーっと、馬車が揺れちゃったぁ」「う、うん、馬車が揺れただけだよな」「「「だから問題無い」」」。』
元434話を、434・435話に別けました。
内容は変わっていません。
「げ・・源太ちゃんは───」
「妊娠は間違い有りません。
【巫女】様」
「ですよねー・・」
魔王討伐隊として【人土村】から出立した俺達。
大人数の旅だ。
当然、戦士だけではなく食事係や医師団もいる。
・・まさか、怪我や病気以外で御世話になるとは思っていなかったが。
「私の異母姉妹なのか、異父姉妹なのか・・」
今この診察室には秋原家と彩佳と一部の【人土】・・つまり俺達の女体化を知るメンバーしか居ない。
えーっと・・俺や颯太とだと、甥と叔母の関係になるんだっけ?
父さんからは・・義理の妹、で良いのか?
とにかく、新しい秋原家の一員。
新しい家族。
いとおしくて、仕方無い。
・・だからこそ。
「その・・。
安定期前から、あんだけ飛んだり跳ねたりしてて・・お腹の子は大丈夫なんですか?」
「何分、専門ではないのですが・・危険な形跡は有りました」
「「「ええっ!?」」」
「だっ、だだだ大丈夫なんですか!?」
「はい。
というか、そもそも・・何カ月目なのかハッキリしないのです」
「は?」
未熟児とか、そうゆうのか?
「源太ちゃんが、そうゆう事したのは───」
彩佳が、自分の独り言に自分で気付いて・・何故か俺の肘を殴られる。
ファニーボーン。
「【人土村】の産婦人科医と連絡を取りましたが・・赤ちゃんの大きさと、その時間が合わなくて───結論としましては、源太さんと赤ちゃんのW自己再生魔法の結果ではないか・・と」
「なるほど・・」
今なら分かる。
赤ちゃんも魔法使い。
何か有るたび、二人で協力しあい自己再生魔法で安定したのか。
結果、ある種の若返りをしているのかもしれない。
ガロスも歳のわりには若いし・・魔法使いは皆、歳をとりづらくなるらしい。
「───でも、もう源太ちゃんには安静にしててほしい。
だから母さんは・・」
「ええ。
【空の口】と会って・・何が起こるか分からないので、万全で居れる者のみ連れていきます」
「仕方無いわね」
源太ちゃんは、ひたすら茫然としっぱなし。
父さんは看護師と共にアレコレと。
颯太は源太ちゃんのお腹に張り付き、ニヘラニヘラしいている。
俺もしたいなあ。
「【オウゾク】や劣化街破級との戦いで傷付いた人達と共に、ココで入院させます」
「分かりました。
お任せ下さい、【巫女】様」
「父さんにも、頼めるかな」
「分かった。
幹太達の戦力が減るのは心配だが・・仕方あるまい。
源太ちゃんさんは任せなさい」
さて。
「じゃあ、俺達はどうする?
【空の口】の下へ行くのは、母さんと俺だけ?」
「僕も行きたい!
源太ちゃんの子供と理太郎くんを守るんだ!」
ヒクつく源太ちゃん。
たまに顔を真っ赤にしては 「 ぐおおおっ!? 」 と、思いだし羞恥を繰返していた。
「・・颯太は付いてきてくれると、助かります」
「やったあ!」
「ですが、その前に・・」
「?」
「幹太は・・朝、起きたら裸だった───なんて事は有りませんよね?」
なんちゅう事を言いやがりますかね、うちの御母様は。
勘弁して下さい。
「朝・・隣に、裸の彩佳ちゃ───」
「「わぁー、わぁー、わぁーっ!?」」
超勘弁して下さい。
何で俺が彩佳に睨まれるん?
「では・・あの仲の良さそうな、ジキアとか言う少年が───」
「無・・・・」
「「何でソコで言い淀むの!?」」
は、裸では無いが・・異世界に来たての頃。
軽くからかうつもりでジキアやディッポファミリー傭兵団の若い衆に、もたれかかって昼寝した事は有った。
イタズラのつもりで・・暫くは薄目でドギマギする皆を楽しんでいたんだけど───ついウッカリ、ガチ寝してしまったのだ。
あのエロ集団の中・・何もされて無い・・とは・・・・いや、うん、大丈夫。
( 起きた時、服も体も異変は無かったし・・大丈夫、うん、大丈夫。)
「いいか彩佳、自分を信じるな!
俺を信じろ!
お前を信じる俺を信じろ!!」
「じゃあ有罪ね」
酷ない?
「ディッポファミリー傭兵団とやらは、後で消し炭にするとして・・今さら幹太を抜かす訳にはいきません」
なら何で聞いたん?
「途中までは、【人狼の巫女】と【人花の巫女】。
『三者を超えし者』というあの人にも頼りましょう。
手伝いに・・彩佳ちゃん、よろしいですか?」
「勿論です!」
「後は・・ついでに件のジキア君も、呼びましょう」
「あー、アイツなら喜んでヒョイヒョイ付いてきますよ」
ジキア、すまん。
「取敢ずは、このメンバーで青い世界へ出発です」




