434『置いてけぼりの、ディッポ団長。』
元434話を、434・435話に別けました。
内容は変わっていません。
「【空の口】の心は、【空の口】の中でしか癒せません。
・・行きましょう、【空の口】の青い世界へ」
「へっ・・【青い銀星王国世界】から戻ってきたと思ったら───
直後に、青い世界へトンボ返りたァな」
ヤレヤレといった感じのディッポ団長に・・母さんは首を横に振る。
「【空の口】の中へは、貴方方を連れて行きません」
「あ?」
母さんの言葉に・・ディッポ団長の口調が、機嫌悪げになる。
クチでは面倒クサがりのような事ばかり言うディッポ団長だけど・・その面倒見の良さは、俺の知る人の中でも一番だ。
唯でさえ大変な事態なんだし・・俺達を放っておけはしないんだろう。
「・・どうゆう、こった?
愛しい妹に、他人なンざァ近付けたか無ェってか?」
「ココまで来て仲間ハズレは嫌ッス、カンタさん達だけに任せられないッスよ!」
けど母さんは再度、首を横に振る。
「申し訳有りません。
今の【空の口】は非常にナイーブで・・連れていける人間は、限られてしまいます」
母さんの言葉も理解出来る。
話を聞くに、今の【空の口】は破裂寸前の風船みたいな " 危うさ " を感じるしな。
納得しかねた様子といえど・・ディッポ団長は頭をガリガリと掻きむしり───
「・・ちっ。
御姉チャン、御嬢チャン、任せたゼ」
「・・はい」
「まあしょうが無いかの。
ディッポ殿、ココは儂等に任せて・・」
「あ、源太さんも駄目です」
「何でじゃ!?」
何でや!?
てっきりチート組は全員、連れていく・・と、思っていたんだけどな?
「昊の妹だと言うなら、儂の娘も同然!
幹太ほどの魔力は無くとも、女魔法使いとして助けようぞ!?」
源太ちゃんは『俺達の元・祖父』という───女体化に加え、『若返り』を隠そうとした結果・・ウチの中でも、『謎』扱いだ。
最初は俺達姉妹の母親か? と思われていたり・・( 見た目は ) 遥かに年上の父さんがペコペコしたり・・。
今の 「 儂の娘 」 発言で、どよめきが一瞬で広がった。
中には、父さんと良すぎる仲に・・父さんと付き合っていると思っている人も居るんだよなあ。
そんな中、母さんは冷静・・というか、やや呆れた感じで源太ちゃんを見つめ───
「源太さん・・熱っぽかったり、ダルかったりした事は有りませんか?」
「うん?
んなモン、戦おとったら多少有ろうが・・何じゃ!?
風邪なんぞ、引いとらんぞ!?」
「では幹太・・先程、ラカ達の接近に気付いた魔法を使ってみて下さい」
「ん? わ、分かった。
元々は、肉や魚の中の寄生虫を探す『寄生虫探査魔法』として作った魔法を生命探査魔法にして───」
だからあのパニックの中で咄嗟に作れたってのも有る。
「ああ、ならばソチラを。
寧ろ、ソチラの魔法の方が分かりやすいかと」
「う、うん・・?
いくよ、生命探査魔法!」
やっている事は同じなのに、何故か寄生虫探査という名前を嫌がる人が多いんだよな。
「───って・・え?」
「やはり、そうですか」
「え? はっ? あの・・ええっ!?」
「か・・幹太が、ココまで動揺すんのも珍しいわね。
どうしたの!?」
「ま・・まさか敵ですの!?」
「えっ、いや・・その」
うー・・あー・・・・。
「源太さん」
「な、何じゃ?」
「生理・・来てますか?」
「「「「 !??? 」」」」
皆が、呆気に取られる。
・・だよなあ。
分かる人は、一瞬で母さんの言わんとする事を理解し───いや・・理解したからこそ理解しかねて、呆気なんだが。
・・俺も自分で何を言っているか、よく分からんの巻。
「げ・・源太ちゃんが───に、妊娠してるっ!!!」
「はあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」




