430『恋愛は戦争だ。』
「僕と理太郎君は小1から御付き合いしてるもん!」
〔アンタが小3って事も信じられないのよ!?〕
〔ふ、二人とも喧嘩は・・〕
〔「 理太郎君は黙っててっ!! 」〕
パソコンは三人 ( 二人? ) に取られた。
・・ので、俺達は再び無線機で会話。
( データは別のパソコンを繋げてどうにか出来るらしいし。)
〔ラカ達は・・日本に現れ、日本を襲い───真っ先に消えたのは、日本以外の大国からだったのさ〕
「ま、真っ先に?」
〔言い難いんだが・・日本人は【アジ・タハーカ】より、君達に悪意を持っていた〕
「ソレは予想通りだし、別にどーでも良いかな」
無論、秋原家や彩佳に【人土】への悪意は・・日本人だろうと焼きゃ───ゴホンッ、俺も悪意を抱くけど。
「・・【ファフニール】より、今のアンタの方が恐いんだけど」
「そうか?」
〔と、とにかく。
日本人は【アジ・タハーカ】に恐怖はしても悪意は抱くことは無く・・むしろ外国の方が【アジ・タハーカ】に悪意を抱いていてね〕
「あ、まさか日本に再び出現した街破級・・【ファフニール】に対して日本ごと───なんて考えたんじゃないでしょうね!?」
〔そのまさか・・だよ〕
崖下さんの言葉を、通訳で聞いていたディッポ団長が、タメ息をつく。
「ひょっとして『カク戦争』ってェ奴か?」
〔・・に、成りかけたんだ〕
実は以外とTVマニアな、ディッポ団長。
基本、何でも見るけど・・特に将棋や囲碁番組の他は子供向け番組もけっこうお気に入り。
そんな中・・戦争や兵器関連の映像は趣味以外の目で【人土】達に頼んで、かなりガチに見ている。
「『カク』って・・えっ?
まさか、日本に『核』を!?」
〔日本人ごと【ファフニール】を殺ろうと言うなら・・どんな『正義・平和』を謳おうと、ソレは悪意さ〕
「傭兵団が敵をブッ殺すのに『殺意』は持っても『悪意』は持たねえ。
ミサイルをブチ込もうとした政治屋は戦士じゃ無ェな」
リャター夫人の女学園にて【デロスファフニール】を殺った時は、誰もが唯必死で・・悪意を持つ暇は無かった。
悪意なんて『余裕』は、現場に居ない者の特権だな。
〔そういう事だ。
【ファフニール】の泥を、魔女達が世界中に運び・・日本にミサイルを撃つと決めた───悪意を抱いた国から【ファフニール】が大増殖し、消えたのさ〕
核を持つ国・・日本人に被害が出ても良いって国、ねえ。
〔皮肉な事に【ファフニール】を倒せない国が生き残ったんだ。
強い国と、魔女が恨みを抱く国は、一致する場合も多いしね〕
「一致しない・・魔女に狙われているけど、強い戦力は持たない国は?」
〔新生された国際連合軍が出向く〕
そういった事を繰りかえし、生き残った国々の軍隊を吸収し、現在の国際連合軍となったとの事。
「日本はどうなっているんですか?」
〔分裂している・・といっても過言じゃない。
未だに君達が悪いって言ってる連中が半テロ組織化してんだよ〕
【アジ・タハーカ】来集後、俺達へのヘイトスピーチを繰り返して報道していたTV局。
対応が後手後手にまわり、あげく素人である俺達が事件を解決してしまい面目丸潰れの警察。
当時のヤトー。
( 現在の日本では、ヨトーヤトー共に悪意を持たない思想らしい。)
ソレを信じる、自称情強。
───『悪意』の塊。
日本に居た時から、テロ擬きの事はしていた気もするけど。
〔オレ個人意見はともかく・・自衛隊としては、彼等も日本国民だから助けなきゃ成らないんだけど───対魔物最強戦力たる【人土】が・・ね〕
「んな連中、ワタシが日本に残ってても、『絶対に助けるな』と言ったよっ!?」
「「「 そうだそうだ! 」」」
【人土】達が俺を庇おうとする気持ちは有難いけど・・彼等に対する魔女の被害を放っておけば、更に俺達に対する『悪意』が膨れる。
『悪意』が膨れれば、更に【ファフニール】被害が増え・・という、悪循環。
近しい人を守るには日本を守らねばならず、日本を守るには俺達に悪意もつ者も守らねばならない訳だ。
〔・・まあ、そんな感じでね。
幹太ちゃん、コッチに帰ってきてくれないか?〕




