43『あーそうだよ、また男のえろぴんちだよ。』
【ゲラェブ領】領主ダロス。
彼には三人の息子がいる。
長子と末子は魔法の才能があるが、次子には欠片も無い。
貴族の地位は一に魔力。
故に次子は貴族であって権力は持たない。
「坊っちゃん、ヤバいですって!」
「そうですよ、リャター商会の土地に不法進入するなんて・・!」
普段、リャター商会が所持するこの山には女学園関係者しか居ない筈なのだ。
しかし今、二組の部外者がいる。
女学園生徒に世の常識を教える為に呼ばれた傭兵と、金 ( だけ ) はかけられている鎧姿の三人組の男達だ。
「うるさいっ!
兄も弟も魔法が使えるってだけで威張りやがって・・!
父上の望みを叶えるのはこのボクだ!」
「ですが・・謎の『対、村破級』傭兵の噂の中では
『リャター夫人の仕事を受けた』
というのが、一番確度が低く──」
「うるさいうるさいっ!!
傭兵を探るついでにリャター商会にダメージを与えられたら、なお良しだろ!」
三人組の男・・【ゲラェブ領】領主ダロスの次子、『デロス』が怪しげな目付きで山の奥へと消えてゆく・・。
◆◆◆
「あ゛あ゛ぁ~・・やっぱ日本人はお風呂ですなあ・・」
「そうですなー・・」
颯太と並んでお風呂。
温泉じゃないけど、窪み脇の岩で簡単な衝立を ( 颯太が ) 作って露天風呂を楽しむ。
「あ・・あの・・御姉様? ソウタ様?」
「「んん~?」」
「カンタさん? ソウタさん?」
「「んん~?」」
衝立の向こうからザレと学園長が話しかけてくる。
「──だ、駄目ですわ・・。
お風呂の魅力に我を失っています・・」
「あらあら・・。
これはもう襲っても文句を言われる筋合いはないわよねぇ・・?」
「みィんなも~・・入ってきなよォ~?」
「「 !?? 」」
あー・・想像以上にお風呂に飢えてたっぽいなあ、最後に入ったの何時だっけ・・まあど~でもイイかあ・・。
「えっ!? あの・・!?
さ、触りますわよ!?」
「イイぞ~」
「はぅっ・・このバカ可愛・・無防備さがまた・・♡」
「「「じゃあオジャマしま~す♡」」」
「・・あっ、ちょ・・!?」
「・・ザレ、学園長も・・。
もう諦めなさいよ。
色々規格外のこの人達に常識的な何かを求めても・・ああ・・これは確かに気持ちいいですね♡」
「「「きゃあ、温か~い」♡」」
ボォーッとした頭で浴び湯程度の説明。
「綺麗な水を大量にこんな使い方・・はふぅ」
「だろぉ・・?」
◆◆◆
颯太の裸だけならともかく・・23人の裸の女生徒達に囲まれ、ちょっと落ち着いてきた・・というか、お風呂酔いが醒めて、落ち着かなくなってきた。
あれっ・・この状況、ヤバくね?
ジキア達相手に鼻血を吹いてたのとは違う・・忘れかけてたナニかと共に、恥ずかしさが込み上げる・・。
颯太は・・まあ、平気そうだな。
危険人物のはずの学園長とザレは・・俺達の方 ( っていうか俺の胸を ( 更にっていうか結構女生徒みんなが )) をチラチラと見てくるも──
結局お風呂の魅力に 「 はふぅ 」 となっている。
お風呂は偉大だ。
変な気にならないうちに ( まだ完全に女になった訳じゃないんだなあ、とか思いつつ ) 俺は出来るだけ誰の裸も見ないよう遠くを見て・・ん?
「誰だ!?
エア・マインっ!」
「「「ぉわああぁっ!!?」」」
恥ずかしくて裸を隠したかったけど、もう散々みんなに晒した後に今さらどうやって隠そうか思案してたし丁度良い。
感情レーダーにて岩場の陰に見えた悪意に、殺傷力を極限まで省いた吹き飛ばし用魔法を撃ち込みながら服を纏う。
男三人組がぶっ飛んでくる。
お風呂で多少蕩けてたとはいえ・・失態だ!
「誰だオマエ等!?」
「くっ・・このボクを誰だと思って・・」
「女ァ・・男に敵うとでも・・」
あっ、『起ってる』。
「──た、唯の覗きじゃねえかぁぁ!?
男のチン○ンなんかに今さらビビるかボケぇ!!!
摘まんで丸めてポイじゃあ!!!」
「「わ・・私達も・・!
男尊女卑がなんだァー!!」」
「もぎましょう!」
「ネジ切りましょう!」
「炙ってその辺の魔物に食わせましょう!」
「「「い、いやぁーーー!?」」」
知ってるか?──
時に、女の方が下ネタえげつないって事を・・だいぶ脳が女性化しつつある俺もまた・・『危険な人間』なのだよ・・。
美しい、全年齢お色気シーンを描ける作者様って凄いですなあ。




