429『この小説、○リが多すぎ。』
〔日本は、自衛隊と【人土】の皆さんと、あの日から準備していたからね・・世界でも最も被害が小さい国と言える〕
「じ、じゃあ理太郎君!
理太郎は!?」
「あ、アタシの家族は!?
海野家のみんなは・・!?」
半狂乱気味に、颯太が無線機に掴みかかる。
颯太のパワーだと、無線機を壊しかねないぞ!?
「げ、源太ちゃん!?」
「うむ。
颯太、気持ちは分かるがの。
落ち着くんじゃ」
「でも、でもぉ!??」
「彩佳も落ち着けって!」
「・・・・っ」
源太ちゃんが颯太を無線機から引き剥がす間に、無線機に保護魔法をかけとこう。
〔颯太ちゃん、彩佳ちゃん、君達の関係者は全員無事だよ。
日本は、被害が小さいと言ったろ〕
「そ・・そうなんだ。
有難う、崖下さん!」
「アタシも、有難う御座います」
俺達の関係者・・整体師の木島さんとかか。
秋原家に親戚は居ない。
源太ちゃんや婆ちゃんは一人っ子だし、父さんの両親は俺が産まれる前に亡くなっている。
正直、無事を祈る関係者が少ない。
〔【巫女】様の関係者は救うのだー!
って、コッチの【人土】達が頑張ったんだぞ〕
「有難う御座います」
「【人土】たる者、当然さね!」
山柄さん達の鼻息が荒い。
はいはい、感謝してます。
「け、けど・・自衛隊と【人土】が協力して・・ソレだけで世界一安全?」
〔君達が旅立って半年後、ラカ達が現れた訳だけど・・その一週間程前だったかな?
突然【人土】達がパワーアップしたんだよ。
君から莫大なチカラが送られた・・とか何とかで〕
「ああ、【真・人土の巫女】になったから・・」
日本から異世界へ二度目の転移をする時、俺達より先に源太ちゃん達が転移した。
その際、世界を跨いでも魔力パスは繋がったままなのは確認していたけど・・。
世界の差異は関係なく【人土】に魔力を送ったようだ。
〔【アジ・タハーカ】が襲ってきたあの日から、【人土】と自衛隊は異世界からの脅威対策を重ねてきた〕
「世界で一番最初に対策出来た訳ですね」
【アジ・タハーカ】の死骸は、各国が外交圧力をかけてきてまで欲したそうだけど・・結局、【人土村】ごと死骸も転移した。
ジート砦からの記録を持つ【人土】以外の外国に、魔物を研究する方法は無かったんだな。
〔パワーアップしたあの日、異世界で君達になんか在ったのは明白だからね。
コッチは半年の成果を展開したのさ。
・・政治家は難色を示したけどね〕
ある意味、一番異世界に近い国が一番異世界対策に乗り気じゃ無かったってのは皮肉としか言いようが無い。
〔ところで幹太ちゃん、その無線機魔法とやらは他の器機と繋げられないのか?
先の【人土】は、自分を介して【巫女】様と無線機が繋がった・・とか?〕
「無線機は飽くまで媒介で・・電話でも繋がりはするんですけど、電話番号に対応出来なくて」
〔早い話が、決まった受信機と送信機に干渉してるって訳だな。
パソコンか、せめてファックスと繋がらないか?〕
「そっちの、無線機魔法と感応した【人土】の方の協力が有れば・・たぶん」
〔分かった、ちょっと待ってて。
・・どうだい?〕
ガタガタと、複数椅子を引く音などが聞こえる。
おそらく、同じ部屋に件の【人土】が居るのかな?
〔・・は・い。
・・・そ・・の・・無線・・魔・・と・・いう魔力パス・・も・・感・・アナタ〕
「・・ん?」
アナタ??
〔幹太ちゃん、お待たせ。
問題ないみたいだから───〕
「・・あの、済みません?
微かに、女性の声で「 アナタ 」と聞こえたんですけど??」
〔ああ、聞こえたか。
実はその【人土】はオレの妻なんだよ。
共に魔女と戦うウチに・・ね〕
そ、そうか・・あっちの世界に魔女が現れて、一年ともうちょい・・ぐらい?
親しい男女なら、そういう事も有るか。
・・ただ。
「───何歳?」
〔は・・ハイっ!?
な、何の事かな!?〕
「何歳ですか?」
日本語は分からねど、ディッポ団長がチラリとクラッゲさん達を見てた。
正解です。
〔・・・・・・・・合法〕
「いや、法律の話でなく・・ひょっとして、同意の上ならOKな法律でも出来ました?」
〔に、日本以外で世界中の人数が減ったからね〕
まあ、颯太と同年代って声には聞こえなかった。
合意で合法なら、これ以上は良いや。
( 相手を不幸にさえしなけりゃ。)
ソレよか、無線機魔法だ。
コチラも準備が出来た。
「・・行きます。
無線機魔法・・!」
〔・・おっ!?〕
相手が【人土】といえど、面識が無いと『どの魔力パスが彼女か』を探しだす事はほぼ不可能た。
だからまず無線機越しの崖下さんを意識し、更にその先の【人土】さんを意識し、パソコンを意識する。
パソコン・・何歳なんだろう・・じゃなく、パソコン・・その・・通信機───見つけた!
「全力・無線機魔法!
・・繋がった!」
「ネットに繋げます・・繋がった!」
「アンタ、何なの?
Wi-Fi? タダでネット出来るの?」
「し、知らんよ、魔法万歳だよ」
ウチでは父さんしかパソコンは使わないので、よく分からん。
イメージでは『無線』機魔法と言いつつ、魔力パスによる『有線』で繋がっている。
「あ、崖下さん」
〔凄いな幹太ちゃん。
パワーアップした【人土】には何度も助けられたけど・・君は想像を超えるよ〕
「当然さね!」
〔当然ですよ!〕
山柄さん達の鼻息が荒い。
パソコン画面の、崖下さんの隣に居る───女性の鼻息も荒い。
・・う、うーん?
・・・・う"う"ー"ん??
取敢ず、クラッゲさんとナムァコさんが画面を見て何故か 「 フッ 」 と、勝利者の笑みを浮かべていた。
・・まあ良いや。
【人土】の彼女に会釈する。
〔コッチの連合軍各支部と、無線機魔法を繋げられないかい?
異世界とすら繋がるなんて、有用性高すぎるよ。
中継基地がヤラレて、連絡とれない場所も有るんだ〕
「いやあ・・直接見れないパソコンは、コレ以上さすがにキツイですよ。
想像力の限界です」
〔そうか、なら無理は言えないな。
───っと。
颯太ちゃん、理太郎君と連絡がついたよ〕
「ほんと!?」
〔ちょっと待っててね、今画面に・・〕
笑みから一転、颯太が急に慌てふためく。
「か、幹太姉ちゃん・・僕、変じゃなあい!?
ああっ、さっきまで戦ってたから服とかボロボロだよぅ!」
「大丈夫、颯太は可愛いぞ!」
「でも・・」
颯太は半泣きに近い。
まあしょうがないか。
俺にとっちゃあ、どんな颯太も可愛いすぎる。
「颯太」
「あ、彩佳姉ちゃん・・」
彩佳が颯太に視線を合わせてしゃがむ。
やや怒った表情。
「アンタ、異世界へ旅立つ時・・理太郎に勇者である事を誓ったんでしょ?」
「・・う、うん」
「なら戦いの汚れは誇りなさい。
・・ソレとも理太郎ってそんな事をクチ煩く言う、しみったれなの?」
「ううん、違うよ!?」
「なら堂々としてなさい。
大丈夫、アンタは可愛いわ」
「・・うん!」
あらやだ、彩佳さん男前すぎですわ。
キュンとしちゃいましたわ。
〔───颯太っ!〕
「ひゃっ!?
り・・理太郎・・くん?」
〔おうっ、久しぶりだな!〕
おおぅ、この年頃だと一年以上の成長は顕著だな。
背も伸びたし、顔も若干とはいえ男らしさが見え隠れしている。
「・・・・」
「そ、颯太?」
あ、颯太の目がハートマークに成っている。
顔を真っ赤にして、クチが半開きだ。
天使を連想させる。
可愛い。
「・・・・」
「・・・・」
「と、父さん?
母さん?」
理太郎君に対する颯太に対して───
顔を真っ赤にして、クチが半開きだ。
鬼を連想させる。
恐ろしい。
「幹太」
「は、はい」
「理太郎君は私も知っています。
颯太がウチに連れてきた事が有りますので」
「さ、さようで」
「ですが、その時は唯の少年でした。
彼は大物の『 魚 』ですか?」
「さ、サカナ?」
どうしよう、母さんの言っている意味が分からない。
取敢ず、以前半グレに襲われた時の事を説明。
男気は強いよ?
「・・そうで───」
〔理太郎、ちょっと!?〕
・・ん?
知らん少女の声?
突然、パソコンの向こうで戸が開く音がしたと思ったら・・今の理太郎と同い年っぽい少女が、画面に飛びこんできて───そのまま理太郎君に抱きついた。
・・おわ。
一瞬で颯太が凍りつく。
〔ちょ・・バカ、離れろ!?〕
「理ぃ太郎ぉぉくぅーん?
その娘、だあぁぁぁぁれ?」
〔はっ? アンタこそ誰よ?
幼稚園児かしらァ?〕
〔ち、違・・この前、【ファフニール】に襲われてるコイツ等家族を助けたら・・なつかれて───
バカ、離れろっ!?〕
颯太が怖いんJyaI!?
どう見ても、理太郎君の方は迷惑がっているんだけどな・・?
「・・はあ、颯太」
「ん、んぅ?」
「秋原家の人間は───
色狂いに苦労させられるか、色狂いで苦労するか・・そのどっちかです」
「・・そうだねぇ」
「そ、昊!?
誰の事を言うとるんじゃ!?」
「か、母さん!?
私は母さんが初恋で、浮気などしていないぞ!?」
マトモなのは、俺だけか───
ぐぇふっ!?
な、何故に彩佳とザレに、ツイン・ボディブローを食らう!?




