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その姉妹品、危険につき──  作者: フユキ
その姉妹品、危険につき──
425/547

425『虹色になって。』

 

彩佳の一歳下の妹、海野 奈々。

進学校でトップを競う程、頭が良かった。

・・が。


日本に転移した魔物経由で洗脳能力がある黒キノコに寄生され、色々と倫理観が再構成された結果・・マッドサイエンティストになってしまう。


植物操作能力を持つビタ(人花)と仲良くなり、黒キノコを違法───ゲフンゲフン。


あー・・・・。


特殊? 改造? により、二種類の黒キノコを作りだした。


一つ目は、彩佳が身に宿した・・普通の人間を疑似魔法使いである【人茸じんたけ】とするキノコ。


二つ目は、【人茸じんたけ】と成った彩佳以外、近付く事すら出来ない猛毒のキノコである。




「た・・確かにアタシも【人茸じんたけ】として、キノコ操作の練習はしてるけどね!?」


「街破級とはいえ・・肉体のある生物である以上、【アジ・タハーカ】にも通用する筈だろ?」


「日本に現れた【アジ・タハーカ】は、元々その手で倒す予定だったね」




日本人組と、日本に転移したザレ・リャター夫人・ビタの三人は 「 ああ、そういえば 」 といった顔。




「とにかく、魔法しか武器が無い俺は【アジ・タハーカ】を抑えるので精一杯だ!」


「・・わ、分かったわ!

アタシはどうしたら良いの!?」


「俺の魔力を使える今の彩佳なら、黒キノコを『遠隔』『高速』『同時複数』操作できる筈だ!」




颯太と源太ちゃんは、俺の魔力を上乗せした身体強化魔法による拳・剣で【ファフニール】&【アジ・タハーカ】を圧倒している。

す、スゲェな。

・・あ、今分身した。


母さんと『三者を超えし者』も、其々の能力で街破級二匹を圧倒している。


後は彩佳達のみ。




「俺が使う『炎』の要領で、『黒キノコ』の指向性面制圧魔法クレイモアを撃ってくれ」


「えーっと・・うん、幹太の魔法は使えそうだわ。

だけど、ブッツケ本番で狙い打ちには出来ないわよ!?」


「ソコはまあ・・周りの皆に・・」




俺がそう言うと───

・・あらやだ、周りが渋い顔。




「前になァ・・彩佳御姉チャンの練習に付き合ってやった事はあるんだけどよう・・」


「あのキノコに魔物が触れた瞬間・・全身の穴という穴から、ドス黒い血を吹きだして踠き苦しみながら死んでったッス・・。

未だに夢に見るんスよね」


「人を、恐怖が顕現した存在みたいな言い方しないで!?」


「我も見たな。

生けとし生ける全ての生物を殺す茸と、生けとし生ける全ての生物を操る茸・・ソレ等を操るアヤカは───」


「ひっ、人を・・全生物の天敵みたいな言い方ヤメてくれる!?」




ドクツルタケだのカエンタケだのを混ぜた、つってたからなあ・・。

奈々と一緒に黒キノコを作ったビタは「 えっへん! 」 と、誇らしげに胸を張る。


・・うん。

まあ役立つし、良いんだけどさ。




「ちっ、しょうがねェか。

御姉チャンの魔力を受け取っても俺達じゃあ、まだ村破級を相手にしてた頃の感じだしなァ」


「あらあら~。

『何時か、その内に』でなら私達だけで、街破級を倒せそうなのだけどねぇ~」


「通常、3000人を必要とする街破級を二匹も相手どり、この極少人数で倒せる事が異常なのだ」


「ですが、ソレまで御姉様が持つかは分かりませんわ!」


「確かソウタが【コカトリス】を倒した時は───誰か!

魔法使いは、この石に魔力付与を頼・・あ、今の私なら自分で出来るのか!?」




接近戦特化の傭兵団や【人狼じんろう】達が剣槍を置き、颯太の技『石蹴り』を放つ。


颯太ほどじゃないけど、サッカーボールでゴールネットを突き破れそうな威力だ。

( 拳銃なみのスピード。)


弓矢部隊は弓の方が持たず、折れかねないようで直接、矢を投げていた。




「我々が魔力付与武器で【ファフニール】と【アジ・タハーカ】を牽制する!

アヤカは動きを止めた奴等を狙え!」


「ええ、分かったわ!」




◆◆◆



【ファフニール】と【ニーズホッグ】と【フレズベルグ】には、ソコソコのダメージを与えた。


だけど、決定打が与えられない。

【アジ・タハーカ】の防御範囲を越える攻撃だと、どうしても『薄く広く』になるからな。


三匹とも縮小版とはいえ・・まだまだ巨大な重量級。

・・致命傷には程遠い。




≪化け物め・・≫


≪ふっ・・ふはははっ!

ま、全くもって馬鹿げた魔力だ≫




多くの魔女が、俺を怪訝そうな目で見る中・・ラカだけが笑う。




≪この人数に、此処まで魔力を配って尚、街破級四匹と拮抗するとはね。

此なら【空の口】様の魂は君一人分で癒せるかもしれないな≫


「【空の口】の全力知らんし」


≪我々が保証するよ。

・・だけど皮肉だね、巨大過ぎる魔力ゆえに本気を出せないとは≫




ラカが、チラリと俺の両腕の包帯を見る。

【巫女化】はしていない。

対【空の口】がどうなるか、分からないからな。




≪君が『三者を超えし者』と呼ぶ彼女も、【魔王の粘土】のチカラを制御できず土砂の巨人として戦っているみたいだけど───≫


≪・・【皆の巫女】とは、同じ理屈か?≫




初めて『三者を超えし者』と出合い、戦いになった時は・・確か国境の村商工ギルド館の一部を巨人化させていたっけ。




≪自らの肉体では耐えきれない出力分を、別の肉体に渡す事で戦力にしていると見たけど≫


「まーな」




ラカの表情が歪んでゆく。

笑う。

笑う。

憎々しげに、顔を歪ませて笑う。




≪全く───

ああ・・本当に全くだよ!

王族から奪った数々の技術・・此が切り札だったのに!

───切り札の・・つもり、だったのに!≫


「あ?」


≪切り札なんか残ってないんだ。

・・もう我々には・・ねえ≫


「き、切り札は初手で使え。

出し惜しみしたから、そうなるんだ」




・・なんだ?

俺が、【空の口】の為に【巫女化】を残しているのとは違い・・コイツ等の敵は俺達のみ。

切り札を残す意味は無い。


周りの皆も、続々と戦いに終止符がうたれてゆく。




「いっけぇ!

超・魔力吸収パーンチ!!」


「止めじゃ!」


『自分達の勝ちだ』


「ラカ・・もう終わりにしましょう」


「臭い臭い臭い!?

アヤカ、貴女のキノコに触れた瞬間・・魔物が有り得ない色になって死にましたわよ!?」


「げほっ、がふっ!?

おいっアヤカ御姉チャン!

このシューシューいってるピンク色の煙、吸って大丈夫なのか!?」


「めっ・・目が臭いッス!」


「ピヒタ姉様が吐いたのです!?」


「し、知らないっての」




≪・・・・≫




ラカの目は、絶望を見ている・・のか?

 

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[気になる点] 誤記:保たず 弓矢部隊は弓の方が持たず、折れかねないようで直接、矢を投げていた。
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