424『都合イイ女。』
≪君は【空の口の巫女】なのだよ?
もう少し、彼女の事も考えたまえ≫
「【空の口】殺す、つっといて・・どのクチが言うんだよ」
≪ソレはソレ。
コレはコレ、という奴だね≫
「都合イイなあ」
・・【三種族の巫女】とは。
洗脳魔法ふくめ、『対【空の口】』とした【空の口】の魔力 ( 魂 ) を封印する目的で作られた。
その他、『三者を超えし者』は二千年間生きのびた故、皮肉にも気付いてなかったそうだけど・・『寝所』で眠る『三者』を癒し保護する役割もあるそうだ。
≪王族が【空の口】様の魂を傷つけようと、君のお陰で無事だったのだ。
【巫女】を自覚するべきだ≫
「【巫女】っつってもなあ・・。
勝手に俺の魔力を啜っているだけじゃん」
【空の口の巫女】として期待されてんのは、コッチの効果だな。
他にも・・。
【人狼】の元長が襲ってきた時、【巫女】のチカラは・・種族へも流れる云々の話があった。
コレは、【空の口】へは魔力が流れているんだし・・たぶん【人土】の皆にも流れているんだろうけど、意識した事は無い。
山柄さん達【人土】の皆さんには、世話になっているんだから魔力を渡すのは良い。
だけど元々、【人土】じゃ ( もっと言えば、魔法使いですら ) 無い俺には・・【人土】達とのパスと、他の皆とのパスとの違いが今一つ分かんないんだよ。
まあその辺は、ザレもビタもピンと来ないらしいけど。
ただ・・『似た』事は、やっている。
「ようは───
俺が魔力付与料理を作って、皆がソレ食ってチカラを上げてんのと同じっぽいんだよなあ・・」
【人土】へのパスと、皆へのパスが同じ。
この場に居る皆は、俺の魔力付与料理を食わしている。
・・・・。
「───魔法の奥義は想像力。
想像さえ出来れば、魔力は応えてくれる」
≪・・何だい、イキナリ?
想像力だけで、魔法特化の【アジ・タハーカ】を倒す魔法を作ろうとでも?
流石に無謀だよ≫
「【巫女】のシステムもまた、魔法って聞いた」
≪・・?
そうだね、だから?≫
・・なら。
ソレならば。
≪まさか・・【空の口】様の【巫女】を辞め───≫
「いいや。
もうちょい、【巫女】を兼任しようかな・・と」
≪は?≫
つー訳で・・。
「ディッポ団長ぉー!
彩佳ぁー!」
「・・・・」
「だが断る」
まだ何も言ってませんが?
「・・って、言いてェけどな。
ぜってぇまた俺の寿命を縮める事を思いついたんだろうがな。
・・ヤりな、御姉チャン」
「もうアンタの幼馴染みである時点で、その辺覚悟してるから」
酷ない?
まあ良いや。
・・そういや以前、ジキアに冗談で言ったなあ。
「俺は!
【ディッポファミリー傭兵団の巫女】に成ります!」
「───ぐおっ!?
何だこりゃ・・俺に、馬鹿げたチカラが・・!?
・・見える、魔力が見えるぞっ!?」
「『魔力譲渡』とも違う・・魂と魂が直接繋がったみたいッス!」
≪ば・・馬鹿なっ!?≫
・・成功したか。
俺の魔力付与料理を食べた【人土】は、物流回復の旅で著しく魔力が上がった。
彩佳の説では、「 【スライム】がそうゆう生態なんじゃない? 」 といった感じだったけど・・。
もし、そうなら───
【人土】が、俺の料理を何でも 「 美味い 」 と言うのは有りえる。
・・けど、ソレ以外の人間が美味いというのはオカシイ。
異世界転移した【人土村】に辿りついた時、【人花】に与えた魔力付与野菜を彼等は 「 美味い 」 と言った。
死んだ魔物肉の魔力でもないのに。
生きた俺の魔力なのに、だ。
・・アレが最初のヒントだな。
【巫女】システムのこの辺、かなりシンプルというか大雑把というか。
単純なモンだ。
「御姉チャン・・コレ、魔力汚染とか起きねェだろうな?
そんなに俺の心臓に怨みでもあんのか?」
ディッポ団長って、たまにビビりだよなあ。
「慎重って言え!
感情が流れ込ンでやがるぞ!」
ごめんちゃい。
・・さて。
「俺は!
【ウェスト傭兵団の巫女】に、
【ペリオラ傭兵団の巫女】に、
【白百合騎士団の巫女】に、
【ガロス騎士団の巫女】に成ります!」
「「「コレは・・こんなっ!!?」」」
「カンタ・・オレはオマエに会えて良かった。
生涯をかけてオマエに忠誠を誓う!」
「ふん・・対街破級傭兵団が唯の手駒か。
構わん、好きに使え!」
「ああ・・初めて会った時の直感に従って良かったわ・・。
貴女こそ私達を導く者よ・・!」
「はっ・・!
世界征服───ソレも、我が知る以上の世界の・・貴族だ王族だは関係無い、か」
もういっちょ!
「改めて!
『三者』の意思は関係無い・・俺の意思で、本当の意味での【人土の巫女】に成ります!」
「幹太さん・・」
「「「我等が【巫女】の御心のままに!」」」
まだまだ!
「ザレ、俺はザレ達も救いたい!」
「御姉様っ!?」
「俺は、ザレと共に【人狼の巫女】に成る!」
「御姉様・・ワタクシは御姉様と共に!」
「「「ザレ様が認めたのならば・・我等は、ザレ様と貴女と共に」」」
もっとだ!
「ビタ・・俺達は親戚同士だったんだ。
家族は助け合わなきゃな!」
「私も、カンタお姉さんを助けたいのです!」
「俺は!
ビタと共に、【人花の巫女】に成る!」
「「「美味い料理で魔力譲渡でも良いんですけど・・まあ良いか」」」
≪重ねて、【巫女】に成るだと・・!?
そんな・・そんな馬鹿な!≫
「知らなかったのか?
世の中大概は『成るように成る』んだぞ?」
≪フザケるなあァァァァ!!≫
「フザケちゃいないさ!
『三者を超えし者』、オマエの【巫女】にも成るぞ!」
『【巫女】を作った自分が【巫女】の上に【巫女】が【巫女】ってる・・??
や、やはり貴女は・・理の外にある』
≪止めろォォォォ!≫
空間が揺らぐ。
今度こそ本当に『壁』が軋んでいるらしいな。
「安心しろ、コレで最後だ!
俺は!
【秋原家の巫女】と【彩佳の巫女】に成る!」
「幹太姉ちゃん!」
「" ちいと " の上から更にチカラが湧きよるのォ」
「幹太・・無茶はして欲しく無いが・・この繋がりは、暖かいな」
「ああ・・いとおしい幹太。
アナタは。
家族仲間を守る事を至上に思うアナタなら・・その魔力は無限大です」
「何でアタシ最後?」
秋原家の、家族の皆から、とても暖かいモノが流れ込んでくる。
もっと早くにヤれば良かった。
彩佳からは、目を背けたくなる感情が流れ込んでくる。
もっと最初にヤれば良かった。
「す、すまん。
今回の鍵は彩佳だから」
「あ、アタシ?
アタシが何なのよ」
「彩佳の最強の武器・・対【アジ・タハーカ】に向けて ( ? ) 作られた『キノコ』を使う」




