表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
その姉妹品、危険につき──  作者: フユキ
その姉妹品、危険につき──
418/547

418『そりゃ、続けますよ?』

 

「母さんの、前世・・前生からの味方で、俺の前生からの味方?」


≪そうだね。

君が、クキと呼ばれていた時からの味方だよ≫




魔力体の・・魔女たち。

母さんが言う『人間嫌い』の言葉どおり・・俺達を見下している目、怯えた目、汚らわしい物を見る目が殆んど。


その中の一人。

何チャラ諸島的な、ちょい南国っぽい格好をした魔女が先頭に出てくる。


目は───

懐かしい友人を見る目・・っぽい(・・・)目。




≪我が名はラカ。

【空の口】様の御力により、人間の身と名を捨て・・魔女となったもっだ≫


「ラカ、さんか。

悪いけど・・俺はクキとやらの記憶は欠片たりとも無い人間、秋原 幹太だ」


≪知っている。

君の様子は【空の口の巫女】として、逐一情報が来ていたからね≫


「逐一!?」




逐一・・って事は、俺達の情報は筒抜け───




≪貴女、魔女の子たる者・・男にはもっと警戒せよっ!?≫


「はあ?」




突然、『ラカ』とか言う魔女の後ろに居た別の魔女が・・泣きながらコチラを指差す。




≪・・その隣の男である!≫


「・・?

ジキアの事か?」


≪なんで我が監視番の時にぃぃぃ!!

あんな・・あんなモノを見せつけて・・アレの先から───

あ"あ"あ"あ"ぁ"あ"ぁ"あ"あ"あ"あ"っ"っ"っ"!!≫



「「「「・・・・」」」」



皆が。

皆の視線が。

ジキアに集まる。


秋原家の。

ディッポファミリー傭兵団の。

ウエスト傭兵団の。

ペリオラ傭兵団の。

リャター夫人達と女学園生徒の。

白百合騎士団の。

各騎士団の。

人土じんど】の。

人狼じんろう】の。

人花じんか】の。


場の皆の視線が集まる。


ジキアは・・羞恥に赤くなっているのか、絶望に青くなっているのかよく分からん。


分からない(・・・・・)人は一様に、首を傾げ。


分かる(・・・)人は・・まあ、合掌したり、咳払いしたり、自分だったらと想像して顔を青くしたり。


ザレは、俺と()経験者(・・・)だからか・・ジキアに対し、アカンベーをしている。


彩佳は・・良かった。

首傾げ組だ。

二重の意味で良かった・・。


父さんの方は見ない。

見んでも分かるざます。




「鍵・・かけような」


「・・・・・・・・かけるッス」




俺はジキアをディッポ団長に預け、ラカさんはヒステリーを起こす魔女を別の魔女に預ける。


───えー・・ごほん。




「俺達を監視してたってのか!?」


≪・・続けるのだな≫




話の腰を折ったのはソッチだ。

( 原因はコッチだけど。)




≪そうだ、逐一は言い過ぎだが監視していた。

此方の世界に来てから、やや定期的に≫


やや(・・)定期的・・ね」




やや(・・)、作為的な物を感じる。

もしかすると・・俺が監視される事は回避出来ないので、母さんとクキが『監視網』に穴を開け、与えるべき情報のみ与えているのかもしれん。


ジキアの『アレ』は魔女にダメージを与える為───


いや、ソレは考えすぎか。




≪少し前まで君は、【空の口】とだけ繋がっていてね・・。

最近やっと(・・・・・)我々も君と繋がれるようなったのだよ≫


「キモいなあ」




最近、か。

王族による【空の口】へのチョッカイっぽいな。




≪ソレが───

君の魂に宿る魔力を、産まれてすぐ【空の口】様に捧げたがった一派から君を助ける、唯一の方法だったのだから仕様がないね≫


「具体的には、どうやって黙らせたんだ?」


≪心情的には、何も分からぬ赤子に迫る判断では無いから。

打算的には、赤子より成長した方が効率は良いから・・と≫




利にはかなっているのか。

( 魔女の都合だけ、だけど。)




≪が───ココで、君の監視網が途切れたのだが・・何が在った?

クウ・・ソラを殺したのか?≫


「殺してない。

・・逃げていった」




俺達から、では無いけどね。




≪そうか・・取敢ず、今の君が実の母殺しをするような者で良かった───と、しておこう≫


「・・・・」


≪彼女は・・君を此方の世界へ呼んだ途端、昏睡してね≫


「昏睡?」


≪最初は・・我々としても、疑わざるを得なかったのだ。

常時監視のハズが・・やや、定期的監視───クキと謀り、我々から君を隠そうとしているのではないか、と≫


「・・・・」


≪移動しまくる君を、中々捉えられずにいて・・しまいには人海戦術で億を超える魔物を使わざるを得なかった≫




なるほどなあ。

人土じんど村】物流回復の旅で、やや定期的に魔物に襲われていたのは、やや定期的に俺が【空の口】と魔力パスが繋がっていたからってのも在ったのか。




≪だが、ソラは目覚めて真っ直ぐ君の下へと飛んで行った。

いやあ、仲間を疑いたくは無いね≫




チラリ、ラカは『三者を超えし者』を見る。




≪君達も多少は聞いたと思うが。

我等は共に【空の口】様に救って頂いた者同士であるというのに・・一枚岩では無いのだよ≫


『・・・・』


「自分達を虐げた、この世を恨む者。

別人として生き返ったのだから、新しい人生を楽しむ者。

ひたすら疲れて、安寧を望む者───

だったか」


≪そうだ≫


「ラカさん達は・・恨む者、なんだよな?」


≪そうだ≫


「何をしに・・来た(・・)?」




周りの魔女は、憎悪一色。

感情レーダーなんか無くともハッキリ分かる、俺達への殺意。


・・でも、ラカさんは。




≪大事な時期である今は、君以外の人間達に用は無かった───んだけどね≫


「・・違うのか?」


≪やや定期的監視のせいで漏れていた・・ソチラの少女と白髪の女性。

君と同じ、純粋な女魔法使い≫


「僕?」


「はぁ・・面倒そうじゃのう」




とても美味しそうな御馳走を目の前にしたかのような・・笑みを浮かべていた。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ