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その姉妹品、危険につき──  作者: フユキ
寝所・幕間
404/547

404『様々な視点⑨』

 

アレから何度か・・いろんな両親の下に、産まれて死んで産まれて死んで───を、繰り返した。


10歳まで生き延びれた事はない。


高山の遊牧民の下に産まれた生では3歳の時、突然山賊が襲ってきたり。


漁村の漁師の下に産まれた生では6歳の時、村の僧侶に強姦されたり。


極貧の画家の下に産まれた生では4歳の時、貴族の子供に殴り殺されたり。


その他諸々。


老いた老人も。

クチをきき始めた幼子も。

男も。

女も。

何時でも。

何処にでも。


下種は、山ほど見てきた。


でも。

でも何故か・・私の両親になる人は。

家族になる人は。

変人と呼ばれる変わりに───私に手をあげたりしない人間が多い。


神など。

神遣など。

・・運命など。


そんな物は、信じない。

偶々、だろう。


彼等は本物(・・)じゃあない。


それでも。

私にとっては家族。

家族だけを信じる。




───そしてまた今生を、私達を守るという私達の国の兵士の手で・・終えた。



◆◆◆



 な

    ん

  ど

       め

   か


     わ

 か

    ら

     な

   い

    か

  い

     。


 あ

   お

      せ

    か

     い

   。


        た

      ま

 し

       い

    の

     か

        い

    。


  ・

    ・

   さ

      い

  き


      こ

       の

    せ

  か

     い

 に


    ひ

 と

   が

        ふ

      え

  た

     き

 が

    す

        る

       。


  ・

      ・

    ざ

   に

       ん

  ?



◆◆◆



・・こんな事は初めてだ。


隣に、赤子がいる。

自分の隣に。

赤子である、自分の隣に。


集落の赤子を一カ所に纏め、集落の若い女が纏めて育てる・・という風習のある場所の子になった事も有る。


ソレに近い・・の、だろうか?




───ニコッ




隣の赤子が、笑った。

私の顔を見て。


・・この子には、『記憶』がある。


確信する。

この子は、私と同じだ。

産まれる前の記憶。

別の、自分が死んだ記憶。

ソレが・・ある。



◆◆◆



「魔女?」


「そうだよ、お姉ちゃん」


「・・お姉ちゃんって呼ばないで」


「まあ、アタシも本気で貴女を姉とは思えないけど・・両親や村人に、怪しまれるでしょ?」




今の両親の下、私は双子で産まれたらしい。

私が姉。

目の前の、今の私ソックリな子が妹。


お互い、相手に記憶があると気付いていた。


両親や村人には、変な姉妹と思われたようだが・・何度となく、アイコンタクトで互いに確認しあっていたから。


喋れるようになって簡単に確認し。

出歩いても怒られない年頃になって、両親や村人達の目の届かない場所でやっとお互いの氏素性を問いただした。




「・・で?

私とアナタが、その・・魔女だと?」


「ええ、そうよ」




ソレによると、彼女は魔女らしい。

私も、魔女らしい。

・・魔女ってナニ?




「最初の生で・・どっかの僧侶に、そう呼ばれた」


「大釜で薬を、かき混ぜたり。

黒猫を、肩に乗せたり。

箒に跨がって、空を飛んだり。

───絵本に載るような・・人間の言う魔女では無いわ」


「・・大釜で薬は、かき混ぜてた」


「ま、まあ・・チカラが、まったく別物だもの」




奴らの言う、魔女に出来る事と出来ない事。

彼女の言う、魔女に出来る事と出来ない事。




人殺し(・・・)怠け者(・・・)の、クチから出した時点でソレは嘘。

どの(・・)神か・・なんてのは然程意味がないでしょう?」


「・・興味ないわ」


「有る意味、ソレが正解なのかもね」




聞けば彼女は嘗て・・聞こえもしない神の声を聞いたと吹聴し、民を先導する側だったそうだ。




「『あの時』は、本当に聞こえた気がしたのよねぇ。

こうやって魔女のチカラに目覚めたんだし、才能はあるハズなんだけど」


「知らない」


「・・火刑台に上げられた後に、だけど」


「知らないってば」





やはり『ああゆうの』は、頭のおかしい奴がなる物なのか。

今では偶像なんかに、なんの未練もないそうだけど。


ソレから2年。

この生では、比較的穏やかに過ごしている。

多少、面倒臭い相方がいるが。




「へー、そうやって薬草って育てるんだ。

調合も自分でやるの?

どんな効果? 美味しい??」


「ふーん、恨みのチカラで魔王にねぇ」


「ねーねー、おっきい炎を出してみようとしたら腕が痛くって・・えっ?

新しい病原菌(いのち)を産みだそうとすると、肉体を直接使う?」




彼女は、私には使えない種類の・・魔法? とかいうのを色々使って見せてきた。


私の『植物を操るチカラ』と『命を糧に菌を産むチカラ』も、その魔法とやららしい。


・・どうやら、『青い薬』で見える『青い世界』と、『魔力』とかいう物は関係あるらしい。

 

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