402『サルでも出来る世界征服。』
『ヨランギを産む頃には、少女は・・だいぶ狂気に囚われていたらしい』
「そりゃそうでしょ・・」
女性陣は、かなりの顰め顔。
男性陣は・・下種と同列に扱われてしまうという意味では男にとっても敵だとして、憮然とした顔だな。
『然れど、家族への執着は異常な程で・・ヨランギへの愛着だけで正気を保っていたそう』
また、皆が俺を見る・・。
見んな!
『暫くは、平穏だった』
「・・・・」
『・・が、授乳が終わり───
少女からヨランギが取上られてから、オカシクなり始めた』
「魔法使いを欲した王族の先祖が、人間に魔力が宿ったのを確認して・・か」
『元々その少女は、この世界に現れた頃から・・『賢者』だった自分よりも強い魔力を有していたそうだが───
ヨランギを奪われてからは更に異様なまでのチカラを有し始めたそう』
「異様なチカラ?」
「イヤボーンみたいな?」
『イヤボーン・・とはちょっと違う』
皆が 「 ポカーン 」 とするような単語使うなよ・・。
取敢ず『追い詰められた恐怖が、チカラを暴発させる現象』と、説明。
強いて言うなら、俺が初めて魔法を使ったのが近いのかなあ?
『不幸な女達が、自分の先輩魔女達として集められ始めたのがこの頃』
「我が子を失って・・寂しさを紛らわすためかしらぁ~?」
『おそらく。
やがて魔女達で───
『人類に仕返しする派』、
『安住の地で寝てたい派』、
『二度目の人生を送りたい派』に別れた』
「人類からしたら実質、二派よね」
『『仕返し派魔女』達と共に、世界中に滅びを撒き散らし始めた少女は───
やがて『魔王【空の口】』と、呼ばれるようになる』
その頃、『三者を超えし者』は呼び出されたんだっけ。
『やがて成長し『人類側』に付いたヨランギが・・『第二の人生派』の覇者や聖者その他の魔女達に師事し、『寝てたい派』の自分他の魔女達を巻き込み───
二千年前の戦争になった』
「決着は?」
『【人土】の祖、賢者。
【人狼】の祖、覇者。
【人花】の祖、聖者の『三者』が【空の口】と魔力同士を中和させて【空の口】のチカラを無効化・・ヨランギが止めを刺した』
【空の口】のチカラを無効化したは良いけど・・この後、『賢者』は【空の口】の手下の粘土に囚われてしまった訳だ。
『ヨランギの子を孕んだ魔女達は、千年後【空の口】が復活することを悟り───』
「 孕んだ 」 の辺りで・・城での、爛れたガールズトークを思い出したっぽい場の一部の人間達が微妙に目を反らす。
偉人だって性欲ぐらい、有りますよ。
『───其々の集落を作った。
【銀星王国】であったり、【三種族の里】であったり【その他の国】であったり。
・・【人土】達は、自分の意識が戻る前に己れ等自身で里を作っていたが』
『王の箱』が言っていた「 街破級の中に魔女が眠っている事を知る国 」ってのが、ヨランギの子孫の国なんだな。
『千年前は、先も言った通り・・世界中で地震が起き、ココとは別の大陸で【空の口】が目覚めた。
三種族と各国の軍が協力したが・・一部、人間の軍が洗脳された事もあって三種族と【三種族の巫女】の活躍は後世に残らなかったみたい』
「くっ・・」
三種族が悔しげにし・・騎士団が己れを恥じる顔をする。




