4『チートで超速になった人達ってどうやって走っているの?』
「うーん・・颯太、さっきの石蹴りで狙えないか?」
「僕、サッカーあんま得意じゃないよ?
それに手頃な石も、もう無いし」
「取敢ず、大岩んトコへ行こう。
見晴らしがイイし、岩場なら手頃な石も沢山有る筈だ」
「うん!」
「颯太、この距離なら俺でも充分逃げられる。
練習代わりに、マジスピードで先に丘に行ってくれ」
「わかったよ、幹太兄ちゃん!」
颯太が・・もの凄いスピードで走り去る。
やっぱさっきの『音』は、俺達の『足音』だったようだな。
俺も今度は意識して走ると、やっぱり車並の・・いや、それ以上のスピードで走っている。
しかも足で出せるグリップ力じゃ無い。
急カーブ急ブレーキ、思いのままだ。
何なら、普通に走るよか制御できている。
この走りの練習をしつつ、颯太が既に到着している大岩の丘へ。
「・・フウ、やっと追いついた。
颯太、すげえスピードだったな!」
「うん、でも普通に走れるんだよ」
「俺もだ」
麓に、犬ゴリラが向かってくるのが見えた。
「予想通り、見晴らしが良くて手頃な石も沢山有る。
この先、ココより好条件の場所が有るとは限らないからな・・。
───ココで決着を着けたい」
「僕も、ソレしか無いと思う」
「高低差から、かなりギリギリまで向こうの投石は届かずに・・かつ、コッチの蹴石はこの距離でも届く・・ハズ」
「とりあえず蹴ってみるね」
「頼む」
『ドガガガガガガガガガッッ!!』
颯太が、石を蹴りまくる。
だけど・・『安全な距離』って事は『的が小さい』って訳で、俺の石蹴りも届く距離になってから参戦するが───二人共、ぜんぜん当たらない。
「やっと一匹!」
残り二匹。
しかし奴等との距離が100mを切った!
小柄で素早い方がクネクネと走り、大柄な方はサポートに回るのか・・石を抱え始める。
ヤバイ、ヤバイ、ヤバイ・・!
「幹太兄ちゃん、サポート御願いっ!」
颯太が石蹴りを止め、小柄犬ゴリラへ。
無茶だ・・と言おうとしたけど、『超スピード・急グリップ』を駆使してギリギリ戦えていてる。
やっぱ颯太はスゲエ。
「俺より強い颯太を信じるしか無い、か」
細かい狙いを付けらんない以上、颯太にまとわりつく小柄犬ゴリラへは攻撃出来無い。
投石を始めた大柄犬ゴリラに、石を蹴り込む。
明らかに投石数は減ったが、小器用に跳び避けながら・・なお颯太へ投石していく大柄犬ゴリラ。
「脚力しか武器は無い・・俺じゃあ足技だけで奴等と戦えない・・石蹴りが通用しない・・・・」
詰んだか!?
まだだ、考えろ・・考えろ・・・。
他のチートは無かった。
身体強化チート?
足だけの?
別の、『何か』なんじゃないか?
────『 魔法 』。
・・・・作用・反作用を操作?
それなら身体強化チートだと説明のつかない急カーブ急ブレーキも操作出来る・・と、思う。
でも、そもそもチートや魔法に説明とか理屈とか・・いや、迷っている暇はない!