395『どの国の権力者も、初代はヤリ過ぎなぐらいテンコ盛りにされています。』
王族が【空の口】の魂を削り盗っていって・・結果的に【空の口】は弱体化し、そしてこの『箱』は・・その事を誇っている。
・・だけど。
「確かにスゲェよ。
───全人類でその作戦を共有できてたらな」
<あ?>
「オマエ等・・英雄ヨランギの直系の子孫で、【空の口】の魂まで使って───
・・その程度なんだぞ?」
<貴様・・っ、愚弄するか・・!?>
『箱』の癖に感情がよく分かるな・・どういう仕組みなんだか。
「愚弄してない・・ってんなら、今の『この』状況はオマエの想定通りなのか?
預言通りなのか?」
<ぐっ・・!>
───コイツ等は弱い。
皆が苦戦したんだ。
『雑魚』ってワケじゃない。
ただ、あまりに愚かしい。
見通しが甘い。
「【空の口】の復活を完全に阻止できるのか?」
<・・・・>
「阻止が出来ないなら、オマエ如きで倒せるまで弱体化出来るのか?」
<・・・・っ。
そんな事は、騎士団や民兵にでもやらせれば良い>
「その騎士団を!
オマエ等が、使い潰そうと!!
したんだろうが・・っ!!!」
馬鹿が取り繕おうとして・・更に、大馬鹿を晒している。
こんな奴に、色んな人が犠牲になったというのか・・くそっ。
───と、俺のクチが止まった所で・・ずっと遠目だった各傭兵団が、近づいてきた。
「しかも、奪った【空の口】の恩恵を・・自分達だけにもたらして、他国や民に与えない。
然れど、騎士団や民兵だけに戦え・・とはな」
「【空の口】から魔法を盗んだ、盗人の子孫の考え・・っつうこった」
・・もし、この糞馬鹿共の想定通りになっていたなら───
一番の被害者足り得た人達だ。
「カンタさん、みんな同じ気持ちッスよ」
「・・ジキア」
ジキアの父親は、前戦争で死んだ。
あの戦争は・・負けかかっていたけど、奇跡の大逆転で【銀星王国】が勝利した。
・・王族が出し惜しみしていたヴォイドで。
王族がジキアの父親を殺した・・とは言わないが、もし出し惜しみしていなければ・・とは考えざるをえない。
「盗人・・か」
<ぶ・・無礼者があ!>
たぶん・・コイツ等の歴史書には、
「超凄くて超格好良い初代王が、英雄ヨランギを産み───」
云々と、都合良く書かれているんだろうな。
自分達が、【空の口】に無理矢理ヨランギを産ませた・・と、本当に知らないのかもしれない。
「自分の身内を利用しておいてヨォ、無礼も糞も無ェだろ・・」
「・・言え」
「オマエ達はどれだけの魔女を利用した?」
<ひぅ・・っ!?>
歴戦の雄志達の、本気の殺意。
英雄の魔力も、魔女のヴォイドも、王族の権力も・・全てを失った者に耐えられはしない。
「親戚の子・・覇者・・聖者・・まだ居るのか?」




