393『一瞬、気づいていないピヒタが反応したので、慌てて風で飛ばしました。』
<うっ・・あ・・・・>
『肉体と魂が、繋がった』
【オウゾク】の肉体を『三者を超えし者』が操作して『肉の箱』にする。
【スライム】が、獲物を捕食しつつ【スライム化】させてゆく過程を利用した技術っぽいけど・・。
「は・・箱、ですか国母様」
『魔法もヴォイドも使わない。
自立もしない。
自殺もしない・・安全』
「さ、左様ですか」
鉄板の上に置かれた、『箱』の初見組は酷くビビっている。
・・だろうね。
『国王よ』
<こ・・此処は何処だ・・>
「「「 会話してるっ!? 」」」
キモがる初見組。
・・だろうね。
つか、俺も。
喋んだね。
<痛い・・暗い・・体が動かない・・誰か・・誰か在れ!>
「ココに」
<おおっ・・此処は何処だ!?
灯りをつけよ!
医者を呼べぇぇ・・!?>
「ココは・・騎士団詰所前の運動場」
<───っ!?>
「暗いんじゃなく、お前の眼球が無い。
医者は・・『とっておき』だ。
・・俺がオマエを殺したのに、生き返らす程だからなあ・・!」
<きっ、貴様・・その声・・!?>
以前の『王族擬きの箱』は、無口だったが・・。
( たまに「うぅっ」とか、気持ち悪い呻きは上げてたけど。)
前回は、ヴォイドの『封印』。
今回は、情報の『聴取』。
クチと耳回り( 思考力も? )の作りが、違うのかもしれない。
ちなみに【オウゾク】は、本当に殺したのではなく・・飽くまで殺す寸前。
脳幹だの心臓だのが沢山あったようで、ちょっとバラバラにしたぐらいじゃあ死ななかった。
<だっ・・誰ぞ───
誰か誰か誰かぁぁっ!?>
「ガロスも居りますが」
<ガロっ・・!?>
「「「 貴方に使い潰され( そうに成っ )た、騎士団も居ます 」」」
<ひいっ・・ぶ、無礼者ども!
誰の許しを得て、近づいておるっ!?>
狼狽える『箱』を横目に、タコ焼きを頬張りながら彩佳が近づく。
「ほふっ・・はふほうっへほあほふほふほ、ほふほふほふほふぅ」
「お約束だよな」
「「「 会話してるっ!? 」」」
彩佳に騎士団の総ツッコミ。
最近練習している、粉を土魔法の要領で・・後は風魔法だの水や炎魔法だのを駆使する『秘技!空中タコ焼き焼き!』にて、作ったヤツを一摘まみしているのだ。
精緻な魔力コントロールと、複数同時魔法操作と、魔力附与の練習を兼ねているんだけど・・もうちょい時間が掛かる料理の方が良いのかなー?
練習材料が一瞬で消えるんだよね。
( パック○ンみたいに空中のタコ焼きを、次々食い尽くす【人花】が居るので。)
『【空の口】が預言をする、とはどういう意味?』
準備を終えた『三者を超えし者』が質問開始。
俺は・・まあ、王族が俺達の転移先に【レッサーハウンド】を持ってきたとか言われても自己完結しちゃったし、「ああそう」としか言いようがない。
俺のトラウマは【レッサーハウンド】なのであって、『王族』ではない。
颯太もおんなじ。
父さんは・・仕方なく俺達に合わせている感じか。
<こ、答えると思ったか!?>
『ガロス』
「は・・はい!」
<あ、熱っ!?
ガロス・・き、貴様あ!?>
ガロスが『三者を超えし者』の指示に従い、鉄板の上の『箱』を炎魔法で炙る。
───ガロス最愛の弟、デロスを殺したのは・・間違いなく俺達だ。
だけど、その原因が『王族』だと言う可能性が出てきたのなら・・ガロスはこの質疑応答に参加したいだろう。
<ぞっ、ぞうだっ・・【空の口】の寝言には預言のヂカラが有"る"う"ぅ">
『どんな形で?』
<と、突然・・【空の口】が夢の中で誰と会話を初めるのだ・・。
誰かは分からぬ。
我らは関与出来ぬ>
「内容は?」
ガロスが、鉄板の火加減を調整しつつ質問している。
今は『王』が素直に答えているので熱くはない。
・・あの『箱』を乗せた鉄板、もう使えないなあ。
鍛冶屋のタゥコさんとナムァコさんに、鋳潰してもらおう。
( ちなみに、肉を焼く匂いはガロスが風魔法で上空に飛ばしている。
食事中だし。)
<お・・主な内容は、【空の口】復活を円滑にする為の準備。
復活後の準備だ・・>
「ソレと・・【ファフニール】を『街破級』を、英雄に殺させる事に何の意味が有るのですかな?」
<ま・・『街破級』の体内には、個別の『魂世界』がある>
「魔女達が眠る世界・・ですな」
<───っ、知っているのか・・。
そうだ。
そして『街破級』が死ぬと、魔女の魂は別の魂世界へと行く>
ココまでは、俺達も『三者を超えし者』から聞いた。
<英雄ヨランギの仕業にて、復活の際の食料兼、先触れとなる女魔法使いが居なくなったので・・代わりの男貴族を用意したのだが───突然、魔女も用意せよ、と>
「ま、魔女を用意・・?
魔女も食うつもりだったのか?」
<一応・・総ての魔女が【空の口】と共に復活する為に、とは言っていたが・・所詮は魔王、慈悲など持たぬ。
食うに、決まって───>
『ガロス』
「は・・はい!」
<熱熱熱熱アづぁぁぁっ!??>
【空の口】は、敵対しようと魔女総てに慈悲を持つ・・とは『三者を超えし者』の言葉だけど・・。




