表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
392/547

392『コッソリやろうとしていた事を、実はみんな其々がやろうとしていた時の気恥ずかしさ。』

 

目の前が静かになったので、高速回転刃魔法サーキュラーソウを解く。




「今日って、日本だと13日で金曜日なのかしら?」




誰がJそんだ。




『ソコの残虐超人、【オウゾク】の肉体は貰う』




誰が残虐超人だ。




「・・って、【オウゾク】の肉体?」


『貴方の復讐を台無しにする物ではなく、飽くまで情報を得るためのモノ』




そう言うと『三者を超えし者』は、バラバラ(・・・・)【オウゾク】(キショイの)に手で触れる。


・・あ。

腕から【スライム】を戻し、【巫女化】を解いた直後だったから少し見えた。




「『箱』と・・魂か」


『そう』




『三者を超えし者』は、【オウゾク】の肉体を・・『箱』へと変えてゆく。

んで、『箱』の中に・・魂? が収まってった。




「以前、ザリー(人狼の元長)にヴォイドを渡した『王族擬き』の『箱』は・・ヴォイドが使えなくなったよな」


『『ヴォイド使い』は、こうやって封印するのが一番いい』




そういや王族のヴォイドは、元々【空の口】の物で・・王族が死んだら本来の持ち主である【空の口】へと帰るんだっけ。




「んー・・颯太を殴った罪、皆を傷つけた罪はこんなモンじゃないけど・・仕方ないしな」


『理解してくれて有難う』




そう言う『三者を超えし者』の足下は───微かに震えていた。

・・いや、さすがに俺も 「 納得できるかー! 」 って暴れたりしないよ?


もっかい、頷くと・・やっと『三者を超えし者』が安堵したのか震えが止まる。


・・誰だって妹が傷つけられたら、こんぐらいにはなるよな?

残虐じゃないよな?




「まあ、方法はともかく・・コイツ等(王族)には皆、腸が煮えくりかえってる訳だしね。

ヤリ過ぎとは思わないわ」


「そうだな・・父さんも人生において、悪意ぐらい抱いた事はあるが───殺意は初めてだ」


「儂は・・まあ、色々あったしの。

幹太が間違っとるとは思わんわい」


「僕もー!」




再構成された事もあるだろうとは思うけど・・まあ、因果応報って奴だ。

皆も納得してくれ───って、何だ?


・・【人土じんど】の皆の様子が・・。




「か、幹太さん・・!」


「「「【巫女】様・・!」」」


「な・・なんですか?」




人土じんど】の皆が・・手をワキワキしつつ、かつ、息を荒らげて近づいてくる。


リャター夫人の、暴走前と同じ雰囲気で・・恐い。




「・・か、」


「か?」


「幹太さんのトラウマ・・私達が癒したかったぁ・・!

彩佳さんに先を越されたああ・・!」


「・・・・」




良い歳のオッサンとか長老だとかが、16の小娘の前でウォンウォン泣いている。

ちょっ・・騎士団の人達とか、怪訝そうな顔して見ているからっ!?




「御免なさいねぇ~?

コレばっかりは流石に・・産まれた時からの付き合いってもんが有るから~」


「ぐっ・・忠誠心では負けていない・・!」


「ザレとジキアも練習してた・・って、知ってるけど、ア・タ・シ・☆が、治したから~♡」




な、なんなん?

なんか皆、変なテンションだな。

・・まあ良いや。




「で?

何か【オウゾク】から情報は得られそうか?」


『貴女は覚えていないだろうが───

まだ消沈していた時と、激昂していた時に、コイツが気になる事を言っていた』


「気になる事?」


『【空の口】から<力を吸い上げた>とか<取り戻した一撃>とか・・』


「ふうむ」




なかなか興味深い意見だが・・ディッポ団長とザレから、「了」って感じの魔力パスが来たので皆が集まってから相談しよう。



◆◆◆



「ぐっ、ぐぐぐ・・!

あと三日、あと三日さえ有れば・・御姉様はワタクシが・・!」


「ズルいッス、アヤカさん!」


「何でアタシがズルいのよ?

アタシ、努力しただけだし~?」


「私も治したかったのです!」


「焼きソバ美味美味♡」




みんな、無事に合流。

怪我らしい怪我も無く、一安心だ。


・・帰ってきて早々、何か彩佳を中心に言い争いが始まったけど。


パスに俺が恐慌せず応えた事、帰ってきたら俺が普段通りに料理を作っていた事、【人土じんど】達の消沈した雰囲気、彩佳の機嫌を確認して・・ザレとジキアとビタが真っ先に彩佳の下へ ( ピヒタは料理へ ) 飛んできたのだ。


ディッポ団長とリャター夫人は俺の下へ。




「・・ま、無事みてェだな」


「完全に、とは言いがたい感じですけどね。

まだ【レッサーハウンド】の死体を見たら───多少ザワつく物が有ります」


「ソレは追々、治していけば良いわぁ~。

今度こそ、自分の心から目を反らさずにね」


「はい」




俺が助けたい人達が、俺を助けようとしてくれている。

助け、助けられ。

その想いには応えたい。


で・・報告会、兼、慰労食事会。




「そう・・か。

ビタ・・ピヒタ・・【人花じんか】の皆、大変だったな」


「確かに、悲しいし悔しいのです。

・・でも、死因が何であれヒリタ姉様は帰ってこないのです」


「なら、せめて仇は討てたんですから・・善しとします」




他の【人花じんか】達も、似た感じ。


人花じんか】の考え方で・・自然に帰った者に余り心を残すのは、生者にも死者にも善くは無い───というものが有るらしい。


なら族外の、俺が言う事なんか無い。


無言でビタの頭をゆっくり撫でると、頬を染めて深く静かに受け入れてくれた。




「それより・・御先祖(聖者)様の、お薬ですか・・興味あるのです」


「薬のチカラを植物限定で恒常的に使えるようなったのが【人花じんか】。

植物と・・完全に境目が無くなったのが【アルラウネ】だったんだろうなあ」




ビタ(人花)達は【巫女化】により、【アルラウネ】を沢山吸収した結果・・エリ草や【アルラウネ】の頭の花のような、回復力の有る草花を作れるようになったらしい。


俺ら的には助かるけど・・本人達からしてみれば、怨敵の能力だし───かなり複雑っぽいな。


まあ、あまり無理強いはしないし良いけど。




「次は、ワタクシ達の番ですわね。

こちらで分かった事は【空の口】の寝言に、預言のチカラが有るらしいですわ」


「預言?」




『三者を超えし者』の方を向くと・・彼女は目を丸くして、知らないと首を横に振る。




「・・なら、ソレこそ奴等の寝言じゃあ?」


「ワタクシも今や、魔力は見えます。

人狼じんろう】達の中にも少しずつ、魔力を見る目(感情レーダー魔法)を会得する者が居ますわ。

・・少なくとも奴は、魔法使いの目にかけて嘘をついてはいませんでした」


「ソイツ自身・・偽りの記憶か、詐欺に在ったとかで無いとすると───」




マジで、預言?

『三者を超えし者』が知らないっつう事は、最近身につけた能力か。




「奴の言う、預言内容は・・その」




困った感じで、言い淀むザレ。




「言いづらいなら───」


「お、御姉様とソウタ様の転移場所・・ですの」


「「・・っ」」


「・・ソコに【レッサーハウンド】を送った───みたいな事を言っていたわねぇ~」


「やはりか・・」




うっ、なんとなく【レッサーハウンド】と王族の関係を予想していたらしい父さんがスゲェ恐い顔。

・・どうどう。


俺は・・トラウマの原因を聞いて、ザワつく感じは有るが・・ソレ以上には成らなかったな。

彩佳の魔法が効いているようだ。




「あと・・」


「まだ有るのか」




ザレが、チラッと源太ちゃんを見て・・。




「【ニーズホッグ】の卵の位地・・と」


「・・ほう」




わあ、源太ちゃんもスゲェ恐い顔。

・・どうどう。


間接的に、とはいえ・・王族が、源太ちゃんの恋人のザラクスさんの仇だもんな。




「【ニーズホッグ】も【ファフニール】も、御姉様に倒されるのは予定通り・・と」


「・・!」




コレにはガロスが反応する。

【ファフニール】が倒されるのが予定通りなら・・【ファフニール】に取り込まれたガロスの最愛の弟、デロスの死は───




「【空の口】以外にも・・まだまだ、問題は残っているなあ」





『三者を超えし者』が準備する、『国王の箱』を見ながら・・タメ息をつく。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] 誤変換:位置 「【ニーズホッグ】の卵の位地・・と」
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ