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391『vs【オウ】』

 

「・・ふうぅぅ」




う~・・恐い恐い恐い恐いコワいコワいコワいコワイコワイコワイコワイコワイコわいこわいこ・・Y子って誰だっけ。


・・恐怖にナニか(・・・)が混ざり、軽くパニックになるなあ。




「幹太姉ちゃん!」




幹太が犬ゴリラ共を・・俺に近づけないよう、戦ってくれている。


・・ああ。

颯太は、何時だってスゲぇカッコいいなあ・・。




「幹太、大丈夫?」




隣に座る、彩佳の・・顔。

ニヤニヤした顔・・ではあるけど───目元は赤い。


俺の手に添えられた、彩佳の手から微かに、魔力が流れてくる。

・・トラウマを癒そうとしてくる、魔力。


ああ・・コレ(・・)か。



「アンタ以外は出来ない魔法だから、全然たいした事ない筈だけど・・あ、アタシだって少しは練習してんだからね!?」




なんで急にツンデレ?




「ど、どうなのよっ!?」


「正直・・めっちゃ恐ぇよ。

・・自分の中で、ある程度は決着つけてたつもり───だったんだけどなあ・・」




ウイルス性の病気とかと同じで・・心の病気も、根治しておかないと奥深くで気づかない内に大きく成長するケースもあるとか。


俺も、犬ゴリラに対して悪夢は見ていたけど・・実際目の当たりにして、ココまで狼狽えるとは思っていなかった。




「でも、あの瞬間と違って・・今は助けてくれる人が、こんなに居る」




震えていた間に、色々変わった。


颯太と源太ちゃんが、犬ゴリラを抑えてくれている。


ウエスト傭兵団とペリオラ傭兵団が、なんか・・キショイのを牽制している。


さっき助けた騎士団の人達は大盾による防衛。


人土じんど】の皆さんとガロスと『三者を超えし者』は、魔法による支援。


彩佳と父さん、医師や技術系の【人土じんど】の方々は作戦指揮か。




「今すぐ立ち直れってのは、無理だけど・・みんなの気持ちは分かる。

彩佳の魔力も・・気持ち良いよ」


「そ・・そうっ!?」




ビタと【人花じんか】達と、ディッポファミリー傭兵団は・・アッチの穴か。


・・ビタ達の反応が・・なんだコレ?

とんでもなく巨大で、かつ、静かで・・。

ディッポファミリー傭兵団は・・めっちゃビビってんなあ。

───でも、全員無事みたいだ。


ザレとリャター夫人と白百合騎士団、【人狼じんろう】達は・・反対側の穴か。


感情が分かるのは・・最近【三巫女】繋がりで、分かり始めたザレ・・なんだけど───

・・スッげぇ悪い笑顔を浮かべてそうな感情だ。


まあ、無事なんだろうな。




「有難う、彩佳。

取敢ず、敵を対処してからだ!」


「ええっ!」


『アキハラカンタ・・!

目覚めたら、夢で全て分かってるのか・・主人公の鏡だ!』




主人公って何?




「幹太・・言いたい事は色々あるが───

今は、自由に動きなさい」


「・・うん、有難う父さん」


「我ら【人土じんど】は、【巫女】の御心のままに」


「有難う御座います、皆さん」




父さんと【人土じんど】の皆も、フォローに回ってくれる。

有難や。




「颯太、源太ちゃん、皆さん!

合図をしたら下がって下さい!」


「カンタ、だいぶ弱ったとはいえ・・コイツは今までの敵とは比べ物にならない魔力とヴォイドを有している!

気をつけ───」


「大丈夫です!

なんか丁度、材料があるんで」


「「「 ・・・・ん? 」」」




あのキショイ奴が放った魔法の残骸なのか・・大量の土砂やら瓦礫やらがある。


コレを・・作りはしても、未だ実戦で使ってない魔法の材料にする。




<・・まぁぁた、王である私に逆らう愚か者かぁぁぁぁ!?

エクス───>


「よっこいしょ」


<───んなっ!?>




なんかちょい、引っ張られる(・・・・・・)感じは有ったけど・・関係ない。

コレは全部俺のだ(・・・・・)


辺り一帯の材料を全て持ち上げ。




「お・・【オウゾク】のフルパワー、数発分の土砂等を全部・・!?」


<!?>




土砂同士がぶつからないよう、それぞれの軸を高速回転させる。

傍目には、丸い板に見えるだろう。




「【オウゾク】は、持ち上げて・・『ただ落とす』しかしてこなかったのに・・!?」


<!!?>




異世界物質迎撃魔法パトリオットの原形になった・・ヴォイド(異世界物質)をいくら降り蒔こうと全てを呑み込むために作った魔法───



高速回転刃魔法サーキュラーソウ!」


<「「「 ───・・!? 」」」>


「颯太!

源太ちゃん!」


「うんっ!」


「任せたわい!」




颯太と源太ちゃんが抑えてくれていた犬ゴリラ・・【レッサーハウンド】へ、高速回転刃魔法サーキュラーソウを持っていく。


・・なんだ(・・・)


俺の悪夢は、サクリと(・・・・)素通りする程に儚い(・・)モノだったのか。


そのまま、キショイのへと持ってゆく。




<なっ・・・・舐ぁめぇぇるぅなあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?>




ヴォイド。

コレだけの皆が苦戦したらしい、一撃。




「お前こそ舐めるな。

・・よく見たらみんな細かい傷が・・颯太には殴られた痕まで───」


<だからどうし・・しし、しっ!?>




高速回転刃魔法サーキュラーソウと、ヴォイドがぶつかる。




<き、消え・・失せない!?

王族全員分を束ねた・・【空の口】から取り戻した、我が一撃なのに・・!?>


「・・何言ってんだ、お前?

お前がクチから出して良いのは・・」


<げ・・下賤の者があああああっ!?>


「・・悲鳴だけだ」




高速回転刃魔法サーキュラーソウを更に近づける。

中途半端に(・・・・・)ヴォイドで打ち消そうとするから、徐々に徐々に(・・・・・・)しか・・肉が斬れやしない。




<ぎぃやああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!?>


「ちょっと休憩」


<殺っ・・>


全力全開フルオーバー()高速回転刃魔法サーキュラーソウ!!!」


<ぎぃやああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!?>









「「「・・・・っ!」」」


「・・全員、注意するように。

アキハラカンタは一見───可憐な乙女だが・・彼女の妹への手出しは、地獄より恐ろしい目に合う事に・・なる」


「「「( ・・コクコクっ!! )」」」




やれやれ。

もし、『無限の回復力』をもたらす『薬』なんてのが在ったら───こんな生温い刑じゃ無く、もっとタップリと地獄を見せてやれるのに。

 

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