388『vs【オウゾク】④』
「『聖者』が、も・・森の民!?
禁断の薬!?
───何ソレ!?
え、エルフとか!?」
『エルフではない( と思う )。
400年くらい、森の奥深くに住み続けた一族だそうだ』
エルフっていうのはよく分かんない( 幹太姉ちゃんが前、ちょっと言ってた気がする )けど・・『聖者』は森の中で先祖代々、お薬とか毒とか作ってたんだって。
「薬の効果は?」
『自分の見たのは、魔力を回復する物。
F○だと、エー○ル』
「貴女の・・「 見た物 」は?」
『・・・・』
『三者を超えし者』さんの巨人が【オウゾク】を殴りながら答える。
【オウゾク】は・・あんま頭が良くないみたいだけど、頭がいっぱい有るから同時に魔法が使える。
『三者を超えし者』さんが考え事とかしちゃうと、巨人の戦い方が雑になるんだよねぇ。
自動追尾とか、全部まとめて「 パッと 」とか、そういうのを簡単に想像出来る幹太姉ちゃんって凄いんだなあ。
『『聖者』が飲んだのは、大幅に希釈した物。
・・原液は危険な物だと言っていた』
「どうゆう原理で、魔力が回復するの?」
『薬自体が、世界と世界を繋ぐ扉魔法のような力が有るらしい』
「扉?」
『飲んだ者は、体内に扉が出現する』
「そ、そんな物が体内にあって・・大丈夫なのですか?」
『希釈した細胞以下の小さな扉なら、何処の青い世界から無限に魔力を引き出せるだけ。
でも多用は厳禁。
自分達も危険だからと飲ませて貰えなかった』
ソレが何時まで経っても、【オウゾク】から魔力が減らない理由なんだねぇ。
「も・・もし、原液を飲んだら?」
『彼女が地球で人間だった頃に飲んだ時は・・四半日は、外の生物・・森と自分の境目が分からなくなったと言っていた』
「自分と森・・植物・・【人花】の能力の原型ね」
『たぶん』
ビタちゃん達のチカラって、そうゆうチカラなのかあ。
「外の生物との境目が分からなくなる・・か。
『三者を超えし者』さん。
もしその外の生物もまた、同じ薬を飲んでいたら───」
『境目が分からなく・・いや、無くなるかもしれない』
父さんが、じっとりと汗をぬぐう。
「『王族たち』が境目を無くし、融合した者が【オウゾク】・・」
「【アルラウネ】が群で現れたのは、『王族』が『聖者』の魂を利用してるって説で合ってるのなら・・その知識も利用された・・」
「いいや、彩佳ちゃん。
せめてもの、復讐だったのかもしれないよ」
「『えっ!?』」
父さんの一言に、彩佳姉ちゃんだけでなく『三者を超えし者』も、不思議そうな顔だね。
「『聖者』さんも、英雄ヨランギの妻だったんだろう?
・・ならその子孫が、そんな事をすれば───
親として、怒りたくもなるさ」
「『・・・・』」
ホントの事は分かんないけど・・コイツ等が気持ち悪いってのは確かだよ。




