387『vs【オウゾク】③』
「【人土】共ォォっ!
ブッ放ちなあああっっ!!」
山柄さんの号令で、【人土】のみんなが一斉に鉄砲とか撃つ。
マシンガンとか言うのから、バズーカみたいなのまで・・あっ、あの「 ガシャッ!」ってスライドさせてるアレ、アメリカの映画でよく見る奴だ。
バスやトラックの上の、大っきい銃や・・銛? を撃ってるよ。
「コレが異世界の武器か・・魔法でも無いのに、大した威力だな」
「余程の使い手でなければ、弓矢が要らないですね」
ガロスさんと騎士団の団長さん達が、銃とかに驚いてる。
威力はともかく、連射は凄いしね。
<ォ・・オあ・・・あ・・・!?>
「効いているぞ!」
「やったか!?」
『「あーっ!?
その台詞は駄目っ!」』
【オウゾク】が痛みに身をクネらせて、ちょっと倒せるかもって思ってたら───
彩佳姉ちゃんと『三者を超えし者』さんが、( 幹太姉ちゃんがよく気にしてた )よく分かんない台詞に注目してた。
煙が晴れると・・。
<え、エクくス・シールるド>
「防壁か!」
幹太姉ちゃんの防壁魔法みたいに、【オウゾク】は『盾』・・薄く光る丸い板で防いでる。
彩佳姉ちゃんと『三者を超えし者』さんが、『「 だから言ったのに! 」』 とかよく分かんないことを言ってるよ。
盾一枚で、全身を囲むタイプじゃないけど【人土】のみんなの、銃とかが効かなくなった。
正確には、限りなく防いでるけど・・幹太姉ちゃんの防壁魔法程じゃなくて、ダメージはちょっとある。
・・画ビョウが刺さったぐらいだろうけど。
【オウゾク】が、攻撃を防ぎながら息を整え───
<ぇエクスす・プレれッシャあー>
<エえクス・あアシッっド>
<エくクくス・ハンんドど>
<エクくス・ブぶレーぇぇド>
「うわあっ!?」
「複数同時魔法攻撃だとっ!?」
いろんな頭が、一斉に魔法を唱えて攻撃してきた!?
土砂が降り注いだり、臭い汁が飛んできたり、岩石の拳で殴ってきたり、風の剣を振り回したり。
土砂は、また僕が岩蹴りで。
臭い汁は、【人土】達の魔力吸収で。
岩石の拳は、『三者を超えし者』さんの巨人で。
風の剣は、ガロスさんが魔法で防ぐ。
「んぅー?
一発一発の魔法・・さっきの土砂よか弱いねぇ?」
「言われてみれば・・」
「一発にかける魔力を分割してるのかしら?」
「おそらく、そうであろう。
ついついアキハラカンタを基準に考えるが・・普通は全ての魔法に全力( に見える )魔法など使えはしない」
「・・って事は」
「一度に魔法を沢山使わせ続ければ、街破級レベルの攻撃は出来ないという訳だね!」
【オウゾク】は沢山の『王族たち』の魔力を一つには出来るけど・・誰がどの魔法を撃つか、バラバラっぽい。
「よし、騎士団は散開せよ!
多方面同時攻撃攻撃を仕掛けるのだ!」
「ならば傭兵団は傭兵団らしく、各々の得意分野で攻めるとしよう」
騎士団は【オウゾク】の気を引く係で、傭兵団は【オウゾク】の邪魔をする係。
『弱い沢山の魔法』を引き出す係だね。
「颯太。
今回は幹太に頼らず、儂等だけで倒すぞ」
「分かったよ、源太ちゃん!」
『自分も参加しよう』
僕達は、騎士団や傭兵団の戦列維持と【オウゾク】にダメージを与える係。
「私等はその繋ぎだね」
「アタシは山柄さんとオジさんの手伝いですね」
「彩佳ちゃん、無茶は駄目だぞ」
父さんと彩佳姉ちゃんと山柄さん達【人土】のみんなは、幹太姉ちゃんの守護と各メンバーの交代補助。
「「「 行くぞぉッ!」」」
◆◆◆
僕と源太ちゃんと『三者を超えし者』さんが、近距離から三方同時から攻撃。
その隙間を、長槍の騎士団と傭兵団が攻撃して・・僕達に『強い一発の魔法』が来ないよう、【オウゾク】を刺激。
みんなに撃ってきた『弱い魔法』を騎士団が大盾で防御。
『弱い』って言っても・・いちおー、王族の魔法だから怪我したり大盾を破壊されたら、騎士団の人ごと交代。
【人土】の人達は交代の隙を銃とか魔力吸収で埋めたり、医者が治療したり。
「・・【オウゾク】は、人の知性が残っているのか、怪しいな」
「順調に【オウゾク】へ、ダメージが蓄積してってるわよぉ颯太!」
「うん、幹太姉ちゃんは僕が守るんだから!」
【デロス・ファフニール】よかは強いけど・・【アジ・タハーカ】よかは弱いかな。
父さんと彩佳姉ちゃん達のサポートもだいぶ助けになってるよ。
「オジさん、【オウゾク】の魔力がルーティン化してますよ」
「そうだね。
幹太と彩佳ちゃんの言う、ハメが通用するって奴かな」
「このまま上手く良いんだけどねえ」
「山柄さんもぉ・・ソレもさっきと同じ、御約束台詞ですよ?」
───って感じで、楽勝・・とは言わないけど勝ち筋が見えてたら・・・・・・んぅー?
「皆さん、【オウゾク】の様子が───」
「何だい!?
何か変化があったのかい!?」
「い、いえ、逆です!
全く変化が有りません!」
【人土】の8人の代表の一人・・魔力を、何か機械のレーダーで何かする人が慌ててる。
・・たぶん、僕が感じている違和感とおんなじじゃないかなぁ?
「魔力が・・内部魔力にまったく変化が有りません!」
「こんだけ攻撃してるっつうのに、まだ魔力に余裕が有るってえのかい?」
「いえ・・余裕だとか、そういうレベルではなく、そもそもの変化が有りません!」
あー・・やっぱり。
なんか、ずぅーっとおんなじ敵と繰り返し戦ってる感じがするんだよね。
「コレは以前、【巫女】様に御協力頂いて検査した時と違います。
魔力の最大値は【巫女】様の方が上ですが・・現在値が全く変化しないのです!」
「そんな事が───」
サポート組の言葉に、『三者を超えし者』が反応したよ。
『───一つだけ、心当たりがある』
「マジ?」
『マジ。
【人花】の先祖・・『聖者』が、飲んでた薬───本人は、『禁断の薬』と呼んでいた薬と同じ効果』
「禁断の薬・・」
『彼女は、異世界で人間だった頃・・『森の民』と呼ばれていたらしい。
その時の発明品』
んぅー・・。
『王族』が、『覇者』とか『聖者』の魂をどうこうして・・その聖者の『禁断の薬』を【オウゾク】が使ったのかなあ?




