38『神でも悪魔でもなく──』
「・・避けるなあっ!
当たれえぇぇ!!」
彼女が土球を撃つ。
土球を蹴落とす。
やや体制が崩れたトコへ刺剣で突いてくる。
崩れた勢いを回転エネルギーに変えて剣の内側へ回り込みつつ刺剣を真横から叩くと彼女は剣を落としてしまう。
「あっ!?」
「さっき学園長に言われた通り、俺も馬鹿な下種男に襲われた事はあります。
クズな傭兵は居ます!
・・でも!
俺達を見守ってくれて助けてくれた男の人達も傭兵なんです!」
「ウソよっ!?」
彼女は、特大の一撃を放とうと彼女の中の魔力を風船のように膨らませていく。
ココだっ!
「【魔力吸収】っ!!」
「──ひゃうん!?」
実は【スライム】に【魔力吸収】をされた時の事は・・あまり覚えて無い。
思い出そうとすると・・何故か『頭の中が白み』『体が熱を帯び』始め、フワフワした気分になるんだよねぇ?
ココへ来る前、ジキアに頼み練習させて貰おうとして──
「そ、ソレ・・俺以外の男に練習しちゃ駄目っス!」
──と、息も絶え絶えになっていた。
前屈みで。
間違って【魔力吸収】しちゃった?
いや、ジキアの前で『変顔』になったぐらいなんだよなあ。
まあ、そんな訳であまり練習出来てない。
なんで、【ワーム】の時にやった相手の体内の魔力を操作する魔法を併用する。
無論彼女を【ワーム】みたいに爆散させるのが目的じゃないんだし『内臓破壊』だとか『魔力汚染』だとかを引き起こさないように吸収ポイントをチョコチョコ変えるのがコツ。
「ひゃっ!? あっ!? ああっ!? わっ、ワタクひ、の・・な、中で・・ナニ・か・・が・・暴れて・・ひゃああっ!!?」
「あっ? あは♡ あはははっ♡
こっ・・コレ、俺の中も・・なんか・・♡♡」
ああ・・なんとなく、どうすれば良いか分かってきた。
嘘、善意、悪意・・心と魔力は直結している。
【スライム】は自分の欲望本能だけで【魔力吸収】してきたけど・・相手の気持ちを考えながら使えば良いんだ。
「「~~~~~!!?!」」
──そして・・彼女が、崩れ落ちた・・。
◆◆◆
「素晴らしかったわぁっ!!」
学園長、リャター夫人が満面の笑みで絶賛してくる。
・・鼻血をたらしながら。
いざ鼻血をたらしてる人を見ると・・ちょっと引くな・・。
ディッポファミリー傭兵団のみんな、ゴメン。
てか、この人・・ナニ?
「幹太姉ちゃん・・大丈夫ぅ・・!?」
・・なんか颯太はちょっと機嫌が悪い?
いきなり新魔法を使ったり、心配かけちゃったか??
この魔法、使っても使われても頭がフワフワして前後の記憶が曖昧になるみたいだからな。
多用出来無いし、したくない。
「ファミリーの皆まで悪く言われるのは我慢出来ないかったんだ・・すまん」
「・・うん、そっか・・そだね♡」
良かった、機嫌は直ったみたいだな。
「──う、ううん・・」
「あ、この人目覚めたみたいだよ?」
「大丈夫ですか?」
あくまで、この不毛な戦いを終わらせる為だけの【魔力吸収】だ。
本来、気絶すらしない程度の魔力消費のハズ。
「・・はい。
大丈夫ですわ、御姉様♡」
・・・・・・んん???




