表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
377/547

377『モンスターは罠に掛からないモンスターハウス。』

 

「カンタさん、有難う」


「リャター夫人・・。

俺は特別なことは何も・・救助だって遅れに遅れて」




俺としては───

俺と直接かかわった人間、【人土じんど村】の人間を優先した。


白百合騎士団を救うチャンスは幾つか有ったんだろうけど・・全無視したんだ。


王族の企み如何では、彼女達の運命が───




「いいえ~。

ソレでも貴女にはお礼を言わなくてはならないのよ・・」


「・・・・」




涙を拭うリャター夫人に頭を下げられていると・・白百合騎士団が近づいてきた。




「カンタ・・さん、ですね?

我々からも深い感謝を」


「あ、ハイ・・でも」


「王族の胸三寸次第で、我々の命運が変わっていたというなら・・今、生きている以上は今が最上なのですよ」


「・・・・」




下手なタイミングで救助に向かっていたら、バッドエンドも有り得た・・ってことか。


ずっとこの世界で、男尊女卑のこの国で、女性だけの騎士団なんてやってたら・・何度もバッドエンドを見てきたのかもしれない。


なら俺が、とやかく言う事に意味は無いのかもな。




「分かりました。

助けられて良かったです」


「ええ」


「・・で、貴女達も俺達に・・」


「ええ♡

付いて行きますよ。

リャター団長や妹達の害悪を、何処までも追い詰めます♡」




・・デスヨネー。

微笑んでいるけど、目が笑ってない。

・・コワイヨー。




「じゃあ・・旧・白百合騎士団?」


「いえ、リャター団長の白百合騎士団に合流・再編成し、三班制になります」


「リャター夫人の指揮下って事ですね」




アッチで騒いでいるその他騎士団は、ガロスの指揮下に入った。


ガロスは、自分の騎士団を持っていないらしいけど指揮経験が無いワケじゃないそうだ。




「御姉チャン。

王族は、どうなってる?」


「ヴォイド攻撃というのを聞いてから・・少しずつ防壁魔法トーチカが、削られていってる『風』に薄くなってきています」


「・・悪女だなァ、御姉チャン」




絶対防衛線は維持しつつ、ヴォイドによって消滅した防壁魔法トーチカを張り直すのは止めた。


王族は、騎士団詰所を・・騎士達その物を囮にして、俺達をココに誘き寄せた。


・・今度はコッチの番。




「もし騎士団詰所に、踏んだら爆発する地雷が有ったらヤバかった・・って話をしたんですけど」


「あー・・御姉チャン等の世界の武器を幾つか、" てれび " で見たがよ・・ありゃァえげつ無ェな」


「ちょい、似たのを埋めました。

極大爆発魔法バンカーバスターと、仕組みはおんなじですね」




俺が『威力』を、颯太が『飛距離』を担当する極大爆発魔法バンカーバスター


颯太が投げる持にち易いよう、炎を包む耐火防壁。

この耐火防壁を、長時間持つけど踏み抜くチカラには弱いよう作った。





「・・・・。

・・炎の威力は?」


「んー、騎士団詰所が吹き飛ぶくらい?」


「・・まァそンぐらいなら良いか。

( 良かない気ィもするが。)」


「を、辺りに中に───」


「あ?」


「み、みんなには防爆衣魔法ボムスーツを───」


「ああ?」


「───・・防壁の穴んトコに仕込んでおきまーす♡」


「おう」




・・ヒョー。

久々にディッポ団長に本気でメンチを切られた。

・・コワイヨー。


・・・・デモ、カッコイイヨー。



◆◆◆



今、皆を取り囲む防壁魔法トーチカを崩そうとするヴォイド攻撃は三方から。




「王族の最後の戦力・・俺達が真っ先にココへ来ることを読まれていたし、残りの全騎士団と貴族なんでしょうか?」


「・・あー、どーだろうなァ?

魔物の群れだの街破級だのすら退けた奴等相手に・・ンなもんが時間稼ぎにすらなンねえっつう事ァ分かンだろ」


「なら、王族自身が出てくるんでしょうか?」




ガロスと、各騎士団団長達が、首を横にふる。




「あのビビりの王族にソレは無い。

最後の、その瞬間まで逃げる」


「今がその、瞬間じゃ?」




最強の悪夢、街破級を倒した。


虎の子、魔物の群れを倒し尽くした。


断絶されている筈の、青い世界まで追ってきた。


財産(騎士団)を、囮にしてまで失敗した。




「俺達から逃げる術は無い。

・・そう、悟ったのなら特攻やむなしって感じで」




皆が沈黙する。

重く、ガロスがクチを開く。




「もはや、王族が生き残る手段は【空の口】が復活するまで時間稼ぎをするのみ」




コレを受けて『三者を超えし者』もクチを開く。




『【空の口】の復活は、全てがひっくり返る。

故に、慎重に余裕を持たせた。

逃げきれはしない』




俺達がタイムリミットを知っている───事を、知らない王族が・・『焦っている筈』の、俺達の焦りを利用しようと『何処か』『何か』に誘導しようと・・・・。


・・いや、俺達が焦ろうが然程変わらんよなあ。




「仮に・・都民が来ても、俺は焦らない(・・・・)


「・・・・」




先ずは、【人土じんど村】の人。

ソレから、助けた村々の人。


後は(・・)その後(・・・)




「まあウダウダ言ってもしょうが無ェ。

『何』が来ても、対処出来る陣地に付いたゼ」




・・・・。




「ヴォイド攻撃を受けている部分の防壁を突破させます!」

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] 誤記:投げるに持ち易い 颯太が投げる持にち易いよう、炎を包む耐火防壁。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ