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371『6550万年前のアレ。』

 

「じゃあ山柄さん、指示を宜しくお願いします。

抜けた、田坂の穴は俺が埋めますんで」




王区を【核】化。

人工的な『青い世界』を作り、ソコへ転移したと思われる王族たち。

奴等を追いかける。




「は、針の穴にチクシュルーブ小惑星を埋める(通す)ようなものですよねー」


「圧倒的、安心感……!」


「クククッ、正義は我に在り」




俺一人で異世界転移の魔法を使った時は、入口と出口がしっかりしていた。


言わばマニュアルさえ有れば、比較的簡単に模倣出来たのだ。




「───って、幹太は言ってるけど・・簡単に模倣出来るのかしら?

アタシも日本の【人土じんど村】に居た頃、会社で扉魔法の作成を手伝ったけど・・とてもとても」


「当然よ。

【巫女】様が仰有られているのは、『三輪車に乗れるんだからF1カーにも乗れる』って理論なのよ。

私等だって、同じ条件で出来る者は居ないわ」




彩佳と路さん(読者モデル)が、何やらボソボソと。


一番難しい部分がごっそり御膳立てされていたんだ。

後は目的地に繋がる魔力パスに添って進むだけだし。




「アキハラカンタよ、我も参加して良いだろうか」


「ガロス・・」




ガロスが、やや心許ない感じで俺たちの下へ。




「山柄さん、扉魔法は一応【人土じんど】の秘奥ですけどどうでしょう?

俺としては王族と直接会った事のあるガロスが儀式に加入してくれるのは、有りかと」


「仕方無いね。

【空の口】退治の前の小事・・か。

ガロス殿、コレも憲法に含めるよ!?」


「誓おう」




扉魔法は悪用しようと思えば、幾らでも出来るだろう。

・・大貴族なら特に。

山柄さんの許可と共に、ガロスも俺たちの集まりに加わる。




「さあ、儀式開始だよ!」




王区の真ん中。

俺が壊した『城』の前の広場にて、円陣を組む儀式参加者たち。


人土じんど】代表の8人( -1人 )。


8人のうち、1人だけ【人土じんど村】を守る為( 守る為なのだ )に抜けた田坂の代わりに俺。


王族と繋がりがある( 魔力でパスを繋ぐ行為は、俺と会うまで知らなかったので魔力パスではない )ガロス。


この9人で円陣を組み、儀式開始。



◆◆◆



「うー・・魔力の動きが複雑すぎて、サッパリ分かんないッス」


「た、確かに・・ですわ」


「以前、ザレが【人狼じんろうの巫女】修行してた時・・幹太が自分の体内の魔力の流れを、変えたじゃない?」


「ああ、在りましたわね。

人狼じんろう】が【狼化】する瞬間を見た事の無かったワタクシの為に・・アッサリと」


「アレ・・凄い大変だったというか、未だに完全には無理ッス」


「幹太って、ついつい魔力量にばっか目が行くけど・・操作能力も異常なのよね。

・・チートだわぁ」


「まあ、あんな次々に新しい魔法を作りだすッスし・・」


「御姉チャンが言ってたじゃ無ェか。

魔法の奥義は想像力。

想像さえ出来れば、大概の事が出来る───ってな。

・・ありゃ想像力の塊だ。

普段、何考えてんだかよ」


「・・まあ、昔っから夢想がちなトコは在ったわよね」


「か、幹太姉ちゃんは腕の事とか、色々あったんだよぅ」



◆◆◆



秋原家、道場。

その角にある、円陣に置かれた本。

何故かは分からねど、アレには空間の歪みが安定して( 日本語として変かもしれんけど )いる。


アレと、この王区が似た役割をするっぽい。


或いは扉を安定させた場所の事を【核】と言うのか───


ともかく、【人土じんど村】で開いた時よりも、道場で開いた時よりも、スンナリと扉が開いた。




「おお・・こ、コレが『扉』か。

け、結構簡単に開くのだな」


「簡単なもんかい。

幹太さんだよ。

幹太さん一人で数十人分の魔力を賄うんで、一纏めにする作業も必要無ければ、複雑な魔力操作を一括で複数同時処理しているんだ!」


「複数の魔法を同時になど・・」




人土じんど】の代表たちとガロスが怪訝そうな目で見てくる。

・・なんなん?




「いやあ、まず自己再生魔法と身体強化魔法の2つは最低同時に使え無いと、俺・・動けないですし」


「そ・・そうなのか?」


「自然回復しないレベルの怪我だと、自己再生魔法が働くし・・身体強化魔法分の魔力を確保しないと、自己再生魔法に全魔力を持ってかれてピクリとも体を動かせなくなるし・・」





動けても、吸着魔法が無ければ物は持てない。


魔物や盗賊、強姦魔が闊歩する世界だと防壁魔法トーチカも要る。


初めて会った人間には感情レーダー魔法が必要。


言うまでもなく、颯太とは何時でも魔力パスで繋がっていたい。




「ソレが最低ラインで、魔力パスは同時に百人ぐらいと繋がる時もあるし・・大小自動追尾魔法クラスターミサイル指向性面制圧魔法クレイモアなんかは複数の火球を同時に作らなきゃならないし・・秋原家を歩かせる時は足を一気に生やして・・タマにソレらを全部同時にやらなきゃならないし───」


「わ、分かった分かった!

そなたが凄いのは知っていた( つもりだった )からな」


「・・まあ、イイや。

皆さん、扉は開きました!」




俺達の円陣を取り囲む皆を、ぐるりと見回す。




「おそらく、王族最後の悪足掻きが在ります」




ディッポ団長ほか傭兵たち、リャター夫人と女学園の皆、三種族たちが頷く。


対ヴォイド用その他の魔法を皆に掛ける。




「行きます!」


「「「オオォーー!!!」」」




扉を開けて・・中に入る。



◆◆◆



「───えっ?」


「こ、コレは・・」




扉の中。

ソコに在ったのは───【銀星王国首都】。




「し、首都の・・入口に戻された・・・・?」


「い、いや・・確かに青い世界の中だ」




何度か入った事のある世界。

そのくらいの見分けはつく。

 

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