363『ス○イリム等だと弓一択なのに、FPSはすぐ酔うので出来ません。』
───ザザザザ・・ッ!
幹太姉ちゃんが、地面をエレベーターみたいに下げてゆく。
みんな・・表情が固いねぇ。
この街に入ってから・・一度も、生きた人を見てない。
ソレを、気味悪がっているみたい。
・・だけどソレよりもっと気になるのが、『三者を超えし者』さんの 「 裏切る 」 って話なんだろうなぁ。
「一応・・言っておくぜ?
俺ぁ、魔法使いじゃあ無ェ。
相手の真偽も善悪も分かンねェから・・御姉チャンほどオメエを信じられねぇンだ」
『・・・・』
ディッポ団長が『三者を超えし者』さんに対して、殺気は込めてないけど、油断はしてない構えで言ってるよ。
ジキアさん以外のディッポファミリー傭兵団も、そんな感じ。
「そうだな。
カンタが信じているから貴女を信じているだけ・・みたいな物だ」
今度はイーストさん。
ウェスト傭兵団も、似た感じ。
【人土】の皆もそんな感じかなあ?
ご先祖様だし、幹太姉ちゃんが信じるなら信じたいんだけど・・幹太姉ちゃんを裏切る可能性がほんの僅かでも有るんなら・・ってとこ?
『・・貴方方の感情は仕方無いだろう』
「アキハラ家の人間はどうなんだ?」
イーストさんが、僕達の方を向いて訊ねてきたよ。
「・・私が皆さんを裏切る可能性が0とは、言えません。
例えば・・この中の誰かが秋原家の人間を害したならば───私は躊躇いなく裏切るでしょう」
「まあ、そうゆうこっちゃな。
極僅かの可能性の話をすりゃあ、儂等も裏切る可能性はあるよ」
「僕もー」
ディッポ団長が 「 ・・はあ、やれやれ 」 って言ってるけど、今はちゃんと味方なんだかし・・敵がどうこうって話はよく分かんないなぁ。
「アタシはもう、産まれた時から秋原家のこーゆー所と付き合ってきたし・・この人達が言うならそーゆーモンなのよね」
『・・済まない』
「『三者を超えし者』さんは嘘は付いてないッスし・・悪意も抱いて無いッス。
事情は知らないッスけど、敵じゃあないッスよ。
ねえ、ザレさ・・・・ザレさん?」
みんながザレさんの方・・っていうか、女学園のみんなとリャターさん達の方を見ると・・ちょっと、心ココに在らずって感じ。
「・・『三者を超えし者』さん」
リャターさんが、ちょっと鬼気迫るって感じで『三者を超えし者』さんに一歩近づいてくよ。
「先程仰られた、『この現象についての可能性』とやらを・・語っては貰えないかしら?」
『・・っ』
「そうですな。
是非、我も教えて頂きたく思いますぞ、国母様」
ガロスさんも。
この二人は・・あ、そっか───
「白百合騎士団・・女学園の卒業生は・・私の娘達は、どうなったのかしらっ!?」
「我が家の使用人達は、どうなったのか教えて頂きたいっ!」
『・・・・』
リャターさんや女学園のみんなと、ガロスさんは・・大事な人が居なくなっているんだね。
『・・・・。
先程、アキハラ家の人が言っていた───貴方方を裏切る理由が有るだけの、大事な人達が自分にも居る』
「『三者を超えし者』さんの大切な人・・魔女って人達かなぁ?」
『・・・・』
『三者を超えし者』さんが、一瞬物凄く哀しそうな顔をして・・あっち向いちゃった。
・・怒らせちゃったかなぁ?
「ごめんなさい」
『貴女は悪くない』
「・・・・」
『・・・・』
「ま、億が一・・って言うぐらいだし?
大事な人が居なくなっていないアタシが言うのもナンだけど・・別の可能性やコレからを考察する方がマシよ」
「アヤカっ!?
貴女・・っ!
───いえ・・そうですわね。
・・間違った事は言ってませんわね」
ザレさんが彩佳姉ちゃんを睨みつつ・・顔を反らして、溜め息を吐いているね。
彩佳姉ちゃんは、真っ先に人が嫌がる正論を言って・・自分が嫌われ役になる事で、話を進めるクセが有る───って、幹太姉ちゃんが言ってた。
「あの城の中に騎士団・王族・使用人・都民・・【銀星王国首都】の人間全員が入っている・・・・なんて事は有るのかしら?
地下階とか」
「有り得ぬ。
騎士団・・だけでも、入りきらんかもしれん。
あの城の中は、然程広くない」
「なら、可能性は・・あの城に
『王族だけ居る』か、
『王族も居ない』か、だけよね」
「王族すら・・かい?
アヤカ御姉チャンよ」
「じゃあディッポ団長さんは、幹太とガチマッチ・・したい?」
「・・したく無ェな」
「ビビって、【空の口】を見捨てて逃げだした・・って可能性こそ0%じゃないわ。
魔法欲しさに、地球の魔女を襲うゴミクズの子孫なんて」
「無くも・・無い。
今代の王が小心者、というのは周知の事実ゆえ」
ガロスさんが言うと、リャターさんと傭兵団の全員が苦笑いしてる。
とくにリャターさんは、王族から離れた・・人心? ってヤツを回復させる為に作られた白百合騎士団の、初代団長さんだって言ってたし。
「王族が『正気』か『狂った』・・。
『正気』の場合は・・自分達以外の、決戦の邪魔者を排除したんでしょうね」
「排除っ!?」
「あの王族達が・・『優秀な配下』と、『働き手』を───財産を、放棄とは思えん。
『正気』ならば首都外に逃すだろう」
「『正気』なら白百合騎士団や都民を殺すメリットが無いし、まず無事よ。
その時、自分達も逃げたか、逃げてないか・・ってだけだわ」
洗脳させといてねぇ。
「『狂った』ケースは・・ちょっと面倒よね。
いろんな可能性があるわ」
「王族も洗脳された?」
「あるいは、
完全洗脳者達の大侵攻
街破級【フレズベルグ】
異世界征服用の魔物
ザリーを使った、ヴォイド使い
・・コレ等全部を防ぎきったアタシ達に絶望して───」
「成程。
話を聞けば、仮に我が身だったとすると・・正気を保つ自信がない」
僕達は・・幹太姉ちゃんは凄いもんね♡
「そ、そうなると・・騎士団や都民は?」
「・・守って生かしておいた方が良いっていう、知能が残ってなければ───集団自殺」
「あの王族にそんな度胸は無い。
死体が無いのもおかしい」
「目覚めた【空の口】に排除された」
「「「・・・・」」」
幾ら【空の口】の目覚めが近いからって、こんなギリギリで目覚めるようなタイミングじゃあない。
洗脳魔法を使った時みたく、ほんの一瞬だけ目覚めたとしたら・・。
『三者を超えし者』さんによると、その可能性は限りなく低いけど、0じゃないんだって。
「結局・・まずは幹太に城を破壊して貰わなきゃ。
正解は分からないわ」
「分かった!
幹太姉ちゃんに合図を送るね」
お願い、幹太姉ちゃん。
みんなを助けてあげて。
その分、僕達がいっぱいいっぱい幹太姉ちゃんを助けるから。




