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352『異世界、特徴───鼻血が出る。』

 

「だいぶ【ジート村】の復興も進んでいるな」


「ガロス様は、じんど村から『はこのいえ』の、ざいりょうが送られてきたって」




はこのいえ・・いわゆるプレハブ小屋だな。


数は送れていないけど、プレハブ工法の利点を知ったガロスが復興に役立てた・・と、辿々しく伝えてくれる魔法使いの少年の台詞を・・池上さん(中二病少女)が訳してくれる。


元々───

閉鎖的な村で育ったので、自分以外の魔法使いを知らなかった( というか、自分が魔法使いかどうかもアヤフヤだった )少年は、魔法使いである【人土じんど】に憧れを持っていた。


母親ですら完全には理解してくれないショタ語と、魔法使い特有の視界を分かってくれる、憧れの【人土じんど】。


少年はスッカリ池上さん(中二病少女)に懐いたようで・・色々語ってくれた。




「この村がイヤだから、となりの土にいえをたてたら、じしんでこわれちゃった人がいたんだ」


「ぼくがいっつも、あっちを見てたらガロス様もいっしょにあっち( 嘗て、俺達が立ち去った方角 )を見てくれるんだ」


「【ジート砦】にいっぱい、あながあったよ。

・・・・ううん、じしんのまえから」


「ビタおねえちゃんがつくってくれた、おやさいと、アヤカおねえちゃんがくれたトリのたまごが、おいしいんだ」




等々。

その間に───


料理・カウセリング・食事の出来る広場探し。

料理作り。

女性達を集め。

ビタ製の、気分が楽になる植物の生成。

女性達へのカウセリング。

作った料理は美味しく頂かれ。


・・まま、女性達の癒しは成功したと言える。

村民からの険が取れた感じだ。

その間、少年も少年なりに手伝ってくれてた。



「い、一生懸命がんばる男の・・子」




池上さん(中二病少女)は・・鼻血まみれ(・・・・・)で途中リタイアしたが。

( 女性達に警戒されないよう隔離した。)


心配した少年に任せ、( 復活した池上さん(中二病少女)に、美味しく頂かれないよう見張り付きで。)俺達はもうちょい村を散策。




「地盤工事は上手くいってたみたいだなあ」


「元々、日本ほど地震のない国( 60歳をこえるディッポ団長が、経験した事なかった )らしいですから。

平和になったら、専門業者を手配いたしましょう」


「お願いします」




さて、会議を脱けだす言い訳の視察は終えた。

暇な【人花じんか】も数人合流。




「会議は終わった?」


「まだみたいですね。

議題項目が大小含め、100を軽く超えますので」


「100っ!?」


「【空の口】相手の次は、男尊女卑を掲げる世界中の国々を征服しますからね。

【銀星王国】大貴族相手には、1000でも足りないかと」


「あー・・そりゃそうか」




自分で言いだした事だ。

働くのは、俺。

より良く考えてくれるのは、みんな。

助け、助けられ・・だ。




「だけど、ソレならちょい暇かなあ」


「一度は遠慮されたけど・・復興の手伝いでもする?

アタシの【人茸じんたけ魔物】も種類が増えて、こうゆう仕事を覚えさせたいのよ」


「そうだなあ・・魔物以下のクズ男が真面目に仕事するぐらいだし、魔物も復興に・・」


「幹太姉ちゃん」


「ん?

どうした、颯太?」


「【ジート砦】の方はどうなるの?

【ジート村】が安定したらもう、アッチは使わないの?」




ガロスは最初・・自分や【空の口】の洗脳の被害者達の拠点を、廃砦の【ジート砦】にしていた。


【空の口】復活の前兆たる地震にて、廃棄した訳だが・・。




「そうだな。

平和になって、【ジート村(コッチ)】の人が増えたら・・【ジート砦(アッチ)】も、使うかも」


「僕、ちょっと砦っていうの・・探険したい♡」


「そっか」




俺は颯太の頼みだし、全然かまわないけど・・。




「アタシも良いわよ、暇だし」


「ワタクシも多少興味が在りますわ」


「建物を補強する植物も有るのです」




人土じんど】【人狼じんろう】【人花じんか】達は【巫女】が行くなら、と否定無し。

【ジート砦】を視察する旨を、村民に伝える。




「流石に歩きだと往復で遅くなるし・・バスを借りる?」


「いや。

山谷も有るし、簡易・秋原家魔法を使う」




今、立っている土を土台として生成。

無数の小っちゃい足を生やす。

簡単な壁と天井を作り、椅子も用意。

秋原家を歩かせている魔法の小さい版だ。




「・・たぶん、外からみたらキモい『ネ○バス』よね」


「酷ない?」




窓は作ってあるが、見えない位置を『ア○パンマンバス』ならぬ、『彩佳バス』にしてやろうか。


・・バレた時、どうなるか分かんないので絶対やらんけど。

で、出発。




「うわっ。

バスなら小さい凹凸でも滅茶苦茶揺れるのに・・!?」




毎日長時間、バスやキャンピングカーに乗り続けるのは苦痛なので、順番で各種族数人ずつが秋原家で移動する。


まだ秋原家で移動した事のない【人狼じんろう】と【人花じんか】が騒ぐ。




「土魔法で作った足だから、長さが自由だし・・水平を保つよう調節してるんだ」


「ちょ・・調節・・!?

この千本近い足の一本一本を!?」


「人を化け物扱いすんな。

んな無茶な事出来る訳ないだろ。

「 えいっ 」って、一斉に纏めて自動化させてるよ」


「・・いや、ソレが化けも───いや何でもない」




ナニやら、口籠る【人狼じんろう】の女性。

何故か仲間の【人狼じんろう】や【人花じんか】に慰められている。

人土じんど】は・・やや明後日の方向を見つめていた。


・・なんなん??




「幹太、その道を左よ」


「OK」




クワガタで空からナビをしていた彩佳が【ジート砦】の位置を教えてくれるので、迷わない。

( そしてクワガタの事を失念していた。

バスに変なモン書かなくて良かった・・。)




「ココが【ジート砦】・・」


「地面は地割れとか有るけど・・砦その物にひび割れとか無さそうだなあ。

以前来た時と、なんか違う場所って分かる?」


「そんなマジマジと見てた訳では在りませんが、おそらく無いですわ」


「オレ達もそう思うぞ、カンタちゃん」


「壁とか落ちた様子が無いしねぇ」




以前【ジート砦】に来たメンバーの言うとおり、砦に変化はなく、かなり丈夫なようだ。

壁に魔力を通すけど、空洞は殆んど見つからない。




「取敢ず、地盤の補強だけするかなあ」


「あっ。

アッチは崩れてるよ、幹太姉ちゃん」


「ホントだ。

ココから先だけ地震が来たのか?

・・普通の地震じゃないしな」


「───違うのです!」




【ジート砦】を補強する仕事も無くなり、肩透かしを食らっていたビタが地面を見つめて叫ぶ。




「崩れていない方と、崩れた方・・植生が違うのです!

たぶん、この砦は継ぎ接ぎなのですよ!」

 

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