35『魔王(学園長)からは逃げられない!』
俺と颯太の『姉妹傭兵団』初仕事。
【ゲラェブ領】の外れにある女学園、その運動場にて集まった目の前の女生徒達と学園長のリャター夫人を安全にピクニック場まで護衛しなきゃならない。
「お、女の傭兵団・・!?」
「聞いた事有りませんわ・・!?」
事前に傭兵はココの生徒に受けが悪いと聞いてたけど・・女が来たのはかなりの想定外らしく、悪感情:三割、動揺:七割って感じ目だな。
立ち振舞いからは、そんじょそこらの雑魚傭兵より出来そうだ。
( といっても殆んど『対、破級外』の下ッパだけど。)
「あらあら?
女性の方・・・?」
「はい、リャター夫人。
姉妹で傭兵をやらせてもらってます」
傭兵ギルドに聞いたリャター夫人の評価は・・先祖から受けつぐ商会を経営し、ヘタな貴族よりお金持ちの『準貴族』という人。
( 貴族じゃないけど貴族並の権力を持つ。)
日本で言う代々医者や弁護士の家系みたいなモンか?
・・僅かばかりの驚嘆はあるが、ウェルカム感がスゴい。
善い人っぽ
「でも・・こんなに美人サンで傭兵なんて・・・えいっ♡」
「ぎにゃあああぁっっ!!!?」
「──90・・い、いえ・・・まさか夢の大台・・!?」
なっ、何だこの人!?
人間とは思えないスピードで背中に回りこん・・・!?
「幹太姉ちゃん!?」
「・・・♡
アナタはあァァ・・?」
リャター夫人の首がグルンと回る。
その血走った目が颯太を捕らえ──
「ひいっ!?」
「「「消えたっ!?」」」
颯太が恐怖のあまり、逃げる。
突然消えた颯太に女学生達の間で衝撃が走る。
秋原甲冑柔術歩法と身体強化魔法を合わせた颯太の初速は常人の目には捕らえられない。
「・・・つゥかまえェた♡」
「あひゃあああぁっっ!!!?」
なっ・・・!?
颯太は鬼ゴッコだけなら俺とディッポファミリー傭兵団の皆の中で最強最速なんだぞ・・・・!??
「・・私、常々こう思っているの・・。
──『可愛いは正義』だ、って!!」
何か、語りだした。
「可愛い娘は・・何をしても許されると思わない?」
・・どうしよう・・帰りたい。
「可愛い娘には・・何をしても許されると思わない?」
・・どうしよう・・一文字付いただけなのに危険度がハネ上がった!?
「だから私、『可愛いは正義』って言葉を作ったの♡」
アッチでも大概ダメな人が使う言葉だ。
颯太もすっかり脅えている。
チラリ、女生徒さん達を見るとサッと目を反らされた。
常習犯!?




