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349『大概この手の話は、本人より周りの人間の方が騒ぎを大きくします。』

 

国境の村を出発してからも、いくつかの村を転々としつつ移動。

その一カ所、【北の村】。

・・ココも寂しくなった。




「幹太と颯太がコチラ(異世界)へと転移して、拠点にしていた村だそうだな」


「そうだよ、父さん。

ディッポファミリー傭兵団に拾われて、いろんな村々を回った後に【銀星王国首都】にたどり着いたんだけど・・」


「ドコも男尊女卑が酷かったんだよねぇ」




『閉鎖空間の、排他主義』や、

『都会人特有の、選民主義』。


これらと───

なんの脈絡も無く、イキナリ暗がりに連れ込もうとしてきたりするクズ男達の『男尊女卑』が絡まりあい、何処も酷いトコロばかりだった。




「【銀星王国】で男尊女卑意識が薄いのは【北の村(ココ)】を含む、ゲラェブ領ぐらいだものね~」




その事を、特に理解しているリャター夫人のぼやき。

全くだ。


まだ自分が女体化した事と、男尊女卑に馴れて無かった頃は・・ディッポファミリー傭兵団が側に居なかったらヤバかった事が、何度かあったモンだ。


俺達の貞操のピンチもそうだけど・・反撃により、相手のクズ男を殺しかけたんだよな。


ディッポ団長達は「 別に良いゼ? 」と、暗に(・・)・・言ってくれたけど。




「【北の村(ココ)】で起こった・・魔物の大量襲撃事件を解決した縁で、ココの人達に気に入られた事と───男尊女卑意識の薄さから、住む事になったんだ」


「なるほど」




現在、【北の村】は過疎化している。


俺達に縁があった人達の多くは【人土じんど村】に・・他は、現ゲラェブ領領主である『ガロス ダ アスェベタ』が、新たに作った【ジート村】へと、引越ししているからだ。


今、村に居るのは───

旅をする体力が無いから、故郷を捨てられないから・・等々といった理由の人達。


・・という訳で。




「俺達の次の目的地は【ジート村】なんですが・・付いてきたい、という方は居ますか?」


「・・そうだな。

カンタ達(人土村)の支援で、体調も戻ったし、付いてゆくよ」


「故郷を捨てるのは悔しいけれど・・悔しがるのにも疲れたわ。

カンタちゃん、こんな事をする【空の口】退治を頑張ってね」


「はい・・!」




更に数家族が、【北の村】の村から離れる事となった。

残るのは、二家族のみ。

彼等は、親族なので実質一家族みたいなモノだ。




「カンタ、君等の本質と同じさ。

ウチは・・ウチの人間と一緒に居れれば、場所や他人はどうでも良い。

・・コレで良い」


「成程、ソレを言われたら俺に口出し出来ません」


「ああ。

皆によろしく」




俺が日本に執着無いのと同じだしな。

人土じんど村】に行きたいという人も、取敢ず預かり【ジート村】へ。


ソコから【人土じんど村】【ジート村】間の、物流トラックなどに乗ってもらおう。



◆◆◆



「【ジート村】・・かあ」


「【ジート村】・・ねえ」




はあ。

溜め息が出る。

隣で、彩佳も溜め息をついていた。


その様子を見て、颯太が両手で自らのクチを塞ぎつつキョロキョロする。

・・だからその仕草でバレるんだって。

超可愛いけど。




「娘達が世話になった人みたいだしなっ!

父さんもしっかり挨拶をしないと!!」


「左様ですか」


「うむ。

ダロス殿とザーロス殿には世話になったが・・ガロス殿とやらが、孫娘達を任せられる者かといえば───

また、別の話じゃて」


「なんの話ですかね」




父さんと源太ちゃんが燃えている。

二人とも、俺達や彩佳の体質( 再構成 )の事は知っているしなあ・・。


俺と彩佳がガロスにプロポーズされた事は、あの現場に居たメンバー ───

ディッポファミリー傭兵団

人土じんど

ザレ

ビタ

───に、秘密にするよう頼んだから知らない筈だけど・・ううぅ。




「ジンイチロウさん、ゲンタさん、オレが先触れに行くッス!」


「んあ?」




もうすぐ【ジート村】。

ジキアが、バギーバイクに跨がりつつ・・父さんと源太ちゃんへ、興奮気味に伝えてくる。


俺達が物流回復の旅から帰ってきた時、【人土じんど村】の日本人・異世界人問わずジキアと同世代の人間達がバイクに乗っていたのを見て、ローンで購入したらしい。


人土じんど村】で、バイクはサイドカーを使った『人物・物資の運搬』が主な使用法だったけど・・ジキアはサイドカーを取った単車で、旅の偵察等に使うつもりで練習していたようだ。


【ジート村】は無線機が有るし、先触れなんて要らなさそうだけど・・。




「負けられ無いッス」


「なんに負けられんの・・」




たぶん俺にプロポーズしたガロスの所に行くんで、焦っているんだろうけど・・若干、頑張り所が違う気がする。




「御姉チャンの親父サンに、アピールしてンだろうがよ」


「はあ・・?」


「『ガロス様よかオレの方が、御姉チャンに相応しい』・・とかそンな感じじゃ無ェか?」


「ああ・・」




父さんも、昔ほどはジキアを鬼の形相で威嚇しなくなった。

・・相変わらず上がって良いのは秋原家一階まで、ソレも食事時のみという制限付きだけど。


源太ちゃんは・・自分も女体化しているからか、父さん程は厳しくない。


───ただ・・運動で汗をかくなどして薄着になった俺を、ジキア( と、他の男達 )が、ガン見している時は・・

『拾った石コロ二個を、手で握り潰す』

・・という謎の行動を見せつけてはいるが。




「頑張り処が違う気がするなあ・・。

まあ、悪い気はしないけど」


「基本、お子ちゃまなのですわ」


「基本、ガキよね」


「ソコまで辛辣に言ってやるなよ・・」




中一男子なんて、まあそんなモンで御座います。

 

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