342『あとしまいでとかおじさんとげんたちゃんとかよにんでとかくんずほぐれつだとおもうの。』
「───ふぅー・・」
取敢ず、魔物の群は二分割にした。
群のその先・・地平線まで、巨大な一本道が出来ている。
火球には星の丸みを計算した魔法を組みこんでいるので、地平線の更にその先まで進んでいる筈。
この先この大陸に、人や動物に野良魔物の住む集落は無いし・・小さくなりながら最後、海で水蒸気爆発を起こして消滅するだろう。
「な、なんて言ったら良いのかしら。
命の冒涜っていうか。
・・いや、攻めて来たのはアッチなんだけどね」
「儚いッス・・」
『やはり貴女は出鱈目だ』
なんか俺、悪モンになってね?
父さんはちゃんと、フォローしてくれる。
「源太ちゃんさんも颯太も、コレで大部ラクになったと言ってきている。
問題は無いだろう。
・・『資源回収』的な小さい問題と、幹太自身の肉体という大きな問題以外は・・な」
───資源回収。
魔物は、血・肉・骨・皮・その他・・余す事なく、資源の山だ。
今の一撃で回収不可能になった資源の量は計り知れない。
・・完全にその事を、失念していたなあ。
( 既に十分な量は確保しているけど、原子操作魔法で特殊保存できるし無駄にはならないから。)
「───俺自身の身体については・・許容範囲って事にして欲しいな」
「やはり、無茶は有るんだな?」
父さんは魔法使いでは無いとはいえ、魔力が見える( 微チート? )んで嘘は通用しないし・・付きたくもない。
「ちょっとはね。
一カ月分は戻ったかも」
「・・・・っ」
「・・そんな顔しないでよ。
もう雑魚には使ったりしないから。
飽くまで今回は・・実験だし」
「ソレは・・つまり───」
父さんの言葉を、最後まで待たず『三者を超えし者』の方へと向く。
「『街破級』の一撃にすら耐えるっていう『城』に・・『城』すら破壊するっていう『城破級』に・・コレは通用するかな?」
『・・・・。
・・するだろう』
「そう、か。
・・・・。
父さん、ごめん」
再び、父さんの方を向くと・・父さんは困ったように笑う。
「・・幹太にチートが無ければ。
或いは仲間の為に頑張れる、こんなにも心優しい子で無ければ・・な」
「父さん・・」
父さんの想いに包まれる。
暖かい。
───って、彩佳達がナニやら俺達を見てくる。
・・なんなん?
「・・・・。
あの親子、アレで番じゃないから」
『そ・・そうなのか?
こんな真っ昼間、人目も憚らず見つめあいながら抱き合っているが。
・・頬を朱に染めながら。
へ───特殊な趣味では?』
『へ───』・・ナニ?
「あのかぞくきもいの」
「な、仲が良いだけッスよ!
・・異常なぐらい」
「ここさいきんのおじさんのしんぱいぐあいとかかんたのあまえぐあいとかわりとまじだとおもうの」
なんで片言?
今は彩佳の方がヤバいぞ。
目付きが怖い。
そもそも普通の親子愛だし。
颯太と共に画策して・・なんとか父さんのお風呂に入ろうと突撃しても、何故か誰かに止められるが。
「あの家族の異常愛は・・この村に初期から居る人間なら慣れてるわ。
・・慣れないと、この村じゃあ生きてゆけないから」
『そ・・そうか。
自分は当初の予定より、長居しすぎたから・・そ、そろそろ旅立とうかな』
そういえば『三者を超えし者』は、そんな事を言ってたか。
「マンガ・・っつうか本好きだし、本屋や図書館に案内しようかと思っていたんだけど・・残念だなあ」
『( ビクンッ )!?
ほ・・本屋?
そ、ソレは本を売ってる屋さん?』
何処の天然芸人だ。
「ああ。
俺の部屋より沢山の本を売っている」
『じ・・自分はもう少し、子孫達が作った村を視察せざるを得ない』
「そうか」
存外、チョロいぞ。
「なら残りを片付けて案内しよう」
『た、頼む』
携帯燃料は使いきったし、颯太やウェスト傭兵団、古くからのペリオラ傭兵団員もチカラが有り余っているだろう。
ココからは通常どおりの魔法を放つ。
◆◆◆
残った魔物の群は、粗方かたづけた。
【人茸】やチカラが有り余っている三種族・傭兵団達が魔物を回収解体。
血液からは水分が回収できるし、他の素材も食糧から何から、いくらでも使い道は有る。
素材回収解体場の、その隅。
各部隊のリーダー格が集まっていた。
「・・御姉チャン。
せめて多くは言わねェ。
あんま無茶はすンな・・」
「心配かけて済みません」
「頼むぜェ・・。
割りとマジで、切実に・・な」
場に居たほぼ全員が頷く。
そこまで心配をかけていたのか・・。
使い所は注意しなければ。




