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その姉妹品、危険につき──  作者: フユキ
三者を超えし者
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341『コロナぁ落とし。』


「か・・幹太!?

アンタ、その腕・・!?」


「【スライム細胞】で覆った腕。

【スライム】の腕だ」




・・俺の肘から先に現れたのは、ピンク色の───腕。


特に「 そうなれ 」と操作した訳じゃないけど・・今の俺に付いていて( 色以外は )違和感の無い女性的な腕だ。


俺は女体化してすぐ、両腕を失った。

だから事実上、俺が最後に見た自らの腕は男のモノなんだけど・・。




「だ・・大丈夫なのかいっ!? 」


「暴れてはいる・・。

けど、制御できる」


「せ・・制御って・・」


「【スライム細胞】と俺の肉が混ざった腕でも、問題なく神経が通っているみたい。

うん、世界が青い。

全身で【スライム細胞】を増やしていた時よか負担は小さいよ」




【スライム】の腕を生やした俺と、俺を心配する皆との中に、『三者を超えし者』が混ざる。




『ケンカしつつ、上手く同居出来ている。

心配いらない。

・・技術としては、貴女方と初めて会った時に自分が使った巨人に近い』


「ああ・・国境の村で、アンタの肉体の一部と商工ギルドの最上階丸ごとを組み合わせて作った、『アレ(ゴーレム)』ね」




俺自身の腕を餌に、って意味ならそうかも。




「俺と颯太がコッチへ来た時・・百匹近い【犬ゴリラ(レッサーハウンド)】に襲われた」


「・・・・」


「颯太は・・天才的センスで身体強化魔法を会得して、犬ゴリラ共を倒していったけど───

俺はたった一回、今からすりゃ小さな炎を出しただけで・・肘から先を無くしたんだ」


「今は馬鹿みたいな威力の魔法を、バンバン使ってるじゃない」


「そうッスよ。

嘗ては、オレが師匠だったのが・・今やカンタさんが師匠ッス!」


「だからこそ───」




腕を伸ばしたり曲げたり。

手をグーパーグーパーしたり。

いきなり彩佳にジャンケンをしかけ、俺がチョキ。

ビビった彩佳がパー。

俺がニカッと笑うと、彩佳の爪先が俺の脛へと吸い込まれる。

痛いですよ?




「───だからこそ・・嘗ての腕の、弔い合戦みたいなモンかな」


「そ・・そうなのか。

が、頑張れ・・で、良いのか?」




父さんは正直、今でも俺の【巫女化】を反対しているしな。

表情が、かなり微妙だ。




「・・で?

【巫女化】して、どうするの?

魔物の群から一斉に魔力吸収するのかしら?」


「うーん・・。

【巫女化】は使える魔力の最大値UPの為、でしか無いかなあ」


「───・・あ、アンタ・・まさか」


「か・・カンタさんっ!? 」


「・・・・幹太?」




彩佳の顔色が青醒める。

ジキアと父さんは・・人を、『要らん事しい』みたいな目で見てくる。

そんなんちゃいますよ?




「目標は地平線の彼方・・『飛距離』『速度』分の魔力確保。

後は、ひたすら『加熱』に回す。

『加熱』『加熱』『加熱』『加熱』『加熱』『加熱』『加熱』『加熱』『加熱』『加熱』『加熱』『加熱』・・」


「アタシ、嫌な予感しかしないんだけど」


「あっ・・熱チチっ!?

か、カンタさんっ!? 」


「こ・・コレは・・以前見た極大爆発魔法バンカーバスターを上回───」




限界魔力消費量を上回り、俺の両腕が悲鳴を上げ始める。

・・食え。

【スライム】。

失った腕の分、増えろ。


超、高密度・高温度の50m級の火球を作りあげ───




「───いけっ!

全力全開(フルオーバー)()非爆発型貫通魔法スナイパーライフルっ!!!」




冗長なまでの距離をかけ、攻めてくる魔物の群。

その長く伸びた魔物の列をめがけ、極炎を解きはなつ!!



◆◆◆



「ディッポ団長ぉ、来たよー!」


「ソウタちゃん?」


「あンだぁ?

せっかく今日は御嬢チャン達は休みにしてやったっつうのに・・」




恋人(フェドリーちゃん)の為にクラッゲさんとナムァコさんが。

将来の恋人(ピヒタさん)の為にアナナゴさんとウーニさんが望んだっぽい。

三本足の牛『村破級【フアン】』は、ディッポファミリー傭兵団が相手していたよ。




「御姉チャンは、どオした?

一緒じゃ無ェのか?」


「うんとねぇ・・幹太姉ちゃん、真ん中の魔物の縦列を狙っているっぽいよ」


「あァん?

また、アホみてェな量の火球でもばら蒔くつもりか?」


「えーと・・」




と、その時、僕や各傭兵団のリーダー達が持ってた無線機が一斉になり響いた。




〔み・・【巫女】様が、ナニやら思いつきました(・・・・・・・)っ!?〕




ソレだけで、みんなの顔が青ざめている。

どうしたんだろう?

こんなに頼りになる事はナイのにねぇ。




〔繰返します!

【巫女】様がナニやら思いつきましたっ!

【巫女】様の目標は、魔物の群の中央・・魔物の群の中央です!〕


「・・たっ、退避ィィっ!

総員、中央から急いで離れろォォ!」




魔物の群中央から大急ぎで離れてゆく、各傭兵団、【人土じんど】、【人花じんか】、【人狼じんろう】の、みんな。


突然離れゆく敵に・・頭に黒キノコが生えているせいで【空の口】の洗脳を受けている筈の魔物達ですら、ポカーンってしてるね。




「『アレ(・・)』の実力(ひじょうしき)を知らん者は、刮目して見よ。

・・『対、街破級傭兵団』の肩書きが虚しくなるぞ」


「ひっ、ひひひ・・悪しき者共よ、文明に踊らされし愚者共よ、見よ!

コレが贖罪の炎なりひひひィっ!?」


「まっ、『街破級【トイレの巫女】』だあっ!?

お助けぇっ!?」


「ひいィっ!

また・・空が落ちてくるぅ!」




なんでみんな慌ててるのかなあ?

やがて、空にとても大きな火球が産まれてくる。

うわあ・・太陽みたいだ、凄いなあ。

魔物の群の真ん中を、『ずももも』って進んでいくよ!




「俺たちゃア、端ッコで良かったゼ。

・・・・本当に、心の底から良かったゼ」


「さすが、幹太姉ちゃんだねぇ」


「魔物が焼け───いや、蒸発してってる光景を見て・・その感想は出ねェわなア・・」

 

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