340『子供扱いどころか・・・・』
増員された【人土村】の一級戦力は、旅から帰ってきた『ディッポファミリー傭兵団』と、洗脳が解けた『ウェスト傭兵団』。
たかが数十人。
・・されど数十人。
「【人土】の皆さんが、種族総出で頑張っているのは知っていますが・・」
「ええ。
事、魔物との戦いにおいては【人土】総出と比べても、ディッポファミリー傭兵団の皆さんに負けるでしょう。
・・現在は」
【人土】に感謝はしているけど・・やはり、俺達にとってはディッポファミリー傭兵団は偉大なる存在だからな。
「だったらモテない兄貴分、からかって遊ぶの止めなさいよ」
「し、失礼なっ!? 」
からかってなどいない。
ファミリー内で、唯一彼女が居なくて焦っている二人が本気で可哀想だったのだ。
「可哀想とか・・それ、絶っっ体に兄さん達に言っちゃ駄目ッスよ?」
心配してるだけなのに?
「・・っと、着いたな」
「わあ、魔物だあ。
みんな戦ってるねぇ」
「幹太、颯太・・来たのか」
「父さん!」
【人土村】の外周。
防壁代わりに使っているビルの屋上。
戦っている傭兵団達の、作戦補佐員の中に父さんがいた。
「傭兵団や三種族の皆が、今回は流石に【三巫女】達には休んで貰おうとしたんだがな」
「大丈夫ですわ、御義父様っ!」
「まあね。
逆に発散したいって言うか」
「そうか・・まあ、そうかもな。
ビタちゃん達は下の補給基地に居るしな」
「そうなん?」
ビタは例のイベントを、そこそこ楽しんでいたし・・気疲れしてなさそうけど。
「アナナゴ君とウーニ君が『村破級』の肉を採って帰ると、ビタちゃん姉妹に約束していたな」
「あー・・」
まあ上手くいくと良いな。
微笑んでいると、ジキアがクチに指を当てて「 しーっ! 」ってやってきた。
なんか軽く、子供扱いされてない?
「まあ、そうゆう訳でさ。
ちょっとみんなの陣形を変えて貰える?」
「どうゆう希望が有るのかね?」
父さんに伝えた事を受け、作戦基地の【人土】の人達が動いてくれる。
颯太は源太ちゃんと戦っていた村破級とは反対側の村破級へ。
ディッポファミリー傭兵団のいる辺り。
ザレと、ザレ付きの【人狼】達は、下で戦っていた他の【人狼】達の下へ。
俺は、群がやってくる方角。
魔物の列を縦断出来る場所を空けてもらう。
「直線攻撃のつもり?
いくらアンタでも、距離が・・」
「───ずっと考えていたんだ」
「・・何をッスか?」
「だいぶ治ったとはいえ・・みんなこの腕を、見て見ぬフリをするんだ」
「・・そうだな。
いずれ治る。
日本に居た頃より治っている。
・・分かってはいても、見ててツラくはある」
今の俺の腕は、ソコソコ骨と肉と皮は出来あがってはいる。
けど・・変色し、ボコボコと変形した腕は、ゾンビの腕を連想したらいいかな。
指は・・かろうじて、有る? っぽい? って程度。
「あと、【巫女化】による・・俺の体内で【スライム細胞】を増やす事を危険視してもいる」
「そりゃそうよ。
自分の体内で、自分以外の危険生物を暴れさす技術なんですもの」
「だから、いっそ二つを合わせてみる」
「「「・・は?」」」
俺の自己再生魔法を弱めてゆく。
全身の【スライム細胞】を、両腕に追い立てるように。
「か・・幹太・・・・!
その腕───」
ピンク色の───
【スライム】の色をした、完全な形の腕が俺の肘から先に出現する。
「【スライム】の腕だ・・!」




