339『当然本人たちは、エロい目的で抱きついてきます。幹太以外、全員気づいています。』
「まあ【人狼の巫女】は、謎は残りつつも・・問題なく覚醒してるんだし、この辺を落とし処にすべきじゃないかしら」
「そうッスね。
洗脳を解けるようになった、って事は【空の口】に対抗出来るって事ッスから」
「そうだなあ・・。
『三者を超えし者』はどう思う?」
今いる小会議スペースの管理人である【人土】の女性が、飲み物を持ってきてくれたので頂く。
あ、初めての風味だけど良い御茶だ。
父さんと【人花】の協力で作られた御茶だそうで、俺の立ち寄りそうな場所には常備されているとの事。
頭が下がります。
『三者を超えし者』は糖分多めのコーヒーを飲みつつ、思案顔で答える。
『なんとも言えない』
「と、言うと?」
『歴代と比べ、今回の【空の口】討伐隊は・・歪すぎる』
「歪?」
『弱くは無いが・・戦士で無い者が多すぎる』
「戦士でない者・・」
『千年前、二千年前は・・『街破級』が溢れていた。
ゆえに『対、街破級』が溢れていた。
イチ農民ですら、戦いの心得が出来ていた』
飲み物を持ってきてくれた【人土】の女性が「 ジムで鍛えようかしら 」等言っているが・・そもそもの話だからなあ。
彼女とて【人土】である以上、ド素人よかは戦える。
けど、求められるのは『ディッポファミリー傭兵団』や『ウェスト傭兵団』レベルの戦力・・いや、気構えの話だ。
彼等はチートなど持たずに、俺達より凄い事をやってのける。
「ペリオラ傭兵団も質の上下が大きいし・・」
「【人茸】はねー・・微妙なのが多いしねー」
旧ペリオラ傭兵団は『街破級【ニーズホッグ】』を倒した時の肉体・精神的な傷が癒えていない───【空の口】の洗脳のチカラだけで動いていた人も多い。
現ペリオラ傭兵団の・・【人土】はともかく【人茸】は、『元』が立場の弱い女性に暴力を振るって喜ぶクズだしな。
「前は男尊女卑主義だった傭兵団達もなあ・・。
気構えという意味ではなあ・・」
『黒い川事件』にて心変わりしてくれた傭兵団などは・・洗脳を解いた直後に「 姐御~♡ 愛してます~♡♡ 」と言って抱きついてきた。
事件当時はまだ、善意ある男に惚れまくっていたので彼等に対しても・・まあ、『そうゆう感情』は在る。
・・ので、一斉に抱きつかれるのは───恥ずい。
【人土】が、一斉に根刮ぎ魔力を吸い付くし・・彩佳がクワガタの餌にしようとしてきたので慌てて止めたが。
『【空の口】は【空の口】で、追い詰められている』
「あれっ!?
そうなん?」
『下が歴代以下なら、上は歴代最強と言って良い。
アキハラカンタ、貴女は異常。
理の外』
失礼な言い種にも聞こえるが───
まあ、糧たる魔法使いは減ったし・・虎の子・・『異世界侵略用』の、魔物の群を無計画に放つぐらいだしな。
追い詰めた感は有るか。
「そういや、魔物といやあ・・まだ次の魔物の群って来ないのか?」
「日程的にはそろそろよね?」
「・・あ。
ジキアに俺を任して、ディッポ団長達が居ないの・・って」
「・・たぶん、そうッスね。
ウェスト傭兵団も、村内で見なかった事を考えると」
死んだ魚の目で一晩中洗脳を解いていた俺を気遣って、と・・洗脳が解けて遠慮なく戦える喜びからだろうけど。
「今、【人土村】に来ているのは・・最後の方まで残った魔物───重量級だよな?」
「そうらしいね、幹太姉ちゃん」
「デカイんだろうか?」
「うーん・・どうだろ?」
「・・よーし。
突撃! となりの傭兵団、だ」
「行くの?
幹太姉ちゃんっ!?」
「ああっ!
たぶん源太ちゃんもソッチにいるだろうしさ」
【人土村】に迫る魔物群。
その殆んどが『破級外』『道破級』。
希に『村破級』が混ざる。
基本、『村破級』は源太ちゃん一人で。
残りは主に戦いの素人だった【人茸】と【人土】で構成された、『ペリオラ傭兵団』に【人狼】【人花】が担当。
コレに、旅から帰ってきたディッポファミリー傭兵団と・・洗脳が解け、貴重品である精密機械の【変換機】を必要としなくなったウェスト傭兵団が参戦する。
ザリーと王族擬き相手には、皆に丸任せになった。
洗脳を解く儀式では散々な目にあった。
・・久々にカマしてやろう。




