337『両親がどうやって君達を産んだか・・分かるかい?』
人生の黒歴史、その2たるイベントが終わって。
夜通し仕事だったので、一日お休み。
どうせ『三者を超えし者』は俺の部屋に侵入するのだろう。
なので本日は颯太の部屋で就寝。
・・すっかりピンクとフリルの部屋だなあ。
んで、次の日。
着替えは俺の部屋でなので、俺の部屋へ。
『御早う』
「・・御早う」
・・分かってたしね。
『昨日チラッと話に出た少女マンガとやらは、貴女の部屋には無かった』
「あー・・日本に居た頃( 女体化前 )は、あんま興味は無かったしな」
彩佳が少年マンガ畑で育ったクチで、少女マンガを好まなかったから俺もそんなには・・ってのもある。
けど、浮いた話好きになったり・・人の恋愛成就に首を突っ込んだり。
今の俺なら、少女マンガにハマりかねん。
「たぶん、ああゆう系はその漫画より日本語が読めないとキツいぞ。
あと人のマンガ、はよ返せ」
『古い日本語は以前習った。
今は現代日本語と擦り合わせ中』
なに、その語学力。
羨ましい。
未だに俺は、この国の文字修得に苦慮しているっつうのに・・。
文字といえば、【人土村】・リャター商会・商工ギルド間で、契約書作りに難儀しているらしい。
【人土村】側には魔法使いが溢れているからまだなんとかなるけど、相手側はハッキリ言って俺の顔を立ててくれているようなもんだ。
有難や。
着替えを終え、朝食を頂き、彩佳( 【人土村】内のマンションの一室が自宅 )と、ザレ( 彩佳の隣 )達と、ジキア( ディッポファミリー傭兵団で空き倉庫を借りている )が来宅。
今回は『三者を超えし者』と夜の相席していませんよ、と、キツく弁明。
【人土村】の小会議用みたいな場所へ。
「ジキア、みんなは?」
「さあ?
オレにカンタさん達を任せて、どっか行ったッス」
「ふーん・・」
魔力パスを通じて、皆の居所を探そうかとも思ったけど・・日本風に言えば
「 スマホにGPSアプリを入れさせて、常に監視 」しているようなモンだしな。
ジキアに俺を任したというなら、俺はジキアに任されよう。
「ザレ、【人狼】達に【人狼の巫女】の資格云々の話は?」
「いいえ、御姉様。
色々あった事も理由ですけど・・御姉様が睨まれた一件ですので、御姉様が絞めるべきかと」
【人狼】達がちょい、シュンとする。
以前、俺が【人狼の巫女】の資格云々の話をした時・・ザレを侮辱したように聞こえた彼等が、激昂したばかりだからな。
「じゃあまず、何でザレが【人狼の巫女】と分かったか、から話すか・・」
「お、お願い致します」
興味津々らしく身を乗りだし気味の【人狼】達。
・・あの日あの時。
世界中の人間が【空の口】の声を聞いて───
完全に洗脳され、【空の口】を崇めていた人。
ウッスラ洗脳され、自失した人。
声を聞いた事を忘れた人。
一番大切な者を忘れた人。
眠りについた人。
途中で突然洗脳が解けた人。
「ジキアみたいに、自力で洗脳をハネ除けた者もいるけど・・いろんな人が居た訳だ」
「三種族以外は基本、洗脳された訳ですね」
「洗脳された人達と、触れあってきた中で・・様々な条件から、【三種族の巫女】が洗脳を解くチカラを持っているっぽい───って分かってきた訳だ」
【三種族の巫女】のうち、『俺』と『ビタ』は分かっていたので、【人狼の巫女】を探すうちにザレが浮上。
されど今一つ、確信が持てないでいると───
「───『三者を超えし者』の説で、ひょっとしたらもう一人【人狼の巫女】が居るのかも・・って話だったんだよ」
「「「・・・・っ!??」」」
【人狼】達が大口を開けたまま、ポカーンとしている。
・・するよなあ。
「けどまあザリーとの戦いで、ザレは【巫女】として完全に覚醒したし、問題解決───」
「い、いやいやいや、カンタ殿!?
我等にとって、問題点マル残りですぞ!?
も、もう一人の【巫女】候補!?」
「根拠は薄い話なんだけどさ」
『『覇者』はドスケベだった』
オタオタする【人狼】達の動きが、ピタリと止まる。
・・止まるよなあ。




