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その姉妹品、危険につき──  作者: フユキ
三者を超えし者
331/547

331『幹太のを真似て、ザレのフィギュアも作られました。 邪神像と呼ばれて、大変不評です。』

 

山柄さんのビル、その玄関口。

源太ちゃんの位置を魔力パスで探ると、ココに近づいてきていたので暫く待つ。

・・ん?

この感じは───




「ザレ、みんな・・」


「御姉様!」


「カンタ先生、おはよー」




源太ちゃんは、ザレと女生徒達の数人に【人狼じんろう】の三長老を連れていた。

・・ソコに緊張感は在るけど、ギスギスした物じゃない。




「ザレ、【人狼じんろう】と和解出来たのか?」


「・・ナニやら、くすぐったい感じでは有りますが・・まあ」


「ん・・そうか。

君達もリャター夫人の手伝いとか、大変だろうけど・・お互い、助けあって欲しい」


「ええ、もちろんですよカンタ先生。

人狼じんろう】の人達も私達の事をザレの姉妹として、良くしてくれますし」


「アタシ達が幹太繋がりで【人土じんど】の人達に、良くして貰ってる感じね」




収まるよう収まったのかな。

人狼じんろう】の長に向きなおり、語りかける。




「彼女には彼女の理由がある・・。

三種族と【巫女】の関係(感情)は分かるけど、性急に詰め寄らないでやって欲しい」


「無論。

今は民に謁見制限を掛けておる。

朝晩10名ずつ、握手は5秒まで」


「ドコのアイドルっ!?」




・・まあ、ザレから悪感情は見えないしイイか。




「で、源太ちゃんは今回の事を『三者を超えし者』から聞いてんの?」


「いんや、颯太と一緒じゃよ。

王族(ヴォイド使い)を追い詰めた所で、突然『三者を超えし者』とやらが現れてのう」


「殺しちゃダメって、王族を『箱』にして・・」


「そんで【人土じんど村】に帰ってきて・・後は御主等と同じじゃの」




王族は明らかな情報源なのに、情報を吐かせる手段を持って無かった二人は、王族を「 ただ殺す 」より───

何か、情報が得られるかもしれない・・という理由で王族を『三者を超えし者』に任したらしい。




「うーん・・鬼が出るか蛇が出るか───って奴か」


「アタシ達にとって、得に成らない(面倒くさい)話の可能性は有るわよねー・・」



◆◆◆



「幹太、颯太、源太ちゃんさん。

体調は?」




山柄さんのビルの玄関。

俺達を待っていたのは、山柄さんの部下と、外部職員として働く父さん。


あと・・何か俺のコネを駆使して父さんの部下に潜りこんだ、父さんに惚れている女生徒たち。


アナナゴさんとウーニさんは、アレぐらい積極性を持っても良いと思うの。




「ぐっすり寝たから大丈夫だよ。

父さん」


「僕もー」


「心配せんでええぞ、仁一郎君」


「そうですか、良かった」




言うまでも無く、ディッポファミリー傭兵団や【人狼じんろう】も問題ない。




「彩佳ちゃんとザレちゃんとビタちゃんは・・」


「大丈夫ですよ、オジさん」


「寧ろ、良すぎるぐらいですわ」


「【空の口】をブチ殺してやるのです!」




女生徒達は女生徒達で、お互いの進退を確認中。


リャター夫人の庇護の元に居た頃は・・リャター商会に入るか、リャター夫人が所属していた白百合騎士団へと入団するか、その二択しか無かった。


けど───


彼女達も、いろんな物を見る機会を得て・・男尊女卑の呪縛から解けた今は、山ほど選択肢がある。

ただ・・騎士団はともかく、リャター商会入り希望者はまだまだ多い。


リャター夫人を尊敬しているから・・なのは当然だけど、今リャター商会は忙しすぎて【人土じんど村】からも助っ人は送っているらしい。


ソレでも【国境の村】と並ぶ【人土じんど村】の命綱だし、現状の10倍20倍居ても足りないらしいほどらしいな。


もう随分リャター夫人に会えてない。

そのウチ、俺から会いに行って精の付く物を作ってあげたいなあ。

・・その為にも。




「父さん。

『三者を超えし者』は?」


「上だ。

重役の会議室で待っている。

山柄さん達やパラヤンさん、ピヒタちゃんも待っている。

後はお前達だけだ」


「そ、そう」



◆◆◆



「幹太さん、来たね」


「はい」




人土じんど村】内でも中々会えない忙しい人達ばかりだ。

『三者を超えし者』は───窓際に立ち、外を眺めている。

コッチの世界じゃあ、見ない景色だしな。

( あと俺の漫画返して。)




「俺達が最後らしいし・・さっそく始めてくれ、『三者を超えし者』」


『む?

そうか、分かった。

まずコレ(・・)だ』


「『箱』・・王族だね」




山柄さんが顔をしかめる・・が。

その前に───




「───ソレ(・・)、王族で間違いない(・・・・・)のか?」


「「「はあ?」」」


「・・そうね。

ソイツ(・・・)ザリー(人狼の元長)を使っていたなら・・ソイツ(・・・)を、王族が使っていた可能性は有りよね」




皆が狼狽え、『三者を超えし者』は「 ほう 」といった、驚嘆の顔をする。




『正直、貴女は天然だと思っていたが・・中々するどい』


「彩佳を馬鹿にするな・・ぎゃうんっ!?」




彩佳を庇ったら、何故か彩佳から喉輪

食らってメンチを切られた。

なにゆえ。

世の中、世知辛いのじゃー。




『コレは、ヨランギの血が薄れた王族の切れっ端』


「王族本家にとっちゃ、どっかの貴族だか権力者だかに政略結婚で売るぐらいしか使い道のない奴かあ」


『ヴォイドは本人の物に、王族本家のヴォイドを一部乗せている』




面倒だなあ。

ソレを更にザリーへと乗せて、超長距離操作してたって訳だ。




『ヴォイド使いが死ぬと、ヴォイドは本人・・コレの場合は王族本家の元へと帰る。

無効化できない強い一人より、無効化できる弱い多人数の方がまだ楽。

こうやって封印できれば尚ヨシ』


「無効化できない強い一人・・まさか」




以前、日本で山柄さんが世界と世界を繋ぐ『歪み』を正している理由で言っていた気がする。

・・・・確か。




『王族本家のヴォイドもまた、【空の口】からの預り物』


「・・はぁ。

本来の使い手って訳か」




ソコでディッポ団長が不思議そうに手を上げる。




「てこたァ何か?

前回の戦争で王族がヴォイドを使って戦争に勝ったって事ァ・・あの時点で【空の口】はその程度は復活してたって事か?」


『( フルフル )』




無言で頭を横に降る『三者を超えし者』。

王族も今は(・・)【空の口】から『ヴォイド』を預かっているけど・・本来(・・)は王族も使える?




「あー・・『王族』は『最初の魔法使いヨランギ』の子孫で、なんでヨランギは魔法使いに成れた(・・・)のかしら?」


「うーん・・そういう事かあ」


「えっ?

どうゆう事ッスか?」


「『英雄ヨランギ』は『誰の』子孫か、って事だな?

御姉チャンよう」




『三者を超えし者』が、ややクチを重たく・・ソレでも語りだす。




『『英雄ヨランギ』は【空の口】が産んだ子供。

王族は【空の口】の子孫。

魔女から魔法を盗んだ一族の子孫だ』

 

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