33『日本人がみんな知識チート出来ると思うなよ!?』
「ジキアさん部屋で何してたの?」
「ん゛んっ!?
ん~・・俺への祈祷・・?」
隣のジキアが無表情になる。
・・スマン。
魔法使い同士だと下手な誤魔化しが効かんから・・。
「ジキアさんが幹太姉ちゃんの看病してて、たまにジキアさんの声に反応して「えへへぇ、ジキアぁ♡」って笑ったりしてたんだよ♡」
「・・ああ・・ソレで安心とか溜まったモンとか一気に・・」
ジキアの頬を一筋の雫がこぼれつたう。
コレが俗にいう、
「もうやめて、とっくにジキアのライフは0よ!」
ってヤツか。
「・・モウシワケゴザイマセン」
何故かロボットみたいに謝るジキア。
えーっと、えーっと、話題を終えれる一言を・・!
「・・ま、まあ、弱ってる女の子にする事じゃない気がするけどジキアはジキアなりに頑張ったさっ!」
「ガはッ!!」
胸を押さえうずくまるジキア。
しまった、止めを刺してしまった・・。
しかもオーバーキルだな、これ。
でも魔法使い同士だと下手な誤魔化しが効かんから・・。
スマン。
◆◆◆
「よーう、御姉チャン。
目ぇ覚めたか」
「はい、色々心配お掛けしました」
魔物の森で作業をしている皆の所へ。
ディッポファミリー傭兵団、ウエスト傭兵団、あの時参加した傭兵達の一部が採り損ねたエリ草と【ワーム】の死骸を連結した荷車に載せていた。
【ワーム】班は
「こんなデカイ無傷 ( 頭以外 ) の【ワーム】なんて、どう運べば良いんだ?」
と笑っている。
「医者も魔法使いも、ただ寝てるだけで問題無ぇっつうからコッチ来たけどよ・・。
──けどソッチは、な」
「・・やっぱり俺にエリ草を使ったんですね」
今、俺の腕からは普段使ってる安物の薬とは違う匂いがする。
記憶が確かなら・・エリ草の匂い。
でも俺にはエリ草が殆んど効果がないらしく、俺の腕を見てディッポ団長が頭をかく。
「気絶して・・身体動かし用魔力もカットしてフルに自己再生魔法を使った俺の方がエリ草の自己再生薬効を上回ったみたいですね」
その予測、先に言っときゃよかったなあ。
颯太ならそうするだろうし。
まさか気絶するとは思ってなかった。
「・・困ってねえのか?」
「みんな・・颯太も含め、不便そうって思ってますけど・・吸着魔法が結構便利なんですよねー」
正直、指が生え揃った時に困りそうなぐらい吸着魔法は便利だ。
知識チート物でよくある活版印刷はコッチに無く、製本は一冊一冊手書き。
活版印刷の作り方も、判子がどう・・とかしか知らんし、俺なら10本同時に筆を持って書ける。
そうゆうバイトも出来そうだな。
「ソレでも一割程は治ったんで、一割程魔力を攻撃用とかに回せますけどね」
「まだ威力上げられんのかよ・・。
まあ御姉チャンが困ってねえんならソッチはソレで良いか。
ソレよりも・・御姉チャン達を嗅ぎまわってる奴がいるぜ?」




