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32『えろぴんちかい。』


【銀星王国】の地方領、【ゲラェブ領】を修める領主、ダロス。


その仕草など、雰囲気は年寄りのモノだが・・少なくとも見た目は若い。


【銀星王国】の貴族の権威は魔力の強さで決まり、彼もまた領主に相応しい魔力を持つこの国最高の魔法使いの一人。


強い自己再生により若さを保っているらしい。


その政務室で部下たちとの会話する。




「・・そう言えば、最近話題の傭兵団をご存知ですか?」


「勿論だとも。

たったの1800人で【『街破級』ニーズホッグ】を討伐した【ペリオラ傭兵団】だろう?

世界中の話題だ」


「・・いえいえ、その傭兵団が倒したのは『村破級』だそうで」


「ソレがどうした?

この辺でも次期『対、街破級』と噂されている【ウエスト傭兵団】がいるではないか」




部下の男性が手を前にだし、指を2本伸ばしニコと笑う。

イタズラが成功した子供のような顔で。




「2人で、ですよ。

2人で【ビッグボア】【アルラウネ】【ワーム】【コカトリス】を倒した・・らしいですな。

しかもたったの一日で」




領主ダロスが一瞬、ポカン・・とし、暫くして笑いだす。




「ハハハっ、そんな貴族でもない平民が・・」




だがダロスは魔法使い。

目の前の部下が嘘をついているかは一目で分かる。

そういった冗談を仕事中に言わない事も。




「・・情報の確度は?」


「少なくともソレを信じている傭兵が増えつつあります」


「────・・。

調査班を増やせ。

他領地の者に知られるな」



◆◆◆



【コカトリス】を倒してから数日たった・・らしい。

何故『らしい』なのかというと、ずっと眠っていたから。


俺達が【コカトリス】を倒した後、この時から妙に眠たかった。


たぶん転移直後、魔力の使い過ぎで気絶した、アレの前兆だったんだろうけど。


浮かれた連中が一瞬馬鹿騒ぎの雰囲気になったけど、

「ここは魔物の森だぞ」

というイーストさんの言葉からサッサと村に帰る。


帰り道の俺の様子に、

「オレが背負う、いやオレが」

とみんなで気遣ってくれた。


鎧を着ている人は俺が痛くないよう鎧を脱いでくれた。

「もっと体重かけてくれて良いぜ?

こうベッタリ。

うへへ♡」

優しい。


随分変わったモンだ。


無論この場の全員が生まれた時から染み付いた男尊女卑を捨てられた訳じゃなく、俺と颯太を見下す奴等もいるが。


どうやら下っぱ傭兵達のリーダーがあの下種ABCだったようで、心酔してたグループと辟易してたグループがあったみたいだ。


で、北の村で世話になった人にエリ草をこっそり渡してて──


そっから記憶がない。



◆◆◆



「よかったあ~♡

このまま幹太姉ちゃんが目覚めなかったらどうしようかと思ったよ」


「心配かけてスマン、颯太」


「ここは村長さんのお家で・・あっ、ディッポファミリー傭兵団のみんなも来てるよ?」




『黒い川』とか色々心配かけちゃっただろうしな。




「幹太姉ちゃん以外が無事って分かって、今は後始末とかしてるんだ。

【ワーム】の酸とか。

でも万が一の時のためにジキアさんが残ってるよ」


「そっか、じゃあ挨拶にいこうか」



◆◆◆



『カンタさん・・カンタさ・・!』


「ジキアー、居るんだろー?」


「えっ? あっ!?」


『──ぴゅっ──』


「「あ」」


「ん~? どうしたの、部屋に入らないの?」




ああああああああっっ!?

年頃の男子の部屋にノックもせず入ったら『こう』もなるよな!?



①『気にすんな、俺も元男だから分かるぜ!』


②『手伝ってやるよ!』


③『イッパイ出たな!』



えーっと・・えーっと・・!??




「──が、頑張りたまえ?」


「・・・ハイ」




あ、死にそうな顔になってる。


そりゃ俺が彩佳にそんなん言われたら軽く死ねるわ。


パニクった頭じゃ何言ってもトンチンカンな台詞しか出そうにないんで無言で退室する。


ジキア、すまん。


という訳で、ジキアの ( ある意味幹太も ) えろぴんち、でした。

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