315『本人的には、内臓が飛び出てきたかと思った程です。』
〔あ、アヤ・・痛っ、カ・・痛痛痛痛っ!?
んもうっ!
アヤカっ、分かりましたわよっ!〕
「あー・・あー・・。
繋がってんの? コレ? あれ?
あー・・あー・・あー・・」
〔ゴーメーンーなーさーーいっ!!〕
「ゆ、許してやれよ・・」
精神的ショックから崩れそうになるザレと、そんなザレにクワガタを嗾ける彩佳。
後ろの【人狼】達の目が怖いんですけど。
「ザレ」
〔お、御姉様・・〕
「ザレはどうしたい?
ココに、ザレを助けたく無い人なんて居ないんだぞ」
彩佳は・・ちょい照れているけど───颯太や源太ちゃんはニコヤカに。
父さんは真剣な顔で。
【人土】達は静かに。
【人花】達はビタを筆頭にワクワクした感じで。
【人狼】は厳かというか・・万感の想いを込めた感じ。
カメラに映る面々も・・ディッポファミリー傭兵団も、ウェスト傭兵団も・・そして、女学園の皆も。
ニコニコ、もしくはニタニタって感じ。
〔わ、ワタクシは・・憎い。
御姉様に、皆に迷惑をかける祖父とやらが・・憎い〕
「・・・・」
〔・・憎くて憎くて憎くて憎くて憎くて───だから、話を聞きたい〕
「分かった。
ザリーは殺さず、ザレを無事に牢屋まで送り届ける!」
「「「了解っ!」」」
「「「おう」」」
「「「分かりましたっ!」」」
「ディッポ団長、ザレ達の護衛を頼みます」
〔分かったゼ〕
「女学園の皆はザレのサポートを」
〔ええ〕
広場の監視カメラからは誰も居なくなる。
ココからはカメラが飛び飛びになるからな。
「【人狼】の皆さんには、ザレを動揺させ無い為にも今暫く待機して貰います」
「悔しいが仕方なし」
「・・けど、その後は無茶苦茶シンドイ目にあって貰いますよ?」
「望む所よ」
ニヤリと笑う【人狼】達。
「【人花】には───広範囲遠距離サポートを頼もうかな」
「お任せ有れなのです!」
「ビタは日本で実感したと思うけど、『異世界物質』は【人花の能力】にも影響する。
気をつけて」
「【人土の巫女】の食事が、我等を更なる高みへと登らせる・・」
ウットリしながらトリップしてそうな事言いだした。
俺としちゃあ、魔力譲渡に比べて小さな魔力だと思うんだけどなあ。
「もう、コレは言わずとも分かる通り【人土】は『三種族』中で最も『異世界物質』から悪影響を受ける種族ですから、作戦本部の作業に徹底したいと思います」
「我等が【巫女】の、御心のままに」
「父さん」
「・・ああ。
無茶さえしないのなら、私からは何も言わない」
「有難う」
俺達の約束を受けての言葉。
「颯太、源太ちゃんも」
「うん」
「うむ」
「俺達が一番難しい立場だ。
チートで・・最も『異世界物質』に反応する。」
「「・・・・」」
「だから・・最高のタイミングで最大限の一撃を喰らわす準備だけはしといてっ!」
「分かったよ、幹太姉ちゃん!」
「うむ、心得た」
「彩佳は皆のサポートを頼む」
「仕方無いわねっ!」
俺も・・今は、サポートに回る。
俺が出来るサポートなんて魔法のみ。
つう訳で新魔法開発。
さっき開発した、
『『ヴォイド』の消滅より早く、同じ場所に何度も何度も魔力を送る』事を目的とした『高速回転魔法』。
日本で『異世界物質』に難儀していた時に開発した、
『最小限の魔力を『異世界物質』にぶつける事で、魔力消滅を抑える』事を目的とした『結界魔法』。
この二つの魔法を組み合わせてみる。
「異世界物質迎撃魔法っ!」
〔うぉっ!?〕
ディッポファミリー傭兵団が所有する無線機からディッポ団長の声。
魔力パスを通じて、この距離からベルト辺りに掛けてみたけど成功したっぽいな。
さっそく『ヴォイド』に反応したようだ。
〔俺の腹から、なんか急に飛び出てきたぞっ!?
御姉チャンかっ!?
御姉チャンだなっ!?
何かヤル時はちゃんと事前連絡をしろっ!!〕
「上手くいったみたいですね。
よかったあ♡」
〔会話をしろっ!?〕




