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311『似た者師弟。』


ディッポが提示する、

『ヴォイドの術者』の条件───


『【人土じんど村】の新参では無い』

『無軌道な少女の行動を、後追い出来る』

『【人土じんど】の感情レーダー網の意識の外』


───コレに、ウェスト傭兵団団長のウェストと副団長のイーストは顔を見合わせる。




「心当たりは有るか?

俺ァ【空の口】の洗脳( ? )から目覚めてすぐ旅に出たからな・・村民の事を、殆んど知らねェンだ」


「私もプライベートを、次から次に増える村民の為に使っている訳では無いしな・・」


「【人土じんど】か女学園の者なら分か───・・いや?」




ふと、そう言えば・・といった感じで止まるイースト。




「・・『罪人』・・」


「「罪人( だァ )?」」




罪人ならば感情レーダー網に引っ掛からない。

掛からない・・というか、掛かって当然なので無視される。


『無軌道な少女の行動を、後追い出来る』も、罪人であっても実は容易い。


犯罪心理を真の意味で理解出来ない看守(人土)彼等(罪人)の目の前で(人土の巫女)の現状を話したりするからだ。




「けどよ。

この村で、罪人っつう概念自体が珍しいだろォがよ?」




『三種族』は他種族には理解し難い、魔力パスの繋がりがある。

ディッポも、【空の口】の洗脳により意識を失った果てに辿り着いた『青い世界』にて、幹太と交流した事により彼女と魔力パスが繋がった。


あのくすぐったい感覚を種族全体で共有しているのなら、犯罪などするヒマが無いと思うディッポ。


他種族との小さな衝突、三種族以外の諍いなどは有るが・・基本この村で犯罪らしい犯罪は無い。


・・しかし。




「飽くまで【人土じんど村】の初期の住人や、カンタの知り合いの『三種族』以外であって───

・・全く牢屋が必要ない訳では無い」


「・・成る程な」


「とは言え・・。

三種族やペリオラ殿に【人茸じんたけ】達が、外で魔物退治をしている間・・未だ【変換機】が必要な我らは村内を警備をしているが・・正直、『対、村破級(われら)』の必要性を感じんような小者ばかりだがな」


「すっかり『じむ』とかいう体を鍛える場所の常連だ」


「けどソレならよ・・新参じゃ無ェって条件が───」




といった所で、別の『ヴォイド』もしくは『術者』を探していたディッポファミリー傭兵団が帰還。




「団長。

コッチは異常なしだったので、チカラを持て余し気味である」


「下がって休んで欲しいの」


「・・チッ、仕様が無ェ」




夜に『ヴォイド』が出現し、もうすぐ朝。


地味に疲れを感じ始めた頃だったので、中途半端も悔しいが大人しく引き下がるディッポ。


暫く後にウェスト傭兵団団員達も合流。

ウェストとイーストも下がる。


ディッポ達が交替して幾時間。

昼をやや過ぎる頃。




「どうだ?

おめェ等、被害は無ェか?」


「ああ、今んトコは。

カンタ達が提唱した【変換機】が辛うじて『ヴォイド』に効いてるって感じだな」


「辛うじて、か」


「辛うじて、だ」




皆も疲労が目立ち始める。

怪我こそ無いが、『ヴォイド』の特性で自分や周囲の魔力がどんどん消滅してゆく。


最近───

善意でなければ魔力汚染を引き起こす程の超濃厚高密度魔力に、外から内から漬かって過ごす事に慣れつつあった彼等は・・身体強化魔法を使えなくなりつつあり、動きに陰りが出ていた。




「作戦本部はまだ、『ヴォイドの術者』を見つけられんのか!?」


「作戦本部の人間は、ほぼ全員が【人土じんど】だからな。

今アソコは空っぽに等しいんだ」


「避難場所に聞きに行っているが・・今度の敵には(人土の巫女)が殺されるかも知れんって事で、かなりパニクっているからな。

もはや牢屋にいる罪人全員、シメた方が早いかも知れ───」




『・・ォ・ォォ・・オおおっ!』




「「「・・・・ん?」」」




『・・ぉぉおおお御姉様ぁ!!』


『ざっ、ざざざ、ザレっ!?

あ、安ああ安全ぜぜん運転で・・!』


「・・ああっ?

ザレ嬢チャンっ!?」




爆音と共に、トラックで【人土じんど村】へと突っ込んできた・・ザレと、ザレの友にして義姉妹たちである女学園の生徒達。


彼女は、恩師リャターが運転するトラックに対する恐怖心を克服する為に旅の途中で運転をマスターし、各村々での資材運搬を手伝っていた。


愛する女性がピンチの今、その時会得した技術でリャター商会から【人土じんど村】まで飛ばして帰ってきたのである。




「ディッポ団長様、御姉様はっ!?」


「『ヴォイド』っつう魔法使いの天敵が来てな、御姉チャンは避難しているゼ。

『三種族』もな」


「ザレちゃん、君もハーフとは言え【人狼じんろう】なんだから避難して・・」


「じ・・術者はっ!?

ソイツさえ叩けば・・」


「それが分から無ェンだよ。

条件は、こうこうで───」




ディッポの言う『ヴォイドの術者』の条件に、女学園生徒達の数人が反応する。

・・明らかに、顔が青い。




「・・心当たりが有ンのか?」


「そ・・ソレは・・その・・」


「どうしたんですのっ!?

心当たりが有るなら言って下さい!

御姉様のピンチなのですよっ!?」




ザレの剣幕に押され、女生徒の一人が観念してクチを開く。

・・その、相手は。




「───ザリー。

人狼じんろう】の、前長。

ザレ・・アンタの実のお祖父さんよ」


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