306『この前、母からイキナリ「 あちゃーおちゃー玄米茶って何? 」と、聞かれました。 母は一体、何を見たのでしょうか。』
「【巫女】様?
コチラはなんと書いていますの?」
「『合同コンパニー』だ」
「は・・?」
8人の【人土】代表の一人で読モの人が、コッチの字で書かれた俺の持つ『合コン垂れ幕』を見て「 コイツ・・何言っとんねん 」という顔をする。
大丈夫だ、問題ない。
今まであんまこーゆー事に興味が無かったので、業界的に詳しいであろう人にちょいアドバイスを貰いに来たのだ。
「な、何で突然こんな事を・・?」
「前々から気にはなっていたんだよ」
男尊女卑で、ずっと辛い目に会ってきた女性。
狭いコミュニティで、閉じた生活を送ってきた人。
洗脳、戦いにつぐ戦い・・。
【人土村】から出れず、限定的な資源でヤリクリする現状。
「洗脳と物資には目処がついた。
だから少し贅沢というか・・ストレス解消しようかと。
興味有る人は多いみたいだし」
「は・・はあ・・。
確かに『ウチのコ』が『ソチラの一人』と付き合い始めて───
ウザい程ノロケてくる位ですしねぇ」
「一応、ちゃんとした理由もある。
絆が深まれば深まる程、洗脳を解きやすいんだ」
「まあ、私としては【巫女】様の決断に従うのみですが」
てな訳で。
『【人土村】合コン委員会』を、彩佳と十数人の【人茸】と共に設立。
読モの彼女の意見を取り入れて『気遣わない風』のパーティ会場を【人土村】広場の一画に作りあげる。
「アンタは参加しないの?」
「すっ・・する訳ナイだろっ!?
裏方の料理係だよ」
合コンは立食パーティ形式。
俺は会場端の調理場で料理だけをするつもりだ。
【人土村】の盟主だ【巫女】だなんつっても、村の経営に携わる訳でもなし・・実は暇なんだよな。
彩佳は、警備係。
高ぶって暴走する人間が居ないかを探し、居たら【人茸】に指示し対処する。
「人見知りでこーゆーのが苦痛って人は、飯だけ食いにきたら良いレベルの料理は用意するし」
「あー・・そうね」
「もう1つ・・明日の夕方にザレが帰ってきたら、洗脳を解きまくる事になる。
その予行演習にもなるしさ」
「無茶はしちゃ駄目よ」
「ああ」
◆◆◆
「ピヒタ・・後ろも見ろ」
「イぃぃヤぁぁぁ・・っ!!
私は一生ココに住むっ!
【人土の巫女】よ、結婚して下さい!」
「合コンでプロポーズ禁止」
夜になり合コン開始。
いかがわしいナニヤラに成っても困るので、酒は一切NG。
たとえ合意でも、接触禁止。
色気より食気が大事な娘と話したい男達も、一歩離れた後ろから必死にアピールしていた。
まあ人間同士はともかく、『三種族』は独自の魔力パスを有している。
仲間と認めた御互いを傷付けるマネはすまい。
「ふう・・カンタさん、お手伝いして良いッスか?」
「ジキア君、モテモテでしたね?」
「ひいっ、俺はなんもシてナイッスよっ!?
その真顔と敬語は止めて下さいッス!」
ジキア君がリラキアさんの車イスを押しながらやってきました。
『カワイイ系』にして『将来有望株』であるジキア君に、女性達が群がっておりました。
( そして彼はデレデレしてやがったのです )
「リラキアさんも。
大丈夫でしたか?」
「え、ええ・・。
まさかこんな目に合うとは・・」
ジキアのカワイイ系の顔は、リラキアさん似。
まだ若いし、リラキアさんが未亡人だと知っている何人かに声をかけられていたのだ。
「まあ、問題無くも無いけど・・概ね成功かな」
調理場の位置は、会場全体を見渡せる位置。
感情レーダー魔法にて、善からぬ感情を抱く人間はチェックしているが・・今んとこ皆、楽しんでいた。




