303『おま言う。』
社長にしか対処出来ない仕事をボイコットしてみたり、突然3時間ほど行方不明になってみたり・・なかなか香ばしい社長が、仕事初め早々ヤラかしてくれました。
かなりヤバイです。
「ポロヤンさん、お久し振りです」
「カンタさん、お久し振りです」
【人土村】商工ギルド長パラヤンさんの娘、ポロヤンさん。
パラヤンさんは忙しくて会えないので、ちょっと話を聞こうと思ったんだけど・・。
「申し訳ありません、最近は私も父には会えなくて・・」
「そうですか、実は以前───」
【人土村】の物資とかの話もそうだけど・・ポッと出がギルド長に、しかも金の成る木である【人土村】の支部長に収まった事の危険性の話もしたかった。
「父を心配して下さって有難う御座います。
色々ディッポファミリー傭兵団の皆様や【人土】の方々が動いて下さっていますので、問題は有りませんよ」
まあ今の所、本格的に動いているデカい商工ギルドっつったら国境の村支部だけだしな。
本格的に面倒臭くなるのは、もうちょい先か。
「そうですか。
今、ポロヤンさんはどんな役職的な事を?」
「父達と、傭兵団や三種族の方々との繋ぎ、ですね。
ジンイチロウさんもそうですよ」
父さんとポロヤンさんか・・。
源太ちゃんの世話係を巡って、ちょいバトル的な雰囲気を感じてたんだけど。
「あら、その顔・・何か勘違いなさっていません?
ゲンタ様の御家族である方に妬心など有り得ませんもの・・強いて言うなら、良きライバルですよ」
うーん、嘘はついてないか。
「そうですか、ならコレからも源太ちゃんを宜しくお願いします。
傭兵団とかの皆はどうですか?
定期報告で大きな怪我人などは無いとの事ですけど」
「ええ。
みな、大活躍ですよ。
ペリオラさんや・・ゲンタ様も♡」
「そ、そうですか」
源太ちゃんは、ザレとの反応といい・・ザラクスさんの事があるからなあ。
まあ、こんな時にハーレム作った方が悪いよな。
◆◆◆
「カンタ姐さん、お帰りなさい!」
「カンタちゃん、お帰り。
大活躍だったらしいねえ。
ウチの亭主どもは役立ったかい?」
ディッポファミリー傭兵団の、傭兵として活躍するには幼い子供や、上世代の奥さん下世代の母親達。
「姐さん」はちょい、ハズいけど・・まあシキタリみたいなモンだ。
「ただいまです。
皆さんも、俺達が誘拐同然で集めた女性達を上手くまとめてくれているそうで・・助かります」
「アタシ等自身が昔、そうだったからね・・。
・・・・。
まったく、ディッポファミリー傭兵団は誘拐の達人だよっ!」
ココで奥さん方が「 ドッ 」と笑う。
結構エゲツないブラックジョークだけど・・ソレだけの人生だったらしいしなあ。
「ジキア」
「母さん・・」
ジキアと、ジキアの母親、リラキアさんとの再会。
なんか見つめあっている。
俺達に遠慮してんのか?
「ほら、抱き合って。
ずっと会えて無かったんだぞ?
家族とっ!?
ココは熱い抱擁のシーンだろうっ!?」
「い、いや・・ウチはそういうのと違うッスから」
「遠慮するなって!
家族と抱擁したく無い家族が、この世に居る訳無いだろっ!?」
照れてんのか?
反抗期ってやつか?
俺、そういうのが無かったから分かんないんだよなあ。
「・・・・・・。
・・もしアタシん家でアレ、ヤられたら思うと・・ゾッとすんだけど」
「んぅー・・幹太姉ちゃん、彩佳姉ちゃんの家族好きじゃないし」
「あ、アンタもハッキリ言うわね。
・・まあ良いけど」
「いやあ~・・秋原家だけ───」
「ジキア」
照れるジキアを、ソッと抱くリラキアさん。
一瞬、ジキアも顔を赤くして跳ね除けようとするも・・。
「・・母さん、ただいまッス」
「・・お帰り、ジキア」
うんうん。
「カンタさん」
「はい?」
「ジキアは・・誉められる旅をしましたでしょうか?」
俺は万感の想いを込めて宣言する。
「彼は───
イスカンダルを食べられるようになりました!」
「いやっ!?
ソコじゃ無いッスよねっ!?」
「まあっ!
ジキアがイスカンダルを・・!?」
堪えきれず、涙腺を崩壊させるリラキアさん。
「母さんっ!??」
「偉いでしょー」
「ちょっ・・二人とも───
・・勘弁して欲しいッス・・」




