301『イベントが多すぎて、放ったらかしにされている人ばっかりです。part2』
【人土村】へ向け、【ジート砦村】を出発。
秋原家を見送る人の反応は様々だな。
「カンタお姉ちゃん、バイバーイ!」
「ガロス様と結婚なさるのでは?」
「遠距離恋愛?」
「もしかして・・チャンス?」
「足がいっぱい・・」
まあ、ジート砦へ来た頃の悪感情・・『ガロス派』『俺達派』っていう派閥争いは無くなった。
概ね、認められて出発出来る。
ビタが育てたツリーハウスが子供に大人気なのや、彩佳の【人茸化】アローバードの玉子も、良い感じで助けになっている。
「・・・・」
「・・・・」
ガロスとの最後の挨拶は、繋げた魔力パスでのみ。
目も合わせない。
『呪い』で、とは言え・・『そういう』感情は抱いている。
でも・・俺には役目があるしな。
◆◆◆
「アヤカだけは【ジート砦村】に残っても良かったのですよ?」
「うっさいわね・・。
ザレこそ【人狼】の事で残りたいんじゃない?」
最近、登って無かった秋原家の屋根の上。
日本式道路を作りつつ、進む。
「私はもっと、ツリーハウスを作ってみたいのです!」
「ビタちゃん、忍者屋敷の映像とか見てたもんねぇ」
「チャー」
悲喜交交は有ったしなあ。
みな、大なり小なり想う所はある。
「カンタさん大丈夫ッスか?」
「俺は、さ」
「はい?」
「みんな・・大好きだ」
「・・はい」
「キッカケは『呪い』だとしても・・いずれ好きになる、なれる人にしか好きにならない」
「・・そうッスね」
「今は・・【空の口】だ。
・・決着は着けられないんだ」
「ソレで良いッスよ」
「有難う」
ソレから暫く。
ついに【人土村】へ帰ってきた。
「幹太、颯太・・お帰りっ!」
「「ただいまっ、父さん!」」
熱い抱擁。
ガン泣き。
相変わらず、皆から引かれる。
何故に?
「源太ちゃんは?」
「二手に別れていた魔物が、再び合流する事が予測されるからな。
見廻りに行っている。
───というのは建前で・・」
チラリ、父さんがザレを見る。
「【人狼】をザレから遠避ける為・・かあ」
「ああ。
ザレちゃん、【人狼の巫女】の覚醒・・おめでとう、と言って良いのかな」
「・・どうなのでしょう?
まだ、完全には覚醒していないのですが」
「そうだね・・。
幹太が【人土の巫女】に成った時は、遠く離れた【人土】にも知れ渡っていた。
未だに【人狼】に変化は無いんだ」
「そうですか・・。
有難う御座いますわ、御義父様」
ザレを気遣ってくれる父さん。
「あっ、御義父様と言えば・・」
「ん?」
「俺に弟か妹は出来───むゅん!?」
父さんがクチビルを摘まんでくるっ!?
なんなん?
何故だか、タイミング的に彩佳とディッポ団長から拳が飛んでくる姿を幻視する。
「うぇ、えーおーあぅいいあぅあんにゃあっ?」
「僕もー♡」
「あ、あのなあ・・?
ざ、ザレちゃんっ!?」
「す、済みません御義父様・・。
ワタクシは、友達と御姉様の味方ですの・・!」
「あ、彩佳ちゃんっ!?」
「天然ってオジさんとオバさんの、どっちに似たんですか?」
「勘弁してよっ!?」
「あっ、『街破級【トイレの巫女】様』!?
御飯、御飯をォォォっ!?」
「あー、このカオスっぷりは【人土村】に帰ってきた実感がわくッス」
「実感わき過ぎだゼ・・」




