3『性転換モノ異世界転移の主人公がどうなるかなんて・・分かるよな?』
走る。
走って、走って、走りまくる。
乳が。
揺れて、揺れて、揺れまくる。
あまりに痛いんで、抱えて走る。
柔らかぁい・・。
・・てな事を考えてると、真後ろから正確なリズムで『ドンッドンッドンッ!』と、音がしているのに気付く。
・・何だ?
さっきの『犬ゴリラ』に、石を投げつけられている?
こんな正確に真後を、同じリズムで?
───からかわれている?
「ゼェ・・ゼェ・・そ、颯太!
止まってくれ、何かおかしい!」
「何かって!?」
止まりながら振り反ると・・犬ゴリラは居なかった。
その代わりにあったのは俺達の足跡。
「す、凄い足跡だな・・?」
「土が柔らかい・・訳じゃないよね?
普通の土だよ」
「そういや裸足なのに、足ぜんぜん痛くないな・・?
颯太はどうだ?
足、痛くないか?」
「あっ、ホントだ・・うん、全然痛くないよ。
怪我もないし」
所々、尖った小石がある。
・・絶対相当数踏んでいるハズなのに、颯太の言う通り掠り傷一つない。
「───ああっ、そうか!
異世界転移なら、まずチートを調べないと!」
「チート?」
足にチカラを込め、砲丸程の石をサッカーキックでおもいっきり蹴る。
・・痛くない。
蹴られた石は轟音と共に、数10mスッ飛ぶ。
颯太が目を輝かせて真似ると、阿保みたいにスッ飛んで・・遥か遠くの木が爆散した。
「も・・元々はゲームのズルって言うか───
・・まあ、有り得無い凄いチカラ、かな」
「それがコレ?」
「た、多分な」
ステータスボード、アイテムボックスは無かった。
言語翻訳は、調べ様ナシ。
石を、手で投げてみると・・普通だ。
身体強化・・というより脚力チートか?
「なあ颯太、さっき本気で走ったか?」
「ううん、幹太兄ちゃんと一緒に逃げなきゃって」
俺はガチで走った。
つまり元の身体能力差は生きてんのか・・。
「───ん?
そういやあの丘の上の大岩、さっきの場所でも見えたよな?」
「あっホントだ・・えっ?
でも、さっきはもっと小っちゃかったよ?」
「多分・・車みたいなスピードで走ったんだと思う」
無我夢中だったし、よく覚えてないけど。
「だからこんな足跡なのかな」
「うーん・・」
『・・・・女ぁ・・ぁ・・・』
「わっ、幹太兄ちゃん!
奴等の声だ!?」
「足跡と・・匂いもか」
『餌』だか、『イヤンな事』だか。
・・かなりの距離を結構な時間走ったハズなのにすげぇ執念だコト。
諦めない相手からは・・逃げきれないよな。