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299『小学校の頃、人が釣った魚までパクられました。』


俺が補強した土地の外周を見回ると、『土ザリガニ』が這っていた。


普段は軟らかい地質の地中10cmぐらい辺りに住む生き物なんだけど・・地震で地割れから飛び出してきたらしいな。


ウロチョロするウチに俺が補強した堅い地面に上がってしまい、地中に戻れなくなったっぽい。




「幹太姉ちゃん、美味しいのかなあ?」


「ちょい土臭いけどイケそうだな」


「か、カンタさんっ!?

こんなん食うんッスかっ!?」




ジキアが引いている。

たぶん、俺達(日本人)の感覚だと芋虫を見付けたらイキナリ「 美味そう 」って話をし始めた感じか?




「ジキアの好きなエビチリ、あれ、コレ(ザリガニ)( の仲間 )だぞ?」


「ふぁっ!?

え、エビチリ・・足いっぱい・・」


「冷凍品だったからねえ」




エビチリに使ったのは【人土じんど村】から送られてくる物資の中にあった剥き身の芝エビ。

生物学的には、ほぼ同じ生物だしな。

( あくまで地球のエビとザリガニは、だが。)




「腸抜きした後は、超純水を作る魔法で臭みを取ればすぐ食えるはずだし」




俺が【巫女化】修行に作る昼飯は、何となく一品、玉子料理と決めている。




「ザリガニ・・ザリガニ・・。

エビじゃ無いけど茶碗蒸しにしよう」


「わーい。

僕、茶碗蒸し大好きー♡」




颯太はキライな食い物なんて無いけど、やっぱ嬉しい。




「エビチリ・・足いっぱい・・」




日本の秋原家があった場所はヒト気の無い場所で、近所は彩佳ん家含め、二・三件しか家が無いんだよな。


だから近所の川も、人の手が入って無い綺麗なモンで、子供の頃はザリガニをソコソコ食ったもんだ。


100尾ほど捕まえ、持って帰る。




「確かに毒は持って無ェって聞くがよう・・食欲はソソられねエな」




異世界人は、ほぼほぼ。

日本人もエビと違って、ザリガニに忌避感を持つ人が居るけど何でかなあ?


吸着魔法と逆吸着魔法を駆使すれば、殻や腸はほぼ一瞬で剥ける。

臭いを取る魔法も併用。


ジキアがザリガニの剥き身を見て




「エビチリ・・足いっぱい・・」




と呟く。

何人かに感染してゆく。




「「「エビチリ・・足いっぱい・・」」」




ウルセぃよ。

カニが蜘蛛を連想させて食えないって人が居るけどあんな感じ?

幼馴染みの彩佳は、ザリガニ仲間なのでザリガニの湯通しを任す。


個人的には茶碗蒸しの、鳥ササミや銀杏は好きじゃないので入れない。

かまぼこと三つ葉は入れる。


出汁の味付けは日本人用と異世界人用を用意。

とき玉子を入れ交ぜ、ザルにこす。


刻んだ、剥きザリガニを碗に詰め「 エビチリ・・足いっぱい・・ 」玉子液をかける。


強火で3分、三つ葉を入れ弱火で10分蒸して完成。




「我が妻たちよ。

また故郷の玉子料理か」




ちゃっかり昼飯時にきたガロスが、茶碗蒸しを見てニヤリと笑う。

・・まあ、『だろうな』とは思っていたんでガロスの分も用意してたけど。


そんなガロスを見て、みんなが牽制するような警戒するような顔で様子を伺う。

毒見役?

爆発しねえよ?




「うむ、変わらず美味いな。

このプリプリしたモノは何だ?」


「ザリガニっていう奴だ」


「ふむ?

今度、ジート砦の皆にも勧めよう」


「足・・」




うん。

ザリガニは、エビより『カニ』に近い味だと言う人がいるけど、『土ザリガニ』の味が濃いのは確かだ。


水中より土中にいるせいか、プリプリも強い。


忌避感を抱いていた人も、ガロスの様子を確認した後、手を付け始める。

一度食い始めたら、ガツガツ食う。

底を舐め取る人もいるぐらい。




「昔、秋原家と一緒に船釣りツアーに行った時、こんなキャバ嬢が居たわよね」



◆◆◆



「えー・・一度【人土じんど村】に帰ろうかと思います」




昼食後、皆に山柄さんと無線機で会話した内容を話す。




「ディッポファミリー傭兵団に、モンク無ェぜ」


「我等【人土じんど】は、言う迄も無く【巫女】様の御心のままに」


「私は最近、ピヒタ姉様が怖いので早く帰りたいのです」


「チャー」




多くのメンバーは、問題無く賛同してくれる。

・・ただ。




「ふん・・。

ジート砦の民達は、まだまだ我を必要とする故・・な」




ガロスと。




「帰ったら・・ワタクシが【人狼じんろうの巫女】だと、発表せねば成りませんのよね」




ザレが───乗り気じゃない。

リャター夫人や女学園の生徒達には会いたいんだろうけど・・複雑だろうな。




「ザレさん」


「っ・・はいっ!?」




人土じんど】の一人がザレに語りかける。




「【人土じんど】と【人花じんか】が・・【巫女】様との接し方に違うように【人狼じんろう】にも違いは有るのでしょうが───

【巫女】の心を曇らせる『三種族』など居ません」


「みな様・・」




途中で【スライム】に喰われ、【スライム細胞】を取り込んだ俺と颯太と違い───

産まれつき【人狼じんろう】の筈なのに、ザレに『三種族』の本能は無い。


産まれてすぐ、父親のザラクスさんに【人狼じんろう】のチカラを封じられたからかなのかは分かんないけど。




「大丈夫。

俺達は、『三種族』関係ナシにザレを守るから!」


「御姉様・・」


「ま、ココでアンタに心労だとかで倒れられでもしたら面倒クサイしね」


「アヤカ・・分かりましたわ。

帰りましょう、【人土じんど村】へ!」




うんうん。

・・何かを忘れている気がするけど、問題無い。

イザとも為れば───


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