296『けったいな変装をしたり、大袈裟に隠れたりで、バレバレでした。』
『ヴォイド』か・・。
「そのヴォイドを使える王族は何人居るんだ?」
「現王は確実だが・・残りは分からんな。
存命の王族は、前王・現王・王子が三人・現王の弟の大臣・大臣の子が一人・・だ」
「最大7人か」
過去に王族から別たれた血、とか考え初めてたら莫大な数になる( 魔法使いの血筋は全て )ので、ソコは考えない。
( 7人以上居る「 だろう 」とは意識しつつ。)
「王族って洗脳はどうなっているんだろう?
・・ってか、貴族達は?」
「傭兵団や女学園の戦闘組はほぼ、みぃんな『完全洗脳』されていたけどねぇ」
颯太の言葉にガロスが「 フム 」、と考えるフリをしつつ、【人土】の一人が持ってきた日本製のオレンジジュースで喉を潤している。
強炭酸入れて、ビックリさせたれ。
「やや、甘ったるいが・・疲れは取れそうな味だな。
我が妻達よ、朝食は───」
「女だからって、何でもしないわよっ!」
「ふふん・・残念だ。
貴族達だが・・。
・・父の死を確認して、すぐ今の活動を始めたのでな」
自分の大事な民が、父親のように餓死していないか・・確認の旅に出た訳か。
「我が家に居た正気の使用人に、情報を集めさせている。
そのウチに有益な話は聞けよう」
「あ、もしかして・・」
【人土】の一人が思い出したように話す。
もうちょい、確度が上がってから報告するつもりだった話らしい。
「一週間ほど前【人土村】へ、やたら『情報を探りまくる』旅人が来たとの事です。
『質問責め』の旅人は何人か居ましたが・・魔法使いでは無いそうですね」
ジート砦の民にも、ガロス頼りに旅してきた人もいた。
こんな世界になって不安なんだ。
質問責めは当然ではあるだろうけど・・。
( ましてや、ビル群なんかに辿り着いたら余計にな。)
「取敢ず、その人に話を聞こう。
捕捉はしていますか?」
「スパイ映画みたいだね、って事で数人が尾行していますよ」
子供か。
まあ助かったけど。
「分かりました。
・・ガロス、確認を頼む」
「うむ」
◆◆◆
〔が・・ガロス様っ!?〕
「うむ、オマエであったか」
無線機から聞こえてきたのは20代前半の男の声。
最初は警戒心バリバリだったけど、ガロスの声を聞いて安堵しているようだ。
「ソチラはどうだ?」
〔驚愕しない物が何一つとして有りません!
衣・食・住・・・『無線機』も含め、どれも私の理解を超えて───〕
「今、そやつ等の盟主が横に居るが・・驚愕しない物が何一つとして無いからな」
俺はオマエに驚愕させられてんだけどな。
「王族・他の貴族について、何か分かったか?」
〔王族と騎士団は相変わらずです。
城に閉じ籠もったまま動く気配が無く、現状が分かりません。
仲間が一人、出入りの業者に紛れて侵入しました。
貴族も似た感じでしょう〕
「危険な真似はするなよ」
ディッポファミリー傭兵団が完全洗脳されていた時と情報は同じだな。
「済みません、【人土村】で一応、盟主? をヤらせて貰っている秋原幹太と言います」
〔は・・はいっ!?〕
「どの貴族ん家からも【空の口】を崇め立てる、完全洗脳者の反応は有りませんか?
あいつ等、目茶苦茶うるさいんですけど」
〔い、いえ。
何処も、人は居るのに静かで〕
一人で『対、村破級』の戦闘力がある( その代わり、魔力切れによって継続戦闘能力が0だけど )貴族が完全洗脳されてない・・?
〔二人だけ、有力貴族を見かけましたが・・ザーロス様のように自失しております〕
「うーん・・。
ディッポ団長、貴族の軍団に攻め入られたら生き残る自身は有りますか?」
「トンでも無ェこと聞くな・・。
御姉チャンの料理を食ってる今なら───20人が限度だな」
貴族本人の運動能力は『一般人程度』。
だけど、バズーカやマシンガンを装備しているようなモンだからな。
( ソレを20人か・・。)
数なら傭兵団達の『大侵攻』の方が上だけど、【人土村】の中の一般人だと脅威度は貴族団の方が上かもしれん。
ソレを使わない・・。
「切り札として保存しているか・・」
「ソレ以外の使い道が有るか、だろうゼ?」




