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295『オヤジ狩り狩り。』

やっと年末進行は終わりましたが、次は家族サービスが始まります。


さて、ガロスの拠点は何処だ?

決闘からプロポーズまで・・色々あって魔力パスは、まだ繋いでないんだよな。




「お隣さんじゃ無ェか?」


「お隣さん?」




歩く秋原家に、お隣さんなんて・・と思い、キョロキョロすると───


巨大土ブロックが有った。

確かジート砦からココの土地にガロス達を連れてくるのに使った土台だな。

その上にポツン・・と、ボロいテントが一つ有る。




「・・・・・・」




いやいやいやっ!?

仮にも大貴族当主があんなボロテントを使うかね!?

眼下の土地の、民達が住む仮長屋の方がまだ遥かに豪華だ。




「じゃあ下に行って探すか?」


「うっ・・また、さっきの騒ぎに成りそうで嫌だなあ・・。

仕方ない。

まずはアッチを・・」




等々、話していると・・テントがガサッと動き───




「ふぅー・・。

まだコレには慣れんな・・む?

おお、我が妻達よ。

朝の出迎え、ご苦労」




ガロスがテントから出てきたよ・・。




「ちゃ・・ちゃうわ!

オマエ、なんでそんなボロテントでそんな所に・・」


「マトモな資材は、弱った民に渡さねばなるまい?

魔法使い(われら)は大概の病に掛からぬのだから」




確かに自己再生魔法は怪我だけじゃなく、病気にも効果アリだとは聞いている。

大貴族の魔力なら多少無茶をしようと、風邪なんて引かんだろうけど。


ガロスが秋原家との隙間から土魔法で橋を作り、秋原家に渡ってくる。

しっしっ。




「大した強度と干渉力だな。

コチラの土ブロックに幾ら魔力を込めようと硬すぎてカケラも動かせん。

秋原家(ソチラ)の土を使おうとしてもカンタ(おまえ)の干渉魔力が強すぎて、私の魔力が跳ね返る」


「そ、そういうモンか」


「【人土じんど】代表の8人が、コチラ(異世界)へ来る『扉魔法』を『魔力体』に干渉されたそうですが・・流石【巫女】様です」




ガロスと魔力体の干渉力は、どっちが上か分からんし『流石』は早い気がするけど。




「・・って、ガロス!

デマを吹き回ったなっ!?

さっきまで大変だったんだぞ!」


「デマ?

・・昨日オマエ達の元から去った後は、民達の家作りの指示以外は特に何も言っておらんぞ?」


「・・は?」


「民に昼食に何を食べたか聞かれたので「 カンタの手作り料理を食べた 」と答えたぐらいか」


「ソレだよ・・」




絶望的な日々の中・・尊敬する御方の浮いた話───

この狭いコミュニティーだと、一瞬で噂に尾ヒレ背ヒレに手足と翼まで生えて、さぞ高天まで飛んで拡がった事だろう。




「と、とにかく俺はオマエと結婚する気は無い!」


「あ、アタシもよ!」


「ふん・・初初しいな。

ソレもまた美しい」




あかん・・。

何を言っても自分の都合のいいようにしか解釈しねえよ。

コレが産まれながらにしての権力者か。




「お、俺は仲間を優先する!

仲間が居る【人土じんど村】を優先する!

その為に各村々を救うし、クズは奴隷にする!

世界征服だってするぞ!」


「ついでに【空の口】も倒す、か。

構わぬ。

その過程は、我の道と通ずる。

その時々で何れ我の横に立てばよい」




うーがーーっ!?

イチイチ格好つけよんなあ、コイツ!




『ならっ!』


「「っ!?」」


「なら、王族の弱点を話すッス!」


「じ・・ジキア?」


「ワタクシ達は男尊女卑の最も厳しい【銀星王国】を残すつもりは有りませんわ!」


「ザレ・・?」




ジキアとザレが、魔法は使っていないけど魔力を吹き出しながら俺と彩佳の前に出る。

ガロスに喧嘩を売っているのは明白だな。




「ほう・・中々たいした魔力だ。

毎日あの食事(魔力ふよ料理)を食べていたら、そうも成るか」




今の二人の魔力は、ザーロスさん( 貴族としては平均値 )LVってトコか。

一人一人だとガロスには負けるけど、二人がかりなら・・ガロスを圧倒する。


ソレでも・・ガロスはそよ風の中に居るように、怯むそぶりすら見せない。




「・・断る、と言ったら?」


「な、なら決闘ッス!」




ガロスからも魔力が吹き上がる。

二人( の合計 )の魔力が上でも・・片や13歳と14歳。

片や40年間、策謀渦巻く貴族界で鍛えに鍛えた魔法使いだ。

精度が違う。


・・たぶんジキアとザレが負ける。




「・・・・」

「・・・・」




でも、二人は引かない。

自暴自棄では無さそうだな。

俺や誰かが止めるのを待ってる訳でもなないみたい。


俺も、彩佳も、颯太にディッポファミリー傭兵団やビタ、【人土じんど】達も静かに見守っている。




「・・ヴォイド」


「は?」




ガロスが魔力を鎮め、ジキアとザレに呟く。




「オマエ達が聞いたのだろう。

王族の弱点だ。

・・厳密には弱点では無いが」


「なんで・・」


「王族の魔力は・・我より上だ。

しかし、まあ・・本気を見た事は無いがカンタより上という事は無いだろう」


「か、カンタさんは『街破級【フレズベルグ】』をも一撃で撃破するッス!

王族なんかに負けないッス」


「【フレズ───はっ、流石だ」




ガロスが不敵に笑い・・遠い目をする。

【銀星王国首都】の方角か。




「だが・・王族の真のチカラはその魔力では無いという。

・・ソレが『ヴォイド』だ」


「『ヴォイド』って何ですの?」


「知らぬ。

王族がひた隠しにし、王族が出張らねば解決出来ない事件などかつての戦争ぐらいでしかないからな」


「戦争・・」




ガロスが完全に魔力を通常モードにして、秋原家の庭にある見張り夜営用キャンプセットの椅子に座る。


ソレを見たジキアとザレも魔力を通常モードにした───瞬間に、ガロスの操作する小石が二人の額にぶつけられた。


あ~あ。


ディッポ団長がヤレヤレといった感じで、二人の頭に拳骨を落とす。

( ザレには幾分優しめだけど。)


まあ常にガード魔法は意識してなきゃな。




「あの戦争は【銀星王国】が奇跡の大逆転を果たして、勝利したンだぜ」


「奇跡?」


「ソレまで劣勢だったのが・・突然、敵国の指揮官連中がバッタバッタと負けまくったらしいな」




ジキアのお父さんも、その劣勢の中で死んだし・・ディッポファミリー傭兵団も全滅を覚悟したらしい。




「その奇跡が、王族のヴォイドだと言われている」


「何で王様はソレまで、そのヴォイドってゆうのを使わなかったのかなあ?」


「ソレも知らぬ。

出し惜しみをしていたのか、限定的な状況でしか使えないのか・・」




王族はかなりの秘密主義っぽいな。

当たり前っちゃあ当たり前かもしれんけど。


一筋縄じゃいかないか。


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