288『様々な視点・if『ホラー編①』』
かなりストーリーが進んだ後に、思い付いたキャラです。
あー、もっと早く思い付いていたら、こんな展開あんな展開をと妄想を膨らました結果の番外編です。
日本へと再転移し、『街破級【アジ・タハーカ】』を退治して数日。
「【巫女】様!」
「や・・やめなよ、佐竹君」
【アジ・タハーカ】を倒して【人土の巫女】とやらになった・・が。
【巫女】が何かは分からん。
【人土】達にとっては、『代表の8人』や『三長老』よか偉いらしいけど。
「───では・・ゴホン、幹太様。
宿題でもやっておきましょうか?」
「いや、あの・・だからね、佐竹君?」
「幹太、佐竹君と仲良かったっけ?」
俺がワタワタと困っていると、彩佳が間に入ってくれる。
有難や。
俺と彩佳が通う高校のクラスメイト、
『佐竹 弘人』君。
実は彼が【人土】だった。
「うーん・・。
佐竹君もゲームするし、俺の持って無いソフトの話を・・2~3回しただけだっけ?」
佐竹君とは、その程度の浅い付き合いなので強いて言えば『女子人気が高い御調子者』程度の認識しかなく、あまり人となりが分からない。
けど・・少なくとも『人間じゃ無い』とは思わなかった。
「ええ!
正直昨日まで幹太様の事を、不良だと思っていましたから怖かったです」
「えっ!?
俺、不良だったん?」
ウチの高校は善くも悪くもない、完全なる普通校。
不良も探せば居るだろうが、わざに自己アピールするタイプの奴は居ない。
「彩佳さんが、裏番で」
「ちょっ・・!?
や、ヤメてよねっ!?」
「二人して教室から居なくなる時なんか、誰かにケンカでも吹っ掛けに行くのかと」
それ・・俺が颯太の事を語りだしたら、彩佳に教室から連れ出されただけなんだけどな。
・・クラスメイトの一部に、避けられているような気はしていたけど───まさか不良扱いだったとは。
「帰宅部なのに、空手の授業で空手部部長に勝ったりしてムチャクチャ強いじゃないですか」
「ウチの運動部って、ガチ勢じゃないし・・」
普通校は部活動も普通。
血の滲む練習して全国大会へ───
・・なんて奴も居ない。
普通に練習して普通に2回戦辺りで負ける。
ソレでもまあ・・柔道部部長にも柔道で勝った事は有るけど「 やっぱ授業だと、本気には成れないな 」等言ってくる感じの人達だしな。
颯太にゃ負けるが、子供の頃から・・っつうか先祖代々だから、産まれる前から鍛練してんだし。
本職には勝てんよ?
「不良なのに授業は真面目に出られるので、大半の女子から「 怖い 」と言われつつ───
「 影が有って素敵♡ 」という女子も居たんですよ」
一瞬、「 マジでっ!? 」ってなったけど、俺は初恋が彩佳だしな。
うん。
隣の【人茸】とやらに為った彩佳から、『菌糸』が伸びてきたから言ってるんじゃ無いよ?
これ・・【アジ・タハーカ】を倒す用に、ビタと奈々が悪ノリの果てに作った『アレ』じゃないだろうな・・。
「───んで、本題は何さ?
俺自身・・まだ【人土】になった実感無いし。
まして、【巫女】とか言われてもな」
「ですが、貴女は【人土】の最高峰、【巫女】なのです!
なので・・高校に来て欲しいんです」
「女体化してる間は、高校に行くつもり無いぞ?」
今、高校には長期療養休暇をとっている。
女体化した事もある・・が、【アジ・タハーカ】戦でカメラで撮られては無いはずだけど、何人かの前に顔出ししたしな。
「佐竹君、アンタねえ・・。
【巫女】とやらを崇めたいなら、せめて学校の外だけで───」
「いえ。
『昼』の、ではなく『夜』の、学校に来て欲しいのです」
「よ・・『夜』?
身分を隠して、定時制にでも行けって事か?」
日本で、戸籍を誤魔化せる訳無いだろうに・・。
性別の違う学校に入るヤツとか・・漫画やエロゲーの見すぎ。
( 女学園で、女の子達と一緒に風呂に入った事が彩佳にバレたら───想像するだけで胃ごと吐きそうだ。)
「いえいえ。
ウチの高校に侵入して欲しいのです。
教師に一人、オレの親戚で【人土】が居まして・・彼に話をつけてあるので、不法侵入では在りません」
「いやいや、不法侵入とか何とかより・・なんで!?」
「じ・・実は、以前ちょっとだけ話したと思うのですが───ウチ『出る』んです」
「出る?」
「『コレ』が」
佐竹君が両手を胸の高さで垂らす。
犬の芸か?
「・・ちんちん?」
「び、美少女の顔で、ち○ち○だなんて・・♡」
「佐竹君?」
ドン引きだよ。
「も、もしかして幽霊かしら?
古い表現よね・・」
「はい。
ウチの高校の七不思議で、
『使われなくなった旧美術準備室で自殺した女生徒の霊が出る』って奴です」
「そういや、そんな話をした事もあったっけ・・で?
肝試しでもするのか?」
「【巫女】様の強大な魔力で───『徐霊』、出来ませんか?」
「じ・・じょれい」
幽霊・・ねえ?
【アジ・タハーカ】戦で【巫女化】した俺が、彩佳達の魂を『青っぽい世界』に引きこみ、吸収しようとしたらしい。
なので『魂』は有るかもしれないけど・・『幽霊』は、ねえ?
「悪いけど・・俺は否定派かなあ」
TVに出る学者さんみたいな・・逆に無茶なほどに否定する訳じゃ無いけど。
「ですが【空の口】は、二千年前と千年前にも倒され・・なお今世に復活しようとしています。
幽霊とは言わずとも、魂のような存在では?」
「なるほど・・」
可能性として無くは無いか。
「対、【空の口】戦への予行演習に成ると思うのですよ!」
「うーん・・。
彩佳はどう思う?」
「・・・・下らない」
なんだ?
エラく不機嫌そうな───
あー・・そういや彩佳って、ホラー苦手だっけ。
厳密に言うと、パニックホラーやお化け屋敷は平気なんだけど・・怪談噺とか、実話系が苦手なんだよな。
「マジの肝試しとか、アホのする事だわ」
「はいはい。
まあ俺は佐竹君の言う事も一理有るし、行くだけ行ってみるよ」
「えっ!?」
「だから今日は一人で【人土村】の方に帰って───」
「あ、アタシも、いいい行くわ!
幽霊なんて下らない物、居ないって証明するんだから!」
震えている彩佳が可愛い・・とか言ったらブン殴られるだろうし、言わない。
「僕も行くー!」
颯太は着いてくる、と。
ザレとリャター夫人は、日本製品を買い込みに。
源太ちゃんは、その通訳に。
ビタは、奈々と一緒に山野へキノコだ野草だを集めに行っている。
なので徐霊ツアーは、俺・颯太・彩佳・佐竹君・【人土】らしい教師の五人で行く事になった。
◆◆◆
「おやっ?
佐竹君と・・海野さん?
珍しい組合せだね」
「委員長?
委員長こそ、なんで『こんな時間』に?」
学校の校門前でバッタリ出会ったのは、俺達のクラス委員長の
『坂ノ上 命』さん。
男っぽい喋りだけど、女だ。
基本誰にでもフレンドリーで、俺や彩佳にも親しげに話かけてくる。
まあ八方美人的なアレなので、『親しげ』であって『親しく』は無い。
でも悪い人じゃあ無いだろう。
「ちょっとノートを忘れてしまったのだよ。
・・ところで、後ろの美人さんは?
秋原君に似ているよね?」
「あー・・親戚です。
お・・私も秋原と読んで下さい」
「ほう、確か秋原君は母親似だと以前聞いた気がするが・・美人一族なのだね。
羨ましい限りだ」
「お・・オレ達も忘れ物だ。
海野さんは、幹太───君の、忘れ物を取りにきたんだって」
「ああ、秋・・幹太君は例の怪獣騒ぎで、怪我をして入院したらしいね。
じゃあ、皆で行こうか」
「え?
あ・・うん」




