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その姉妹品、危険につき──  作者: フユキ
支配階級と男尊女卑
285/547

285『秘密基地作りの王様として崇められています。』


「お早うございま~す」




もう11時すぎだけど・・。




「はい、お早うさん」


「お早うございますわ、御姉様」


「2日寝てたッスけどね」




みな、パスの変化で俺が目覚めた瞬間に分かったらしいな。

彩佳・ザレ・ジキア・モスマン・数人の【人土じんど】達がリビングで出迎えてくれた。


ソレにしても2日か。


上がった魔力量から、もっと目覚めるのに時間が掛かると思ったけど・・回復量も上がったっぽいな。

( 100%回復した訳じゃないが。

80ちょい%ぐらい。)




「颯太に聞いたんだけど、ファミリーのみんなや【人土じんど】のみんなは、家を建てているって?」


「ええ。

アンタが気絶直前にやった、地盤工事・・工事なのかしら?

まあとにかく、あの土地の上にジート砦の人達の仮家を建ててるのよ」


「ビタちゃんはココ最近のカンタさんの料理で上がった魔力で、ツリーハウスを建ててるッス」


「俺達に敵意を持っていた人達が、納得したのか?」




そのつもりで土地の補強はしたけど・・よくそんな気になったなあ。




「『敵意』って言っても元々───

アタシの【人茸じんたけ化】を気味悪がってた人か、ガロスに心酔して同調してた人・・だしね。

ガロスがアタシ達に同調したら、アイツ等もコロッと手の平を返したわ」


「・・ん?

ガロスが・・同調?」




・・ああ。

決闘の条件が『ガロスが勝ったら、俺『は』謝罪しろ』だった。

俺以外の皆には同調したのか?




「同調・・ってか、秘密裏( 民の目の無い場所 )で謝罪まで受けたのよ」


「カンタさんにも、目覚めたら直接謝罪したいそうッス」


「俺にも?」


「・・デロスを殺した事は許せないそうですが」




愛する家族を殺したんだ。

それは仕方ない。




「コッチの事情・情報は、全部話したわよ?

魔法使いに嘘や隠し事は通用しないしね」


「ああ」


「【空の口】の事もそうだけど・・ガロス的には、アタシの【人茸じんたけ】に凄く興味を持ってたわね」


「クズ男を生かしたまま焼き殺すぐらいだからなあ・・。

今のこの世の中だと、一人『糞』が混じっているだけでコミュニティ崩壊に成りうるし」




【空の口】の声を聞き、洗脳されて『自失』してゆく人達の中───【空の口】の声を聞いた事か、一番大切な人を忘れただけで『正気』を保っている人が居る。


回りの全てが自失し・・自分の言う事を聞くようになったり、自分の悪行を止めなくなると───特にソレが男尊女卑ヤロウなら、語るのも馬鹿らしい事にしか成らない。




暖房器具(・・・・)にしか使い道が無い奴に、便利な使い道が出来るんだしな。

人茸じんたけ化】は、支配階級には魅了的だろうさ」


「え・・エグいッスね」


「魔法使いで無い者、俺達に敵対する者には秘密にしなきゃならんけどな」




アッチの世界に彩佳の存在がバレたら・・彩佳を確保した国が世界を支配すると言っても過言じゃあ無い。




「ふぅ、御馳走様でした───

・・っと?」




皆の話しを聞きながら【人土じんど】の一人が作ってくれたシチューで空腹を埋めた頃、ディッポ団長からの魔力パス。




「ディッポ団長が来いってさ」


「ん」




件の土地へ。




「皆さん、御早う御座います」


「おう、来たか。

問題は無ェみてえだな」


「はい」




長屋や、ビタのツリーハウスが並んでいる。


長屋の方は、俺と颯太がディッポファミリー傭兵団に保護された後に傭兵となり、姉妹傭兵団を結成云々の時に起きた『黒い川(魔物の大ぞうしょく)』事件。


解決により出た大量の素材を、国中から商人やら素材回収・解体・加工業者が集まり、村の外に長屋が出来ていた。


あんな感じ。


ビタのツリーハウスは・・10件程並んでいた。




「ビタ・・格好いいじゃんっ!?」


「むふぅーっ!」




顔が紅潮し、鼻息が荒い。

一瞬疲れているのかと思ったが、ジート砦の子供達にヒーロー扱いされているので興奮していたみたいたな。


まあ全く疲れて無い訳じゃあないだろうし、後で魔力付与料理を作ってあげよう。


どのツリーハウスも、子供達が占拠している。


・・たぶんコッチ側が最初に作って、アッチ側が最後に作ったツリーハウスだろうな、というのが分かる。


順番に、造形が細かく成っていく・・というか子供心をくすぐられる作りなのだ。


ちょっと探検したい。




「ディッポ団長、この土地はどうなんですか?

正直、素人仕事なんで・・」


「良いンじゃねえか?

昨日、御姉チャンが寝てる時にも一回あの地揺れが来たンだけどよ、この土地は大して揺れなかったぜ」


「隣の土地は、地割れとかが有るの。

皆、この土地とニホン道の上にしか行かんの」


「オレ等含めてだがな。

ガッハッハッ!」




割と笑い事じゃ無いけど、笑うしか無いのかな。




「アキハラ カンタよ」


「ガロス・・さん」


「ガロスでよい。

我もカンタと呼ぶ」


「・・分かった」




複雑な表情だけど悪意は無い。




「御前の仲間とは軽く話したが・・御前を交え、もう一度今後の話しをしたい」


「分かった」




てな訳で秋原家メンバーに、良い所で切り上げて昼飯に帰るように伝えて再び秋原家へ。



◆◆◆



「デロスの事は正直、未だに恨んでいる。

しかしこんな世だ、呑み込む。

・・決闘に負けたのだから」


「負け?」


「あの魔力・・あんな物を見せられたら、魔法使いとして負けを認めざるを得ない。

手加減も酷いものだ」




俺としては同じ土俵に立ったつもりだったんだけど。




「なら、アスェベタ家当主と話しがしたい。

洗脳されているなら───」


「アスェベタ家当主は、御前の目の前に居る」


「は?」


「父は。

『ダロス ダ アスェベタ』は死んだ。

我がアスェベタ家、現当主だ」


「なっ・・?」


「一言で『自失』と言っても、程度が有る事は知っていよう。

父は・・食事すらしない程、自失していた」


「・・・・」


「我は丁度、外国に出張中でな・・。

帰るのに一週間かかってしまった」





実際、そうやって死んだ人は多い。

ディッポファミリー傭兵団や女学園の皆みたいに『正気』の人間が助けてあげられたケースの方が少ないのだ。




「・・悪い」


「かまわぬ。

ちなみに、ザーロスは生きているぞ。

食事する程度の自失状態で、だが」




あまり興味の無い風に言うガロス。

同じ兄弟なのに、デロス程には好きじゃないらしい。

ちょいムッとしつつ、まあ他所の家族だしなと敢えては言わない。




「決闘の約束は、

『男尊女卑』と

『男だけの魔法使い』と

『魔女』の秘密について・・だったな」


「あ、ああ」


「我も全てを知る訳ではない。

ただ王家と高位貴族家にのみ伝わる、最初の魔法使い『英雄ヨランギ』の言葉がある」




またヨランギか・・。




「『【空の口】の『肉』も『剣』も、みな女が成る』という物だ」


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